ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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リンゴのかじり方

2021年06月25日 | ニュース・コメント

  私は20歳代で初めて海外にトレーニーとして赴任しました。その時の赴任地はフランクフルトでしたが、その前にドイツ語の勉強のためロマンティック街道沿いのローテンブルグという町にある外国人のための語学学校、ゲーテインスティテュートに通わせてもらいました。そこには世界の各地から若い連中が集まっていて、日夜勉強に励んだのですが、初日の学校でのランチの光景が忘れられません。

 

  デザートにリンゴが1個ついていたのですが、日本人の私のリンゴの食べ方をみんなが笑ったのです。

 

  「何が可笑しいの?」と聞くと、「だってまだ実が残っているのに、食べないからだよ」と言うのです。私としては丸かじりしてほぼ芯だけになったものを残したのですが、イタリア人が「リンゴはここまで食べるんだよ」と言って、芯や種を全部食べ、ヘタだけを残して見せたのです。するとアメリカ人もイギリス人もみんなそうしているではありませんか。私が「お尻の部分など汚いので食べたくない」と言うと、また大笑いでした。

 

  その後、様々な果物が出てくるたびに「皮の硬い梨も同じ食べ方か」と聞くと、もちろん同じ。ぶどうも何粒か実をまとめて皮ごとまるかじりし、マンガのように種だけプッと吐き出す。じゃモモはどうする、毛のついた皮を食べるのかと聞くと、「もちろん、種は硬いので捨てるけど(笑)」。あきれてものが言えませんでした。

 

  今回の中国のリンゴの食べ方はもっと野蛮です。芯や種ばかりでなくヘタまで丸のみして、手には何も残っていません。なんと野蛮なやり方でしょう。

 

  今あのゲーテインスティテュートにもし戻ったら、みんなの前で「これが中国人のリンゴの食べ方だ」と言ってヘタまで食べるパフォーマンスをしてやりたくなりました。

 

以上、リンゴのかじり方でした。

 

 

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FRBの豹変、アメリカ金利のゆくえ

2021年06月22日 | アメリカの金融市場

  先週のNY市場の株価は5日連続で下落し、最後の金曜日が533ドル安。一週間の下落幅は1,200ドルと結構な下げ幅だったのですが、その原因の一つは木曜日のFOMC(連銀の公開市場委員会)の結果、FRBがこれまでの緩和維持の政策を豹変させたことにあります。それはいままでFRB議長などが一言も触れなかったテーパリング(緩和縮小)について言及したことです。

 

  5月25日の投稿で私は「予測の神様のご託宣」という記事をアップしました。その内容は、金利予測で名を馳せたヘンリー・カウフマン氏が、「FRBは23年まで金利を上げないと言うが、もっとずっと早く利上げに踏み切るだろう。今年の年末から来年にかけてだ。テーパリングも今年後半には開始するだろう。」というものでした。このご託宣は今回のFRBの緩和策縮小の示唆開始により、見事的中したと言えるでしょう。もちろんFRB政策の本命は利上げですが、緩和縮小はその一歩とみなされ、翌日の株式相場がそれまでの下げに加えて大幅に下落したのです。

 

  私はバーナンキ現FRB議長のことを、「あつものに懲りてなますを吹いている」と批判しましたが、すくなくともこれでなますは吹かなくなったと思われます。

 

  では今後の利上げが神様のお告げ通りに今年の年末から来年にかけて行われたとしますと、はたして長期金利はどうなるでしょうか。

  ちょっと解説します。「FRBによる利上げ」とは短期金利、それも超短期の翌日物金利の利上げを指します。これはどの中央銀行も同じで、中銀はオーバーナイト金利と呼ばれる超短期金利はほぼ自由に操作できます。しかし短期でも3か月以上になると公開市場で債券を売買し金利を操作する必要があるため、債券需給に左右されて自由には動かせません。ましてや価格変動幅が大きくなる長期金利の代表である10年物金利となると、市場規模が大きいため実勢にまかせることになります。もちろんコロナショックやそれ以前のリーマンショックのような時は例外的に長期を含む債券を猛烈な勢いで買いまくり、金利を低下させることは例外的にあります。

 

  では今回のように逆に緩和措置を停止し、つまり市場からの債券買い上げを縮小しながらむしろ引き締める方向に転換する場合、長期金利までむりやり上げる市場操作をするでしょうしょうか。景気を急激に冷やしかねない長期金利の高め誘導はしません。市場実勢に任せるのが通常のやり方です。従って、たとえFRBが短期金利の利上げに踏み切ったとしても、長期金利への波及は大きくない場合もありえるのです。米国債に投資しようと待ち構える方にとって即朗報につながるとはかぎりません。

 

  現在アメリカの物価がかなり上昇しています。5月の総合物価指数は前年比5%という驚くべき数字で、食糧・エネルギーを除くコア指数でも3.8%という異常に高い伸び率でした。しかし長期金利は上昇していません。市場のアナリストは、前年の物価の異常な低さが今年の伸びにつながったもので、ベースのトレンドはさほど高くないと見ています。その見方が、物価高=金利高につながらない理由の一つになっていると思われます。今後物価が落ち着きを取り戻すと、長期金利は大きく上昇するのは難しいかもしれません。

 

  以上、FRBの豹変と長期金利の見通しでした。

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トランプフリーのG7とアメリカの国内政治事情

2021年06月17日 | バイデンのアメリカ

  なんと平和なG7サミットだったでしょうか。

  世界の民主主義国のリーダーが民主主義や人権を守ることで一致団結して独裁的覇権主義に対峙する、まともなG7が帰ってきました。自分の思うがままにならないと会議の途中で勝手に帰国したり、共同声明を出せなくしたりというお邪魔虫がいなくなると、G7は見事に団結できますね。

  トランプは、「すべては個別ディールだ」ということで、せっかく合意できたTPPやパリ協定から離脱。協調関係を破壊することが、あたかも独自外交による勝利だと主張する愚を犯し続け、一部のアメリカ人がそれを支持し続けました。個別ディールなどロシアや中国を喜ばせるだけです。

  G7がノーマルに戻ったおかげで世界の途上国へ10億回分ものワクチンを贈与する案もスムーズに決まりました。そして覇権主義の中国に対峙すべく、途上国のインフラ整備を支援し、一帯一路という名の世界制覇に対抗する方向性が確認されました。トランプによる4年間の停滞はありましたが、遅れを取り戻すことはできると思います。

  こうしたG7の成果の深堀や評価は報道に譲り、いなくなったはずのトランプの動向をアップデートします。

 

  アメリカ国内では依然としてトランプが共和党に対して大きな影響力を保持しています。SNSという唯一無二の発言手段を奪われた彼は、自分のブログを立ち上げ対抗しようとしましたがアクセス数は全く伸びず、わずかひと月で閉鎖。今はメルマガだけで細々と発信するのみとなっています。

  トランプのツイート回数は大統領就任期間中約3万回。ウソの回数は1万数千回。群を抜くウソツキ大統領でした。それがゼロになることのインパクトは計り知れません。「去る者日々にうとし」を地で行っています。

  にも拘わらず共和党内ではトランプが大きな影響力を保っています。例えば共和党の下院議員でナンバー3の地位にいて、反トランプの姿勢を鮮明にしていたリズ・チェイニー氏を共和党は解任しました。彼女はトランプの弾劾裁判で弾劾賛成に回った実にまともな7人のうちの一人でした。その彼女を党が排除することはトランプの影響力を承認したことになります。

  また次の中間選挙の議員立候補予定者でトランプが気に入らない候補がいると彼は徹底的に非難を浴びせ、候補者から引きずりおろしています。共和党議員はそれを恐れてトランプに盾突けないのです。なんという体たらくでしょう。気骨ある候補者はトランプ離れを公言し始めていますが、まだ少数派です。

  そしてこのところ時折開く共和党の政治集会で演壇に立ったトランプは、相変わらず大統領選での敗北を認めず、「不正が行われた」という主張を繰り返しています。そうした愚にもつかないトランプの主張をどれくらいの共和党支持者が支持しているかともうしますと、共和党支持者のトランプ支持率は8割近くあります。しかし次の選挙でトランプが返り咲くと予想する共和党支持者はわずか3割程度しかいません。大きなギャップがあります。トランプの将来は閉ざされつつあるのに、中間選挙での影響力は保っているという妙なバランス状態にあるのが共和党内部です。

 

  私に言わせれば、このままトランプを旗頭とした共和党が22年の中間選挙と24年の大統領選挙に臨めば、かなり民主党有利になるはずです。なぜなら前回の大統領選と同時に行われた上下両院選挙の結果は、トランプにノーを突き付けました。その上1月の議会占拠と殺りく事件を経て、ますますトランプには不利になっています。その失地を回復するにはトランプが共和党内だけではなく、国民全体から広く支持される必要があります。SNSという手足をもがれたトランプにそれができるとは思えません。

 

  そこで共和党が繰り出しているあくどい手段が選挙制度の改悪です。前回の大統領選では投票率が100年ぶりと言われるほど上がったのですが、その要因はコロナ禍での期限前投票・郵便投票が多かったお蔭と評価されています。アメリカではそれぞれの州が選挙制度を決めています。そこで共和党知事のいる州で、選挙人登録をやりにくくしたり、期限前投票期間を短くしたり、前回同様投票を投函できる郵便箱を少なくしたりする姑息な手段をさらに実行しつつあります。政治評論家は押しなべて制度の改悪を非難し、民主主義への冒涜だとしています。

 

  では最後に現職のバイデン大統領をチェックしましょう。彼はG7サミットをしっかりとリードし、世界の民主主義のリーダーとしてアメリカが戻ってきたことを大きくアピール。6カ国とEU国はそれを大歓迎しました。

  そして国内の支持率も落とすことなくここに至っています。5月18日から6月10日までに行われた各種世論調査の平均でも、バイデン支持54%、不支持41%でその差13ポイント。1月の大統領就任後100日間の議会とのハネムーンが終わった3月時点と同じレベルの支持を現在も維持しています。トランプが一度も50%を上回ったことがないのとは大違いです。バイデンへの支持はコロナ対策や中国への強い姿勢、そして長期でアメリカの競争力を回復させるための施策などが評価されているためです。今回のG7、NATO、プーチン会談でも失点はなく、むしろ加点対象が多かったというのがアメリカ国内の論調です。

 

  では候補者個人ではなく党派別の支持率はどうなっているのでしょうか。世論調査の老舗ギャラップ社は長期間同じ調査を実施していますが、5月の調査では共和党29%対民主党33%、一方独立派は35%です。こうした3分割の支持率傾向はこの数年、大きな変化はありません。民主・共和両党にとって選挙戦の焦点は、いつもこの多数派である中間派の取り込みです。トランプ個人の極端な政治主張や過去の税金不払い、3千件の訴訟などをそのままにして彼を大統領候補にいただくなら、共和党とトランプの負けは見えています。

  バイデンは大きな失政なくここまで5か月を無難に乗り越えているため、アメリカの政治評論家はバイデンと民主党有利の情勢は変化なしと見ていますが、私もアメリカでこのままコロナが収束に向かい、経済も世界に先駆けて回復していけば、バイデンと民主党の勝利が見えてくるに違いないと予想します。

 

  トランプよ、もっともっとガンバレ!

それが共和党トランプ派とおのれの自滅への道だ!

何度も申し上げますが、私は民主党支持者ではありません。ただのトランプ嫌いです(笑)

林 敬一

 

 

 

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モスクワオリンピック不参加の禍根

2021年06月12日 | コロナショック

 オリンピック開催の是非の議論が沸騰していますね。開催すべきか否かの世論調査もアップデートされています。5月上旬くらいまでは賛成が4、反対が6で反対が上回っていたのですが、最近の調査では5分5分程度になっています。世論調査はあくまで人々の思うところにすぎないので、5割以上が賛成になったから開催してもよいというものではないと思います。もちろん支持者が多いことは開催を後押しすることにはなると思いますが。

 

  今回は、過去に開催されながらも日本が参加しなかったモスクワオリンピックに、企業の陸上部長としてかかわった経験のある方のご意見を、みなさんにご披露します。この方のご意見は私が参加しているプライベートなサロンで配信されたもので、ご本人の許可を得て転載させていただきます。

 

引用

国からボイコットされ、瀬古、宗兄弟で金、銀、銅独占確実と言われていたマラソンも参加できずに終わった痛恨の「モスクワオリンピック」の時、旭化成の陸上部長をしていた関係から、開催すべきとの意見を発信させていただきます。

理由は二つ、

1.専門家の尾身会長の懸念を真っ向から否定して、開催すべき論に陥っている主催者側の高圧的な態度はおかしい。しかし、専門家が危惧する状況を打破するため「最悪にそなえる」準備をここまでやりますと政治家らしい腹のすわった対策をわかりやすく説明して、開催することがベターだと思います。

その対策には国民にさらなる三密の増加を避ける行動要請、無観客にし、選手はワクチン接種義務。競輪選手並みに選手村に長期隔離、通訳不在には自分で対処することなどを盛り込む。

長引くコロナ禍という「ケ」の日常を、オリンピックという「ハレ」の舞台で吹き飛ばす。一緒にテレビを見て世界一のアスリートたちの素晴らしい能力を再認識しましょう、と訴えるのがよいのではと思います。

 

2.無観客や人数制限では選手のモラル上がらないという説がありますが、全然そうではありません。いないほうが選手は世界一の相手と競争するための集中力は増して、いい結果になるかもしれません。五輪競技種目でサッカーや野球のように国内の試合に何万も入る競技はほとんどなく、陸上では日本選手権、国体とか日本選手権大会でも観客はまばらで、ほぼ無観客状態が普通です。箱根駅伝の過熱ぶりが異常なのです。ここは観客側が辛抱してテレビ観戦すればいいのではないかと思います。

PS

なお、私はオリンピックについては、モスクワの時宋兄弟には何もしてやれなかったという悔恨の情から、その後幾多のオリンピック選手を輩出しました。そして会社関係者を応援に行かせました。私は「贖罪」の意味で応援参加を封印して今日に至っていますので、テレビ観戦で何の支障もありません。

すでに社内から陸上だけで代表は3人決まっていますが・・・。

引用終わり

 

  ここからは林の感想です。

  確かに陸上の日本選手権や数多い○○マラソンなどを見ていると、スタンドの観客席はまばらですよね。先日100mで山形選手が9.95秒を記録した大会でも、観客は制限をうけているのかもしれませんが、まばらでした。

 

  やはりモスクワオリンピックの不参加は、アスリートはもとより関係者の方々にとっても、大きな悔恨の情を残すものだったんですね。

  この方の投稿を拝見して、我々も開催の議論をするとき、生涯を賭けて競技に臨もうとする選手のことも十分に考慮すべきだと思いました。

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やったね、笹生優花!

2021年06月08日 | ゴルフ

  松山選手に続き、素晴らしいニュースが飛び込んできましたね。

 

  笹生優花選手、全米オープン優勝おめでとう!

  最年少優勝は本当にすごいの一言です。

 

  20年の日本ツアーデビュー直後、彼女は18歳の新人で2連勝したので、ただ者ではないとは感じていましたが、一気に世界の頂点に上り詰めるとは予想をはるかに上回りました。

 

  そしてプレーオフを戦った畑岡なさちゃん、惜しい。悔しいでしょうが、チャンスはこれからたくさんあります。

 

  男子のメジャートーナメント、マスターズを始めて日本人が制覇したばかりなのに、次いで全米女子オープンでの勝利。ゴルフファンとしては本当に嬉しいです。笹生優花は日本人のお父さんとフィリピン人のお母さんのハーフで、国籍は2重国籍ですが、アメリカでのトーナメント登録はフィリピン国籍ですので、国際的ニュースは「初のフィリピン人選手の制覇」となっています。

  でも彼女を本格的にゴルファーとして育てたのは三重県志摩にある代々木高校の吉岡徹治コーチです。この通信制高校はなんと「アスリートゴルフコース」という養成コースがあるほどの学校です。

 

  では全米女子オープンの優勝価値を見てみます。

  このトーナメントの優勝賞金は百万ドル、1.1億円。実は日本女子オープンの賞金総額とほぼ同じ額ですので、予選通過者60人分の賞金を総取りということになります。しかもこの勝利によって彼女は世界ランキングを大きく上げて、日本人ではプレーオフを争った畑岡なさに迫る見込みですが、オリンピックはフィリピン代表で出場ですので、日本の代表争いには影響はありません。

 

  全米女子オープンの「格」はどの程度でしょうか。女子にはマスターズがありませんので、私が勝手に解釈すれば圧倒的に世界最上級のトーナメント。将棋で言えば名人位です。

  渋野日向子選手には申し訳ないのですが、彼女が優勝した全英オープンとは比較になりません。何故なら女子の全英がメジャートーナメントに認定されたのはつい最近の2001年。その昔、1984年には岡本綾子が優勝していますが、メジャータイトルとは認定されていないのです。

 

  では女子のメジャーとは他になにがあるか並べますと、

 

・全米女子オープン、最古のメジャー

・全米女子プロ選手権

・クラフトナビスコ選手権

・全英女子オープン

・エビアン選手権

  みなさんにはあまりなじみのない名前が多いと思います。

 

  ついでに全米女子オープンの思い出を一つ。私がNYにいた1987年の全米女子オープンで、岡本綾子はプレーオフ3人に残りました。当時全米オープンのプレーオフは18ホールを戦うシステムだったのですが、翌日は豪雨だったので火曜日に順延され、3人で18ホールを回り、岡本は1打差でイギリスのローラ・デイビスに敗れ2位でした。会場はニューヨークの隣のニュージャージー州だったため、平日でなければ応援に行きたいと思ったのを思い出します。ちなみにその年のアメリカ女子ツアーの賞金女王は岡本綾子で、いまのところ男子を含め賞金王は彼女一人です。

 

  今後の笹生優花の活躍を期待しましょう。

 

 

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