ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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不動産バブル崩壊の再現

2020年07月29日 | 不動産投資

  あれだけ動かなかったドル円レートが、一時NYで104円台に入りましたね。ドル転のチャンスを待っている方、少しずつ買い下がるチャンスかもしれません。

 

  今回は私がコロナ禍で懸念している日本の不動産投資についてです。

  80年代に我が世の春を謳歌した不動産投資でしたが、バブルは大きく膨らみ90年代早々見事に破裂。株式市場の崩壊とともに後遺症が十数年に及ぶ日本経済の低迷を招く最大の要因になりました。しかし08年の金融危機後にはバブルの後遺症もほぼ癒され、12年末の安倍政権によるアベノミクス宣言と日銀の異次元の金融緩和により、不動産市場はふたたび復活し、現状は行き過ぎてバブルの様相を呈していると思います。といってもそれは全国レベルの話ではなく、東京などの大都市とその周辺、そして地方の中核都市での話です。

  その裏では2000年代初頭から始まったREITという不動産投資の新たな動きが投資の後押しをしています。REITは不動産投資信託として小口の投資を可能にし、一般投資家を広く募ることを可能とした投資システムです。現物の不動産は資産の中で最も流動性に欠け、私が忌み嫌う資産の代表格ですが、REITは小口だし上場されていて流動性が十分にあります。アメリカでは70年代からある商品で、もし日本でも早くからREITがあったら、あの猛烈なバブルはなかったかもしれません。その理由は、REITによる不動産の評価方法が、世界標準であるDCF(収益還元法)だからです。

 

  今回のコロナ危機は、アベノミクスによる不動産バブルを崩壊させるインパクトを持っていると私は見ています。なぜならこの10年あまりの不動産投資が、限られたセクターに集中し、価格を押し上げているからです。集中先は第一にオフィスビル第二にホテル第三に都心の高層マンションの3つです。ひとつずつ見ていきましょう。もう一つ、物流センターの建設ラッシュは、心配なレベルまでに達していないとみています。

 

  まず第一にオフィスビルから。コロナ感染の最も有効な予防策はリモートワークです。それがすでに都心オフィススペースの縮減をもたらしています。企業によってはオフィスをすべて返却し、今後永遠にリモートワークをすると宣言するところまで現れています。そこまでいかずとも例えば富士通は8万5千人の社員を抱えていますが、今後3年間でオフィスを半減させる目標を立てました。NTTも原則5割を在宅勤務とし、日立製作所でも全社員の7割を目標に週の半分は在宅勤務を継続します。こうした動きは大企業に限らず、むしろ渋谷などにオフィスを構える新興IT系ベンチャー企業に幅広く浸透しつつあります。小規模な非製造業の企業にとって、人件費を除けば最大の固定費はオフィスの賃貸料です。それが削減できれば企業の存続可能性をがぜん高めることができます。

  一方供給サイドでは新築のオフィスビルが今後もどんどん竣工する見込みで、都内に限っても1万平米以上のオフィスビル・プロジェクトが2百数十も進行中だそうです。需給ともに懸念される状態です。

  私はゴルフに行くとき、時々首都高でレインボーブリッジを渡るのですが、最近の東京の夜景は本当に綺麗です。昔NYにいた時にブルックリンサイドからみたマンハッタンの摩天楼の夜景に見とれましたが、東京もそれに負けないほど高層ビルと高層マンションが密集していて、それに東京タワーのライトアップが花を添えてくれるまでになっています。

  今回のバブルの頂点を象徴するものとして森ビルとJTによる「神谷町プロジェクト」が進行中で、規模もさることながら、日本で最も高いビルも建ち上がる予定です。こうした多くの新規プロジェクトは、コロナで減退しているオフィスビル市場に水をかけ、賃料を下に引っ張ることになります。

  もっとも新築のビルは埋めることができます。同じ賃料なら新築ビルにの競争力は古いビルに比べて圧倒的に強いからですが、その分古いビルは借り手を失うか、賃料を下げざるを得ない。それが玉突き状態で波及します。もちろん新築ビルも実際には見込んだ賃料を得ることができず、収支は悪化せざるを得ません。

 

  そして第二のホテルですが、海外観光客の99.9%の減少と国内旅行客や出張客の減少が稼働率を大きく減少させると同時に客室単価も低下させ、その掛け算である売上高は壊滅的な状況です。その様子を5月21日の日経ニュースから引用します。

 

引用

ホテル専門の英調査会社STRが発表した4月の日本国内ホテルの稼働率は14.1%となり、3月に続いて過去最低を更新した。平均客室単価も前年同月に比べ47.5%下落した。新型コロナウイルスのまん延で宿泊業の収益環境の悪化が一段と鮮明になった。

都市別にみると東京の客室単価は1万2829円で前年同月比41.9%下落。大阪は9295円で同40.9%下がった。稼働率はビジネス客の減少も影響し東京が11%、大阪が10.3%となるなど落ち込みが目立った。

引用終わり

 上の数字をまとめて単純化しますと、稼働率が8割以上減少してわずか2割弱に。そして販売単価が4割減なので収入は従来の1割強しかなくなった、ということになります。その上ホテル業界の最大の悩みは、ここに至るまでの数年と今後数年の新設ホテルによる供給激増です。それもラグジュアリーなホテルの建設ラッシュばかりではありません。他人事ながら心配なのはホテル業界でも日本最大、10万室の客室数を誇るまでに急成長したアパホテルです。いまでも毎日のように新ホテルのオープンを宣伝し続けています。APAだけは例外などということは決してありません。

 

  そして第三に都心の高層マンションです。すでに家計の防衛本能が新築住宅への需要を冷え込ませています。それと同時に、リモートワークの普及は過密都市からの逃避をもたらしつつあります。その様子をまずは時事通信6月18日のニュースから。

「不動産経済研究所が6月18日発表した5月の首都圏(東京都、神奈川、埼玉、千葉各県)の新築マンション発売戸数は前年同月比82.2%減の393戸だった。4月の686戸を下回り、単月の戸数として過去最少を更新した。」

それが6月には若干回復し、以下のようになっています。

「6月のマンション市場動向調査によると、首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月比31.7%減の1543戸と10カ月連続で減少した。契約戸数は1129戸で、消費者が購入した割合を示す月間契約率は同7.3ポイント上昇の73.2%だった。

  その結果、2020年上半期(1~6月)の首都圏(東京都、神奈川、埼玉、千葉各県)の新築マンション発売戸数は前年同期比44.2%減の7497戸だった。上半期としては1973年の調査開始以来、最少となった。」

 

  こうしてオフィスビル、ホテル、新築マンションなどの数字をみると、すでに不動産バブルの崩壊が始まっているという見方に納得がいくと思います。そしてコロナが去れば戻るという期待は持たないほうがよいと思います。何故ならバブってしまったということは、あるべき水準をはるかに超えているということですから、超えた分まで戻ることはありません。

  この3つの不動産セクターはいずれも建設業界にとっては最大の顧客です。ということは、すそ野の広い建設業界も不動産の不振により大きな悪影響を受け、今後は産業界の中でも大いに足を引っ張る側にまわることでしょう。ということは、鉄骨やコンクリート、ガラスなどの建設資材メーカーも影響を受けます。

 

  こうした日本の不動産投資ですが、実は金利は80年代の大バブル時代に比べてはるかに低いにもかかわらず投資行動は慎重で、無茶な投資はしていません。理由はオフィスビルにしろホテルにしろ、投資決定にはDCF(収益還元法)による価格評価方法を使っているからです。その裏には最初に申し上げた不動産投資にREITが参入したことがDCF評価を一般化させたことに貢献していたのです。

 

DCFは大変重要な投資の概念ですので、別途説明いたします。

 

つづく

 

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コロナ感染抑制と経済の両立は無理

2020年07月24日 | コロナショック

  「小池都知事はいったい何をためらっているのか」と書いた私の警告は残念ながら知事には届かず(笑)、政府にも届かず、とんでもないことになりつつあります。これではまるでトランプのアメリカと同じで、せっかくの自粛の努力も元の木阿弥になりつつあります。

  もちろん都知事だけでなく、政府も同罪です。彼らの主張は、

・感染者の大半は若い人たち

・重症患者は多くない

・病院の受け入れ態勢は十分だ

  こんなたわ言は着々と否定されつつあります。若い感染者たちは当然高齢者に感染させるし、それが重症者を増加させ、病床はあっと言う間にひっ迫します。最近の病院関係者のコメントは全員が,「このままではあっという間に病床は不足する。余裕があるなどはウソ」と断言しています。

 

   「コロナ感染抑制と経済の両立を図るのは無理」

 

  これがシロウトである私の結論です。

 

  ではクロウトの先生はどうおっしゃっているか。今週NHKBS番組で紹介された東京大学医科学研究所でコロナウイルスと第一線で格闘している河岡義裕教授の言葉です。しっかりと覚えておきましょう。

 

「一番怖いのは、この程度の自粛でいいんだと思い冬に突入すること」、という言葉です。

 

  新型コロナの治療薬で唯一承認されたレムデシビルは、河岡教授の基礎研究の成果によって製造に成功しました。河岡教授はウイルス研究界のスパースターと言われているそうで、ノーベル賞候補ともいわれています。

 

  さて7月23日、東京都の1日の感染者数が4月のピークをはるかに超え366人で過去最多になりました。全国の感染者数も981人でこれまた過去最多を記録し、しかもグラフを見ると感染者数は4月の緊急事態宣言直前と同じように急角度で上昇しています。東京都も政府も早く負けを認めるべきで、「Go To キャンペーンを停止すべき」です。

  運転で言えば左足でブレーキを踏みながら右足でアクセルを踏み、どっちが勝つかやってみようという状態です。こんな矛盾した政策は一刻も早くやめにして欲しい。

 

  参考にすべきはアメリカです。このところ評価が一段と高まっているクオモ知事率いるNY州とその他地域の差が実に顕著に表れています。NY州は100日間に及ぶ非常に厳しい出勤禁止を含む外出禁止令を出していました。その解除を6月8日に行いましたが、その後の解除は以下のように段階的フェーズで行いました。以下はNY市の日本人向けサイト、「週刊NY生活」からの引用です。

 

引用

■フェーズ1=建設業、農業、林業、釣り、狩猟、小売業(店先または店内での受け渡しに限定)、製造、卸売業

■フェーズ2=事務所、不動産業、小売業、自動車販売&リース、修理・清掃業、商業用ビル管理業、美容院・理容院、レストラン(屋外席・テークアウト・配達に限定)

■フェーズ3=レストラン/フードサービス

■フェーズ4=芸術/エンターテイメント/レクリエーション、教育

引用終わり

 

  NY州は東南のNY市から北西はカナダ国境のナイアガラまで実に広大な州です。人口の希薄地帯もあるため、各フェーズへのステップアップ解除は地域ごとに区分され実行されています。マンハッタンを含むNY市も厳しい封鎖のおかげですでにフェーズは4まで進みました。

  NY市の死亡者数は1日500人を突破していたピーク時から、封鎖措置のおかげで7月17日と19日は遂にゼロを達成。新規感染者数も19日はわずか5人です。

 

  一方、封鎖をいち早く解除したテキサス、フロリダ、カリフォルニア州などは感染爆発が続き、すでに医療崩壊が起こりつつあって、同じ国内とは思えないほど悲惨な状況になっています。各州知事の力量もさることながら、愚かな大統領がそれに拍車を掛けたのは明らかです。トランプは遂にマスクをしろと言い始めてはいますが、ことすでに遅し!

  こうしてNY州と感染爆発の進むアメリカ全体を比較すると、経済と感染防止の両立は無理であることが見てとれます。一国経済の中心、いや世界経済と金融の中心地であるNY市は、クオモ知事の見事なマネージにより復活を遂げつつあります。

  そのトランプ、6月20日にやめろと言われながら大人数での選挙遊説ラリーをオクラホマ州タルサで強行し、その場で感染者を出しました。コロナと同じくらいウソを撒き続けています。ワシントンポストの集計では、彼のウソとデマカセは7月9日遂に2万回を超えたそうです。就任以来、毎日13・4回ウソをつく勘定になります。いやー、たいしたもんです(爆)。

  経済優先政策を貫くトランプのおかげで株式相場は相変わらず高値を保っていますが、私はそれが続くとは見ていません。彼の落選とともには株価は剥落するに違いない。

 

最後にもう一度申し上げます。

「コロナ感染抑制と経済の両立は無理」なのです。

 

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佐川君への手紙

2020年07月20日 | ニュース・コメント

  安倍ブラック内閣の最暗黒部分の一つ、森友学園の国有地売却問題に関して、裁判がはじまりましたね。私は昨年6月15日に、「佐川君たちへの手紙」という記事を書きました。その後実際に文書改ざんを強要させられ、精神的に追い詰められ遂に自殺した赤井俊夫氏への追悼と奥様へのサポートを意図し、その記事を再掲します。

  まずその前に今回の裁判に関する7月15日の日経新聞記事を引用します。

「学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当した財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さん(当時54)の妻が、国と佐川宣寿元国税庁長官に計約1億1200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、大阪地裁で開かれた。国と佐川氏側は請求棄却を求めた。一方、妻の雅子さん(49)は、自殺は決裁文書の改ざんを強制されたのが原因として、「真実が知りたい」と訴えた。」

 

  では1年ほど前の私の記事の内容です。

引用

拝啓佐川君

   君の国会答弁やその後の証拠隠滅や改竄の強要により、君に殺された人がいます。一連の答弁で何百回ウソをついたのでしょうか。私がもし殺された方の家族だったら、佐川君、麻生君、安部君を殺人罪で告訴します。そして遺書として書かれた文書を新聞で公表します。

   いくら安倍君に代わりがいないといっても、麻生君ともども辞めてもらいましょう。国民は君たちや役人たちのやり口が許せないし、おざなりの処分では気が済まないのです。ガバナンスのないガバメントなんて、悪い冗談でしかありません。嘘をつきとおした褒章が国税庁長官だなんて、絶対に許せません。

  位人臣を極めた佐川君、どうしたらあれだけ公式な場で平気でウソがつけるのか、君の心の中を覗かせてください。君は今でも反省の心はないのですか。君にも家族がいるでしょう。ご家族に対して、恥ずかしくありませんか。

   破廉恥なセクハラで辞めさせられた福田君、麻生君は君を擁護して、「ハメられた」と言ってくれましたね。うれしかったですか。でも君にも家族はいますよね。ご家族はどうされていますか。お気の毒です。

   麻生君、君の発言は8割がたが失言ですね。あとの2割は役人の作文を読むときです。それだけ失言していても、自分自身は失言なんかしていないと思っているでしょ。その確信犯ぶりはトランプに近いものがありますね。きっとご家族は失言慣れしてしまったかもしれませんね。政治家になって以来失言のしどおしで、数十年の時が経っていますから。

  これくらい言わないと、不起訴処分への怒りが収まりません。

 腹立ちまぎれの一席でした。

引用終わり

  国は家族からの資料請求に、70ページに及ぶほぼ真っ黒な資料を送りつけました。安倍ブラック内閣のブラックたる証拠書類です。

  ガンバレ、赤木雅子さん!

 

 

 

 

 

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遅きに失したWHO

2020年07月12日 | コロナショック

  WHOがこれまでの見解を大きく変えました。「空気感染の可能性あり」との見解を示しました。7月10日の時事通信を引用します。

 

引用

世界保健機関(WHO)は9日、新型コロナウイルスの感染経路についての報告書を発表した。それによると、空気中の微粒子を介して感染者からある程度離れていても発生する「空気感染」について、屋内の混雑したレストランなどで起きる可能性は「排除できない」との見解を明らかにした。

WHOはこれまで、気管切開など特定の医療行為中に医療従事者が空気感染する可能性を指摘していたが、それ以外の状況については明言していなかった。
WHOによると、これまでに医療機関以外での空気感染が疑われるケースとして、コーラス練習やレストラン、フィットネス教室での感染例があった。特に混雑し、換気が十分でない屋内で長時間感染者と一緒にいれば、空気感染が発生する可能性は排除できないという。

引用終わり

 

  私は4月1日に「宇宙船地球号をコロナから救え」という記事を書いています。記事ではしろうとの私が状況証拠から見て空気感染の可能性を指摘し、用心するようにと警鐘を鳴らしていました。その記事をそのまま再度引用します。繰り返し部分は削っています。

引用

  どうやらコロナウイルス感染に関しては、日本でも世界でも全く新しいステージ入ったと見るほうがよさそうですね。その第1は感染力と感染方法です。そして第2は今後の対処についてですが、政府の非常事態宣言など待たず、国民が一致団結して感染を防ぐ国家総動員体制のステージに移行する必要があるとみるべきです。

 

  当初中国で流行が始まった時さんざん言われたのは、

・感染力は弱い

・空気感染はしない

・致死率は低い

これら3点でした。そして各国に感染が拡がった段階でも、日本を含め同じようなことが広く言われていました。

しかしこれまでの実態からみれば、

  • 感染力は強烈
  • 空気感染する
  • 致死率も高い

と見るべきでしょう。

    私のスキー&ゴルフ仲間の一人は、ご夫婦でダイヤモンド・プリンセスに10回くらい乗船しているヘビーユーザーなのですが、彼が船内感染の状況を見ながら2月初から何度も言っていたのは、

「あれほどの感染拡大は、空気感染しなければありえない。換気口を通じた感染や食事中の会話での空気感染以外考えられない」でした。

「客室はかなり厳重な仕切りとドアがあるし、食事も2人だけのテーブルで、お互いに距離を保てるゆったりとした配置なので、客同士の接触はほとんどないし、知らない日本人客同士がハグしたりしない。ましてや外人とは。空気中のウイルスで感染する以外ありえない。特に感染者が認められた後も続々と新たな感染者が増加したのは、空気感染したからだ。」というのが彼の結論でした。納得できる説です。

  大阪のライブハウスの大クラスター感染もしかり。みんなが手をつないだわけでもなし、ハグしたりはしていないのに大人数が一度に感染しています。クシャミの飛沫が部屋全体に拡がるなんて、考えられません。屋形船もしかり、葬儀でのクラスターもしかり。

  我々の「つもり」としては、『コロナは空気感染しまっせ』、と思っていないといけないでしょう。それらが厳密には空気でなく飛沫感染だと定義されても、飛沫は限りなく空気に近いと考えるべきなのです。

  NHKのクシャミの実験映像でも飛沫には100分の1ミリ程度のマイクロ飛沫がある。それらは空気中からなかなか落ちず、20分程度は漂っているとのこと。普通の飛沫がクシャミ後すぐに落下するのとは大違いだと警鐘を鳴らしていました。イタリアの病院での医療従事者の感染のひどさも、空気感染なければとても起こりえないことだと思います。

ということで、私の勝手なコロナ大災害の解釈は

  • 感染力は強烈
  • 空気感染する
  • 致死率も高い

と考えて、この新しいステージでは「可能な限り他人との接触を避けるべき」です。

 それが間違っていようがいまいが、そんなことは知ったことじゃない。今は自分の身を徹底的に守ることが他人を守ることにつながると信じます。

そして国家間も同様に、自国を徹底的に守ることが、他国を守ることにつながる。アホな独裁者たちが勝手な動きをしてもそんなことには目もくれず、世界の人々はコロナウイルス撲滅に向けて一致団結することで、宇宙船地球号に住む人類を守りましょう。

 引用終わり

 

  ここへきてのWHOの見解発表、遅きに失しています。そして東京都の感染者数拡大は4月当初の感染爆発の時とほぼ同じ急上昇のカーブを描いているにもかかわらず、積極的抑制策を採用していません。私に何度も「小池都知事はいったいなにをちゅうちょしているのか」などと言わせないようにして欲しい。

  もしこのままこの状態を強い規制をかけずに放置すれば、再度「緊急事態宣言」を発せざるを得ません。その場合、経済損失は前回を大きく上回ることが見込まれます。その理由は、今度こそ根治するまで戦うことにならさざるを得ないからです。今はそうならないための措置をとる瀬戸際であることを、東京都も政府も認識すべきです。

 そして私たちは自分にできる最大限の防衛策を取るようにしましょう。

  我々人類はかげがいのない宇宙船地球号の乗組員です。「世界は一つ、人類はみな兄弟」ではありませんが、東京都でも日本一国の問題でもありません。海外で感染が拡がっていく限り、JALやANAだけでなく、世界の観光業界が未曽有の落ち込みから脱出できることはありえません。それは世界経済全体でも同じです。

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航空需要の枯渇と航空会社の先行き

2020年07月10日 | コロナショック

  元JALの私としては、JALだけでなくすべての航空会社の存続が危ぶまれる現状をとても憂慮しています。コロナショックは様々な産業分野に幅広く影響していますが、旅行業界ほどひどい影響を受けている業界はないのではないでしょうか。

  航空需要は武漢でコロナウイス感染が爆発的に広がってからわずか一か月余りで、ほぼ枯渇してしまうほどになって、その後現在に至るまで回復の兆しはありません。もちろん航空会社とともに、ホテル業界、旅行代理店業界も同様な状況が継続しています。

  世界の航空会社の8割、が加盟するIATAという国際的組織のまとめた報告書を6月9日の日経ニュースから見てみましょう。原文ではドル額ですが、107円で円建てに直しています。

 

引用

国際航空運送協会(IATA)は9日、新型コロナウイルスの影響で2020年の世界の航空会社の最終損益が約9兆円の赤字になるとの見通しを発表した。売上高が19年の半分に落ち込むのに対し、費用の減少が追いつかないためだ。21年は改善するものの、1兆7千億円の赤字が残る見通しだ。

20年の旅客需要は19年比半減の22億5千万人と06年並みの水準になるとみており、売上高は448兆円になる。燃料費などのコストは減るが乗客1人あたりの費用は増え、全体では35%しか減らない。固定費に加え、航空券の払戻費用も重なり4~6月期だけで65兆円の資金が消失する。

危機を乗り切るため航空各社はこれまでに各国政府の支援で132兆円を手当てした。だが、このうちの半分以上は返済する必要がある。民間からの借り入れなどを合わせた負債額は20年末で558兆円を見込む。積み上がる負債が航空会社の経営を圧迫するおそれもある。

IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長は声明で「20年は航空史上で最悪の年だ。1日に246億円ずつ損失が膨らんでいる」と述べた。一方で「(新型コロナ感染の)第2の波が来ないという前提で、需要落ち込みの最悪期は脱した」と今後の回復に期待を示した。

 

引用終わり

 

  数字が大きすぎて実感をともないませんね。では簡単に要約しますと、全世界で航空需要が半減するのにコストは全体で35%しか減らないので、20年の赤字は9兆円にもなる。21年になってもまだ1.8兆円の赤字が残るだろうという見通しです。しかし最後の「最悪期は脱した」は楽観的過ぎると思います。世界の感染はアメリカがしっかりとリードして、ますます増加するに違いないからです。特に発展途上国のように医療体制が整っていない国の感染拡大はこれからです。

  日本の航空会社では4月以降、国際線の旅客数は約9割、国内線でも6割近く減少しています。海外からの観光客は99%減ですから、さもありなんです。両社は便数もそれに合わせて同様に減らしていますが、なにせ機材・設備・人件費などの固定費が重く、毎月数百億円の赤字を出し続けています。

  それに対し政府も支援策を打ち出していますが、個別企業への直接的援助は難しいため、金融機関を通じた資金供給などを行っています。しかし供給された資金はいずれも返済する必要があるため、今後も長い長いトンネルが続くことになりそうです。

  では今後長い目で見た航空需要はどうなのでしょうか。先ほども指摘しましたが、コロナの本格感染はまだまだこれからです。私もこの記事を書くタイミングをピークが見えたらと思っていたのですが、それは全く見えないため、見切り発車しています。比較的うまくコロナの影響を抑えていたとみられていた日本ですら、昨日は東京が4月の最ピークの感染者数を超えてしまいました。1週間前7月3日、私は「小池都知事はいったいなにをためらっているのか」と言う指摘を私的なサイバーサロンで行いました。その指摘が当たってしまうという望まない結果になりつつあります。

  ブラジルではボルソナロがトランプと文字通り愚かさを競い自身もコロナに感染し、感染者数は予定通り世界ランクで2位に浮上。1位のアメリカをうかがうところに至っています。いくらトランプやボルソナロが経済優先を叫ぼうが、賢い人々はそれに踊らされるようなことはなく、遊びの旅行需要などとても回復は見込めません。しかもウィズコロナの時代ではリモートワークが普及し、仕事での出張者は増えるわけもない。

うちの家内のキャットシッターの仕事は飼い主が旅行や出張の留守中、ネコちゃんの世話をするのですが、3・4・5月はゼロ件と如実に数字に表れています。解除後の6月末にわずかな件数がありましたが、7月も超スローな状態が続いています。

  欧米の航空会社では大量の一時解雇者が増加し、ユナイテッド航空は昨日従業員の4割にあたる3.6万人を10月から削減する可能性に言及しています。航空会社が本当に苦しくなるのはこれからでしょうから、私としてはとても心配です。いつまで航空会社がもつのか、全く見通しなど持てません。

  以下に7月3日に私がサイバーサロンに投稿した内容を、みなさんにも見ていただくことにします。

 

緊急投稿;小池都知事はいったい何をためらっているのか

  東京の感染者数は2日続けて100人を超え、一桁だった先月に比べると明らかに急な上昇カーブを描いています。国全体の感染者数の約半数を東京が占め、埼玉・神奈川・千葉を含めた一都三県としてみると、全国の6-7割を占めています。そして東京の感染者の約7割を30歳以下の若者が占め、ホストクラブやキャバクラなど夜の街が主な感染源になっています。

  この時点でも東京都は独自の緊急事態宣言どころか休業要請や営業自粛の要請も行っていません。何も夜の街全部とはいいません。ホストクラブとキャバクラだけでも狙い撃ちにしたらどうでしょう。

  大阪では3月にライブハウスでクラスターが発生して、ライブハウスやスポーツジムを限定的ターゲットにした休業要請を実施し、抑え込みに成功しました。

  小池都知事はいったいなにをちゅうちょしているのでしょうか。まさか選挙をにらんでの我慢じゃないでしょうね。もし今週末の選挙が終わって月曜日になって要請が出るようだと疑わざるを得ません。

  小池知事は本日7月3日の会見で、「休業要請は感染者数の推移と経済的ダメージの双方を考慮にいれる必要がある。再度の休業要請は国の緊急事態宣言があったら。」と発言していますが、遅すぎです。これまでの経験を無視しているとしか思えません。

  北海道の様に独自の緊急事態宣言は出せるし、飲食業全体ではなく大阪のようにクラスターの発生業態に限定することもできるはずです。そうすれば国に依存する必要もないし、経済的ダメージもかなり限定できるはずです。

  せっかく感染者数も死亡者数も低いのですから、このまま中途半端に緩んだままにせず、是非限定的休業要請を早急にすべきだと思います。

林 敬一

 

 

 

 

 

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