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2021年はスポーツの1年でした

2021年12月31日 | エッセイ

2021年はすべてのスポーツファンにとって本当に素晴らしい1年でしたね。

ゴルフ好きの私は4月に松山英樹のマスターズ優勝に涙を流し、6月には全米女子オープンで笹生優花と畑岡奈紗がプレーオフ、笹生優花が優勝して感激。それから夏までは毎日のように飛び込んでくる大谷翔平の特大ホームランやナイスピッチングに心躍り、最後にはMVPを獲得するという快挙を成し遂げてくれました。

そして迎えたオリンピックは感動の連続でした。

柔道の安倍兄弟の金メダルに喜び、スケボーの子供たちの金メダルに驚き、卓球のミックスダブルスで水谷・伊藤ペアの優勝に感動。一方では絶対王者と言われたバドミントンの桃田賢斗、テニスの大阪ナオミが予選敗退し、残念な結果として印象に残りました。そして最後の男子マラソンでは大迫傑が6位に入賞し、見事な結果を残してくれました。

相撲でもどん底から這い上がった照ノ富士が大関、横綱と順調に昇進し、最後には全勝優勝まで成し遂げ、見事な復活劇を見せてくれました。以前も批判しましたが、とてもじゃないがフェアーとは言えない白鳳から、フェアーな相撲道に徹する照ノ富士に横綱が変わったことで、来年からはストレスフリーで相撲を楽しめそうです。

もう一つスポーツではありませんが、音楽好きの私にとりこの上ない感動の連続だったのがショパンコンクールでの日本人の活躍でした。以前から応援を続けている反田恭平の準優勝は見事と言うほかありません。すでに十分な名声を得ている彼にとってコンクールへの出場は大きなリスクです。にもかかわらず4年前からワルシャワ音楽院でショパンを学び直し、準優勝まで勝ち取ったのは快挙そのものです。帰国後はクラシックの世界にもかかわらずマスコミが数多く取り上げ、彼がトップを務める株式会社ジャパン・ナショナル・オーケストラにとっては最高のプロモーション機会となりました。

今後の活躍がますます期待されますが一つだけ問題が。それは実は彼はこの数年前から日本で一番チケットの取りづらい演奏家だったのが、ほぼ不可能な演奏家になってしまったことです。凱旋コンサートになるはずのコンサートも、売り出し直後にトライしても売り切れてしまい、今後もこんな状態が続くと思うと残念至極です。

 

年の瀬になってもコロナのパンデミックはおさまりませんが、新年はどんな世界が待っているのか、私の期待は膨らんでいます。

今年も私のブログをお読みいただき、ありがとうございました。

ではよいお年をお迎えください。

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中国は世界制覇できるか、その2.いつかきたみち

2021年12月27日 | 中国問題

 このみちーは、いつかきたみーち。

そうだよー、日本がたどった道だ。

  前回は中国がすでに一人当たり国民所得1万ドルの壁を難なく突破し、1万4千ドルに達していることをお知らせしました。日本も先進国の仲間入りするまでひたすら高度成長を貫き、平均所得1万ドルの壁もなんなく突破。しかしその後の日本は不動産や株式市場の崩壊に見舞われてスローダウンしました。日本と同様、中国でも巨大不動産企業恒大集団が実質的に崩壊。それを国家が介入することで何とか大崩壊に至らないよう支えているのが現状です。その他でも地方の大きな不動産開発業者の倒産が続いています。

  日本はバブル崩壊後の90年代後半にタイミングを合わせるようにして団塊ジュニアの労働参加がピークを迎え、労働人口の増加が止まりました。いわゆる人口のボーナスがなくなり、逆に人口オーナスと言われる足を引っ張る状態になり成長率の低下に見舞われました。

  今の中国も同じみちをたどりつつあります。日経新聞の5月21日の記事を引用しますと、

「人口全体の7割を占める15~64歳の生産年齢人口は20年に9億6776万人と、ピークの13年から3.8%減った。 中国は働き手世代の減少が成長の足かせとなる「人口オーナス」に入っている。」

  中国も日本同様労働人口減少のため経済成長率が低下し始めています。5年ごとに平均成長率を見ますと、2015年までの2桁成長から明らかにスローダウンを始めています。

2001-5年  9,8%

 06-10年 11.3%

 11-15年 11.1%

 16-19年  6.6%  

20年はコロナの影響が大きいため除き、それまでの4年平均です。

  中国の労働人口減少は今後一人っ子政策が本格的に影響を及ぼすため、長期にわたり継続しますし、一人っ子政策が解除された後も教育費などの高騰で少子化がますます進行し、回復の目途は立っていません。

  人口問題の他に日本と大きく異なるのは中国の所得格差がとてつもなく大きく、それが今後全体の足をひっぱることです。80年代の半ばに鄧小平が「先に豊かになれるものから豊かになる」という「先富論」を唱え、そのまま突き進んできましたが、習近平政府は貧富の格差が社会不安を生み出しつつあることに気づき、今年10月の六中全会で「共同富裕論」を唱え方向転換しました。

  では中国の貧富の格差がどれほどのものか見てみましょう。所得格差がどの程度かを国際的に比較するために「ジニ係数」という統計処理方法があります。私はこの係数は役立たずだと思っています。各国の係数を示しますと、

中国;0.47  アメリカ;0.39 日本;0.33

これを見せられても「なんのこっちゃ」、でしかありません。

  むしろ中国首脳の次の言葉がよほど事実を把握しやすいと思います。すでに国民の平均所得が1万4千ドルだと記しました。平均月収に直すと13万円程度です。しかし李克強首相は20年5月に「毎月の収入が1000人民元程度(日本円で1万7000円程度)の人がまだ6億人いる」と述べています。年収に直すと1,800ドルで、平均値の14,000千ドルのわずか13%しか得ていません。人口の45%がたったそれだけの所得にも関わらず平均が14,000ドルになるためには、高所得層の所得がとてつもなく巨額だからにちがいありません。

  共同富裕を目指すのはいいのですが、今は「共同貧困」そのものです。一方で昨今の中国国内ニュースでは、ネット上で活躍するインフルエンサーの女の子に政府が追徴金を含め240億円の支払いを命じました。それを12月21日のNHKニュースから引用しますと、

「黄薇(こうび)氏はおととしから去年にかけてうその申告を行って所得を隠すなどし、およそ6億4300万人民元、日本円で110億円余りを脱税していました。税務当局は黄氏に対し、追徴課税や罰金などとしておよそ13億4100万人民元、日本円でおよそ240億円の支払いを命じたということです。」

  この額、巨額過ぎて把握しかねるほどです。いったい所得の総額はいくらなのでしょうか。その他にも10億円以上の罰金などの支払い命令を受けたインフルエンサーや女優などの摘発が進んでいます。

  これらのニュースは人民のみんなが知ることになったので、私が中国人民だったら当然、「この格差のどこが共産主義だ!」と叫ぶに違いありません。大多数の人民の月収1万7千円とのギャップはあまりにも多すぎ、世界でも有数の格差国が共産主義を標榜することなどありえない。

  さらに規制の網が厳しくなっているのは新興企業に対する規制です。ご存じのようにアリババの創業者ジャック・マーは昨秋から姿を見せなくなり、最近オランダにいるというニュースが流れただけです。21年1月のフォーブスのニュースを引用します。

  「中国一の富豪だったマーが最後に公の場に姿を見せたのは、昨年10月に上海で開催された「外灘(バンド)金融サミット」だった。サミットで、マーは規制当局がイノベーションを阻害していると批判し、11月初旬に政府機関から呼び出しを受けたとされる。

  11月3日には、2日後に控えたアリババ傘下の金融会社「アント・グループ」のIPOが突如中止された。その後、国家市場監督管理総局は、アリババを独占禁止法違反で調査していると発表した。マーは、10月後半から姿を見せていない。」

 

  彼は最近になってオランダにいることが目撃されその身は安全であっても、アリババという巨大ネット企業の成功を当局が嫌っていることは明らかです。こうしたことは今後同様な成功を目指す起業家にとって冷や水を浴びせることになります。インフルエンサーや成功した女優などへの処罰を含め、私に言わせれば「みんなを引き上げる共同富裕は難しいので、とりあえず上が落ちてくるように共同貧困に舵を切った」となります。

  なんともなさけない共産主義であり、習近平独裁体制です。はたしてこの格差の矛盾と成功の芽を摘んでいく新政策がどうなっていくか、さらに見通していきましょう。

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日本政府の最深部、財務省による「許諾」

2021年12月20日 | ニュース・コメント

  日本政府の最暗部である財務省の殺人事件が「許諾」という形で葬り去られました。

赤木雅子さんは「主人はまた殺された」と抗議し、直筆レターを財務省に渡しています。

  この件を取り上げるのは3度目になりますが、この許しがたい状況に対して赤木雅子さんを支援する意味でもまた取り上げることにします。まずは最初に取り上げた19年6月の投稿の引用です。

引用

拝啓佐川君

   君の国会答弁やその後の証拠隠滅や改竄の強要により、君に殺された人がいます。一連の答弁で何百回ウソをついたのでしょうか。私がもし殺された方の家族だったら、佐川君、麻生君、安部君を殺人罪で告訴します。そして遺書として書かれた文書を新聞で公表します。

   いくら安倍君に代わりがいないといっても、麻生君ともども辞めてもらいましょう。国民は君たちや役人たちのやり口が許せないし、おざなりの処分では気が済まないのです。ガバナンスのないガバメントなんて、悪い冗談でしかありません。嘘をつきとおした褒章が国税庁長官だなんて、絶対に許せません。

  位人臣を極めた佐川君、どうしたらあれだけ公式な場で平気でウソがつけるのか、君の心の中を覗かせてください。君は今でも反省の心はないのですか。君にも家族がいるでしょう。ご家族に対して、恥ずかしくありませんか。

 

   破廉恥なセクハラで辞めさせられた佐川君と同期の事務次官福田君。麻生君は君を擁護して、「女性記者にハメられた」と言ってくれましたね。うれしかったですか。でも君にもやはり家族はいますよね。ご家族はどうされていますか。お気の毒です。

   これくらい言わないと、君の不起訴処分への怒りが収まりません。

 腹立ちまぎれの一席でした。

 引用終わり

  そして次はその約1年後20年7月の投稿の引用です。

引用

  安倍ブラック内閣の最暗部分の一つ、森友学園の国有地売却問題に関して、自殺した赤木さんの妻による裁判がはじまりましたね。

  この裁判に関する20年7月15日の日経新聞記事を引用します。

「学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当した財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さん(当時54)の妻が、国と佐川宣寿元国税庁長官に計約1億1200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、大阪地裁で開かれた。国と佐川氏側は請求棄却を求めた。一方、妻の雅子さん(49)は、自殺は決裁文書の改ざんを強制されたのが原因として、「真実が知りたい」と訴えた。」

   国は家族からの資料請求に、70ページに及ぶほぼ真っ黒な資料を送りつけました。安倍ブラック内閣のブラックたる証拠書類です。

  ガンバレ、赤木雅子さん!

引用終わり

 

  雅子さんは今回の訴訟で、改ざん指示の詳しい内容などを明らかにするよう求めてきましたが、国が雅子さん側の損害賠償を認める「認諾」の手続きをとったため、訴訟は終結してしまいました。

  これ以上裁判を続けると国が真相を解明せざるを得なくなるため、追及の道を閉ざしたのでしょう。雅子さんはそれに対し「また殺された」と抗議し、財務省に直筆の抗議文を出しましたが、それに対する回答などあろうはずもない。まことに残念です。

  これが官庁の中の官庁と言われる財務省、日本の最深部の実態です。

  しかしよくよく考えれば、「許諾」したことは国が非を認めたことなので、非を作り出した本人に賠償させてもいいはずです。

  我々国民は、自分たちの税金がこの理不尽な事件の理不尽な決着のために使われるのを許した覚えはありません。佐川君の給与や退職金は1憶2千万円を超えているにちがいない。事件以降国から得た給料や退職金はすべて国庫に返納し、一人の人間として妻の赤木雅子さんに直接謝罪すべきでしょう。

 

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中国は世界制覇できるか  その1.民主主義サミット

2021年12月11日 | 中国問題

  バイデン大統領の仕掛けた民主主義サミットに対し、中国が見苦しいほど猛反発していますね。のたうち回れば回るほど、自ら最も痛いところを突かれたという宣伝になってしまうことを理解していません。「中国には中国の民主主義がある」などという、笑うしかないようなカワイイ言い訳をしています。

  私に言わせていただければ、「民主主義は自由があることが前提で、自由のない国に民主主義などそもそもあり得ない」

  今年のノーベル平和賞は言論の自由を守ろうと戦ったフィリピンとロシアのジャーナリストが受賞しました。今回のサミットの名称も自由・民主主義サミットとすれば、中国やロシアなど言論統制のひどい国へのより強力なパンチとなったのではないでしょうか。

  日本が戦前に経験した言論統制は、国民をマインドコントロールして戦争賛美一色に導いた最大の要素だと思われます。中国やロシアを見ているとかつての日本そのもので、それにプラスし領土拡大の野心を見せることで国民を一方向に向けようとするに違いない。その危険性をサミットで世界に知らしめることは一定の意義があると思います。

 

  一方、冬のオリンピックに関してもアメリカは人権問題を盾に外交的ボイコットを表明し、それに賛同する国が出てきています。それに対して識者の中には「オリンピックに政治は持ち込むべきでない」という建前論を展開する方がいます。フランスのマクロンもそうですね。

  これも私に言わせていただければ、「人権問題は政治以前の問題で、人類共通の自然権だ」となります。それを踏みにじる中国を非難するのは、人類共通の危機感の表明であって、民主主義対専制主義という政治次元の問題などではありません。中国は今後もきっと次々に北朝鮮並みの子供じみた手を繰り出してくるでしょうが、いちいち相手になどしないことです。

 

  さて、資本主義をファンド資本主義が救うというシリーズの次の展開は、我が世を謳歌する専制主義者習近平の中国の弱点をえぐり出すことです。

  このまま中国が成長を続けるとアメリカを抜き世界一の経済大国になると予想されています。そのことに驚く必要はありません。人口が絶対的に多いのですから、当然過ぎる帰結です。一人当たりのGDPが日本やアメリカを上回ったら、その時は驚いてあげましょう。現在の中国の一人当たりの所得はアメリカの6分の1しかありません。まだまだ中所得国でしかないのです。

  では2020年時点の数字を日本も入れて比較してみましょう。IMFの最近の発表数値を使います。

             アメリカ  中国   日本

GDP、10億ドル      22,267  16,642     5,378

  世界ランク       1    2     3

 

人口、億人           3.3   14.1   1.26

             

一人当たりGDP、万ドル    6.3     1.1     4.0

  世界ランク         5    62     24

  

   GDPで中国はすでに日本の4倍にもなっていて、アメリカにも7割と迫りつつあります。日本経済研究センターの予測では、2028年ごろアメリカに追いつくだろうとされています。しかし一人当たり所得はアメリカの6万3千ドル=約7百万円、日本の4万ドル=約440万円と比べても、1万1千ドル=約120万円の中国ははるか後方にいます。絶対的大きさも力の源泉の一つですが、国民の豊かさは一人当たりの所得です。

  この一人当たり所得の数値の意味を読み取るのにもう一つ大事なことがあります。それは中国が「一人当たりGDP1万ドルの罠」をすでにすり抜けたことです。

  1万ドルの罠とは、発展途上国が数千ドルレベルの中所得国になるまでは順調でも、1万ドル辺りで大きな壁にぶち当たるという一般的経験値があることを指します。その理由は、発展途上にある間は先進国の技術を模倣・移転して高成長を遂げられるが、1万ドルに近づくとそこからは独自の技術力が必要となり、それを超えるのに苦労し停滞するという議論です。

  これは例えばすでに高所得国の仲間入りを果たした韓国や台湾が、90年代にアジア危機の中で壁にぶち当たり苦しんだ時期があったことを想起させます。その後2か国は半導体、エレクトロニクス分野などで突破口を見出し、1万ドルの罠を抜け出しました。最近の数字で韓国は3万2千ドル、台湾は2万8千ドルです。

  今の中国は模倣や技術移転段階をすでに超え、先端技術でも独自の開発力を持っていてすでに壁を乗り越え、1万4千ドルに達しています。一つには技術を盗みまくったという批判があり、当たらずしも遠からずだと思いますが、このところは独自の開発力を持ち、日本がそうであったように1万ドルの罠をするりと一気にすり抜けました。

  今後、中国を待ち受ける別の大きな壁についてさらに分析を進めます。

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