ドル高が高進していますね。投稿時点では154円台です。最大の原因はアメリカ経済が好調でドルの金利が高いからです。
多くの方から、「このドル高でも長期のアメリカ国債に投資しても大丈夫か?」というご質問をいただいています。
私からの回答は、「もちろん大丈夫です」というものです。理由は単純で、ドル高に動いている時には、米国債の金利も高いからです。
ブログのコメント欄でも「安全性第一」さんというハンドルネームの方からその質問をいただきました。私からは逆にブレークイーブンの為替レートをその方に確認していただきました。ブレークイーブンの為替レートとは、いくらまでドル安になった場合、投資元本がマイナスになるかを確認する計算で、そこまでは損することはないというレートです。
ご質問は、「SBI証券のストリップス債は、1ドル153円超の本日ですと、17年~25年物で利回り4.5%を越えておりますが、153円の現在でも米国債購入はお勧めでしょうか?」というものでした。
そこで私から「SBIのサイトで、償還時のブレークイーブン為替レートがあるはずなので、調べてください」と依頼すると、早速回答をいただき、
「ブレークイーブンは、45円~67円でした。」とのこと。
1ドルが将来45円~67円になるとはとても思えません。17年~25年後には逆に200円~300円にもなっている可能性すらあると私は思っています。たとえ為替レートがいまのままであっても、ドル額では大きな利益が出ます。簡単に計算してみましょう。
現在の米国債の年限別金利をブルームバーグで確認しますと、
10年物;4.61%・・・複利運用で10年後に1,000ドルは1,577ドル
30年物;4.72%・・・複利運用で30年後に1,000ドルは4,053ドル
為替レートが変化していなくとも、10年後には約1.6倍、30年後では約4倍にもなります。なにもせずにこれだけの利益が出る、夢のようなお話です。
ブルームバーグでは20年物の表示はありません。理由はアメリカ国債には20年物の発行はないからです。そこで簡便法で20年物の金利を10年と30年の平均値とすると、4.67%になります。
20年物(仮定);4.67%・・・複利運用で20年後に1,000ドルは2,517ドル
20年後為替レートが今と同じレベルだとしても投資金額は約2.5倍にもなり、金利を生む米国債の威力は莫大だという事が理解できます。
では米国債投資の長期での投資実績を確認しておきましょう。
私が最初の著書、「証券会社が売りたがらない、米国債を買え」を出版したのが2011年8月です。その中で2011年末までの30年間の実績をあげていました。1981年に米国債を買って2011年に償還を迎えた時、どのような実績をあげたか。
81年当時の為替レートは1ドルが240円。それが2011年になんと3分の1の83円になってしまいました。ところが、81年時点の金利が非常に高く8%台でしたので、ドル建ての元本は複利計算でなんと24倍にもなっていました。
ですので、24を3で割ると8。つまり為替で3分の1になっても、金利で24倍になったため、結果は円建ての元本が8倍にもなったのです。100万円の投資は800万円になりました。
ではそれから12年後、昨年2冊目を出版した時におなじように計算すると、果たしてどうなったか。1993年に100万円投資すると、22年末で786万円になっていました。こちらも約8倍です。
二つの実績はほぼ同様の倍率になる結果を生み出しました。これはもちろん偶然で、今後を保証するものではありません。
ではもう一つ、2011年出版の著書を読んで、そこから開始した投資の現時点での結果はどうか。
その時点での30年債金利は4.37%で、ドル円は83円でした。そこで100万円投資すると、どうなったか。これまでにドルの元本は複利で1.75倍になっています。それにドルの値上がり分は83円が154円、つまり1.85倍ですので、両方を掛け合わせると、3.24倍。円建てでは100万円がすでに324万円になったということです。しかも今後20年近く毎年4.37%の金利をエンジョイできます。
しかし何よりも大事なのは、先週に続き本日も暴落している株式投資と違い、戦争が起ろうが、石油価格が上がろうが、米国債は暴落などしないという安心感が得られ、しかもきっちりと成果が出る投資対象だということです。
以上、「154円でも米国債は買いだ」でした。
蛇足;一平も、米国債には気が付かず(笑)