ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

パラリンピック、車いすラグビー

2021年08月30日 | パラリンピック2020

  パラリンピックの熱戦が続いていますね。水泳や陸上のトラック競技では金メダルを続々と獲得していますが、国民の間での盛り上がりはいまいちなのは残念です。そこで私が身近に感じた唯一のパラスポーツ競技、車いすラグビーについて書いてみることにしました。

  それは2000年代はじめの十年間、私のいた会社で車いすラグビー選手を雇用したのがきっかけでした。会社の動機は若干不純で、企業はハンディを抱えた社員を一定数雇用する義務があり、その義務を果たすことが第一義的な理由でした。法定雇用率は社員数の2.2%ですので、1千名程度の企業にとって達成は容易ではありませんでした。

  当時の社長はまだ30歳台の若い方で、どうせ雇用するなら企業として身障者雇用の貢献度の高さをアピールできるパラリンピック選手級の方にしようと社内で提案しました。すでに何名かいたハンディを持った方のアドバイスを得て、車いすラグビーの選手がよかろうということになり、探すこと数か月。候補に挙がったのが今回のパラリンピックでも活躍している島川慎一選手でした。彼は現在バークレイズ証券に所属しています。

  今回のパラリンピックの選手名簿に彼の名前があるのを見つけて私は本当に驚きました。年齢46歳で最年長だからです。非常に激しいぶつかり合いのあるスポーツですから、まさか今でも現役、それもパラリンピックの日本代表選手であるとは、驚きとともに嬉しい発見でした。

 

  彼がどれほどの実績を有しているか、彼の所属チームBLITZのある所沢市のHPにプロフィールがあります。それを引用します。

生まれ  1975年

在住地  所沢市

所属   バークレイズ証券株式会社/BLITZ

21歳の時に交通事故により頸髄を損傷し車いすの生活となる。
1999年夏、車いすラグビーを観戦したことがきっかけで競技を開始する。
2005年に”BLITZ”を創設。現在まで日本選手権大会で8度の優勝。
同時に2005-2006 シーズンより USQRA(アメリカ国内リーグ)で、Phoenix Heatの一員としてプレーを始める。2005-2006シーズンのUSQRA DivisionI Nationals(全米選手権)で初優勝、そして外国人選手としては初めてとなるUSQRA athlete of the Year(年間最優秀選手賞)を受賞。その後、アメリカ国内リーグに計4シーズン参加し、内2シーズンは全米優勝を果たす。

引用終わり

 

  日本では常勝チームのキャプテン、アメリカのリーグで年間最優秀選手賞まで受賞しているほどの名プレイヤーなのです。今回の日本代表選手の中では池選手と池崎選手の「イケイケコンビ」がハイライトされているため若干影は薄いのですが、これまでの戦績は錚々たるものです。私が知っていたのは2000年代前半、脂の乗り切った選手時代でした。

  会社は彼を受け入れるためにユニバーサル・トイレを設置するなどそれなりの努力をしました。彼は週に一度の出社以外は今でこそ当たり前になったリモートワークがメインでした。出社の時は自身で都内まで車を運転し、ビルの地下駐車場に入れるのですが、さすがに車いすの出し入れと乗り降りだけは総務の人がヘルプ。あとはほとんど自力でした。彼が入社してしばらくすると社内で車いすラグビーの応援団が結成され、リーグ戦などの応援に出向き、ハンディを持つ人に対する社内の雰囲気がずいぶんと明るくなったのをよく覚えています。

  今回は世界ランク・ナンバーワンのオーストラリアに、リーグ戦と3位決定戦で勝ち、銅メダルを獲得するなど素晴らしい戦績を残しました。彼は得点を決めるハイポインターという役目を担い、主将である池選手のロングパスをゴール前できっちりと受けて得点を重ねるプレーがとても光っていました。車いすラグビーは健常者のラグビーと違いスロー・フォワードが許されているので、むしろアメリカンフットボールのレシーバーと言ってよいでしょう。

  彼はきっと今後もチームのコーチや監督として活躍することでしょう。

   

コメント (3)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする