ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

グローバリゼーションの行きつく先 その2

2018年07月30日 | グローバリゼーションの行きつく先

   トランプの打ち出した政策で唯一評価されているのは法人減税だと以前申し上げました。しかし数日前それに対してアメリカ政府自ら冷や水をあびせました。アメリカの国家予算を計画・管理する行政予算管理局が税収のひどい落ち込みを明らかにしたからです。法人減税は1月から実施され、35%が21%になっています。その結果1-6月の半年の法人税収が3割も減収になったというのです。そのニュースで米国債金利は一昨日上昇しました。

    減税を単純計算すると、21%÷35%=69% なので、当然約3割の減収になります。しかしトランプ政権はその減税が企業に蓄積され、将来の投資に向かったり賃金の上昇につながるので、税収は逆に増えるという皮算用を持っていました。ではそうしたプラスの波及効果を含んで、将来の見通しはどうなるのか。それを行政管理予算局が10年単位で計算し予測した結果は、10年間で財政赤字は円で110兆円の減収、年11兆円のマイナスだという結果を示しました。どうやらトラタヌだったようです。

 

  さて、前回はグローバリゼーションの行き過ぎが「疲れ」という症状を起こし、その反動で以下の二つの現象が起きたというエマニュエル・トッドの解説を紹介しました。二つとは、

 1.アメリカでは不平等の拡大、支配的白人男性グループにおける死亡率の上昇。社会不安の一般化により、ナショナルな方向への揺り戻しが始まり、その象徴がトランプやバーニー・サンダースの登場である。

 2.イギリスもアメリカ同様にグローバリゼーション行き過ぎの影響を受けた結果BREXITを決め、欧州統合プロジェクトから抜ける決断をした。

   グローバリゼーションのどこが行きすぎで、どこが悪いのかと言いますと、彼は不平等の拡大移民問題を取り上げています。それらの解消はトランプの選挙公約で、その公約こそ彼を当選させた原動力だと一般的にも分析されています。

 トランプ当選直後私は当ブログでもグローバリゼーションへの批判が多かったので、逆にグローバリゼーションの擁護論を展開しました。ちょっと長い引用ですが振り返ります。その時のタイトルは「グローバリゼーションについて語ろう」でした。

引用

日本は鎖国から世界に門戸を開いたことによって、大発展を遂げた。日本国内の過去を振り返ってみよう。グローバル化による競争だけでなく、一国内の同一産業でも、競争に破れた企業の従業員は失業する。ある産業全体でも、不要になれば産業全体が衰退し、失業者が出る。日本で言えば石炭産業は壊滅したし、繊維産業や縫製業はかなりの程度衰退し、失業者はたくさん出た。

   石炭産業を防御するために石油の輸入を抑えたりしたら、エネルギー効率を悪化させ産業全体が競争力を失うことになる。中国やバングラデシュからの繊維製品の輸入を制限したりしたら、国民服ユニクロを着ることはできない。それでも制限することに意味はあるのか。

   それよりも石炭産業をあきらめ新興自動車産業の発展に賭け、人手を使う縫製は中国にまかせ、エレクトロニクス産業に賭けたことで日本は大発展を遂げた。では、日本に利用された中国はどうか。グローバリゼーションにより日本に吸い尽くされたか。

   閉じた共産主義の国から貿易立国へと大変身することで人々の所得は爆発的に増加し、天安門広場にあふれかえっていた自転車はすべて自動車にとってかわられた。所得が増えたことで逆に高品質・高価格の日本製品が中国でも売れ、中国人旅行客が来日して日本のデパートで爆買いし、ホテルが儲かり観光地にカネが落ちた。結局、日本にまで大きな恩恵をもたらした。

   利用する側もされる側も、グローバル化の恩恵に浴したのだ。

引用終わり 

 鉄鋼とアルミに高関税をかけることからスタートしたトランプの保護主義は、アメリカ国内の主要産業団体や経済団体はもとより、世界の指導者などからも非難を受け、一昨日はトランプの放火で火の粉をかぶった農家に対して政府が補助金を出すという決断までしています。つまりトランプの保護主義は国内のためになっていないし、農家は実害を受けるところにまでいっていることを政府が認めたのです。

   アメリカで鉄鋼産業が復興することなど、多少の例外はあっても本質的にはありえないのです。ハイテク分野へのシフトが成功したのですから。一方アメリカの低賃金労働者の多くがサービス産業などで働いています。アメリカでマックに入っても白人労働者はほとんど見かけません。多くはアフリカ系、あるいはメキシコなど中南米系の人たちです。ハイテクとサービス産業の賃金格差は非常に大きいものがあります。その解決はハイテク産業をやめて鉄鋼産業にシフトするのではなく、高額所得者への課税強化と最低賃金の引き上げなどで解決すべきですが、トランプは反対に高額所得者の優遇税制を導入しています。言っていることとやっていることは相変わらず真逆です。

  では移民問題はどうか。

  欧州の「グローバリゼーション・ファティーグ」はトッドが指摘しているように、主に移民問題から発生しています。その証拠にBREXITは中東やアフリカからの難民問題が焦点でした。でも彼はその「グローバリゼーション・ファティーグ」と移民の関係を説明していません。私にはグローバリゼーションが海外からの移民を増加させているとは思えません。ちょっと深堀します。

 

  今一番問題になっているのは単なる移民問題ではなく、難民と移民の二つです。それを分けて考える必要があります。一つ目は中東やアフリカからヨーロッパへの「難民」で、その原因は部族間や宗教間の対立による内戦や、ひどい独裁政権による虐殺などから逃れることによるのであって、これらはグローバリゼーションとははっきり言って関係ないと思います。

 

  二つ目の経済的理由からの移民も、むしろこれらの国々と先進世界が貿易でつながり共生関係が構築できれば、つまりグローバリゼーションが十分にワークすれば、移民しなくても自立の道が開けるかもしれません。こちらもグローバリゼーションが原因で経済移民が生じているとはいいがたく、むしろグローバリゼーションは解決手段だと私は思っています。

 

  彼の著書「問題はイギリスではなく、EUなのだ」では移民問題がエマニュエル・トッドの論旨の核心部分ですが、はっきり言って説明不足です。もし「オマエの読み方が不足している」、という方がいらっしゃれば、是非解説をお願いします。

   長くなりましたのでここまでをまとめますと、

   エマニュエル・トッドによる歴史の人口動態分析からすぐに移民問題は導けないし、移民問題からグローバリゼーションの限界論もすぐには導けない。彼は歴史の転換点を的確に予想したが、それと彼の百年単位の人口動態分析は別物ではないか。というのが私なりのエマニュエル・トッドの読み方です。

   では例えばアフリカからの移民問題はどうしたら解決できるのか。次回はその提案をしたいと思います。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グローバリゼーションの行きつく先 その1

2018年07月27日 | グローバリゼーションの行きつく先

  一昨日のアメリカのトップニュースは、またまた「トランプのウソ」でした。先日来トランプの不倫が問題化しているのですが、一人はポルノ女優、一人はプレーボーイの女性モデルで、プレーメートと呼ばれる女性の一人です。70年代のアメリカではこれぞ全既婚男性の憧れであった不倫相手なのですが、それを彼は2000年代でまだやっていたというのです。もちろん彼はメラニア夫人と結婚していましたので、口止めしようとしました。ウソとはトランプは自分の「弁護士がプレーメートに口止め料を支払ったことなど知らないし、指示もしていない」と言っていたことです。弁護士事務所を捜索した検察官がトランプと弁護士のその件の会話テープを発見し、それをCNNが入手して放映してしまったのです。動かぬ証拠を突き付けられたトランプですが、どう言い訳するのでしょう。

 

  と言っても、かわいいトランプちゃん、不倫相手がプロのポルノ女優であったりプレーメートだと、自慢げに一緒に写真を撮ってしまうので、早くからバレバレなのです。彼にとって不倫程度のウソはウソのうちに入りません。トランプの最大の支持母体はアメリカの福音派キリスト教徒ですが、不倫を自慢しまくるおバカなトランプをよくぞ支持できるなと感心します。

 

  一方で天に唾したトランプに、予想通り大きな2つの唾が戻ってきました。一つは中国によるアメリカ産農産物への対抗措置が効いて、ア「メリカの農業がすでに打撃を受けはじめたため、政府が120億ドル、1.3兆円もの救済補助金を出すというのです。今一つはハーレーダビッドソン製造工場の国外逃亡です。欧州がハーレーのバイクに課す関税を、自社が負担するという決断、そして今後工場を国外に脱出させるというのです。農業もハーレーも、トランプの支持母体ラストベルトにあって、彼の自爆テロで大きな被害を受けつつあります。

  前回のシリーズ記事「トランプでアメリカは大丈夫か?」の最終回に、私のような楽観論に対してかなり悲観的に今後の世界を見ている人がいる。その議論とは

「アメリカのトランプ、イギリスのBREXIT、イタリア、オーストリアなど、反グローバリゼーションを掲げるポピュリズム政党・政治家が、今後も資本主義・民主主義世界を揺るがすことになる」というこわい議論です。

  この議論をリードするのは、世界的人口動態歴史学者であるエマニュエル・トッド氏などですが、今回から今後の世界を占う意味で、こうした議論を私なりに検証したいと思います。

   ではエマニュエル・トッド氏の「グローバリゼーション限界論」に入ります。16年6月に行われたイギリスの国民投票によるEU離脱と、その秋のトランプ当選が米英2か国のポピュリズムへの転換点として歴史に刻まれそうな雲行きです。その後欧州ではオーストリア、イタリア、ポーランドなどEU加盟国でも反移民を旗印にポピュリズム旋風が吹き荒れていますが、ドイツとフランスの選挙ではその動きを阻止しました。ポピュリズムを選択した各国は反EU、あるいはもっとはっきり言えば反ドイツを政策の中心に位置づけているように思えます。

   その上トランプが世界中に突き付けるアメリカ・ファースト=保護貿易やNATOの軍事費負担問題、そしてアメリカのイラン核合意からの離脱が、欧州や世界に大きな混乱をもたらしています。日本も例外ではなく、今後さらに貿易や防衛費負担をめぐり、いずれトランプから激しい攻撃を受けるに違いありません。

  こうした昨今の問題の元をたどると、政治学者の間では「グローバリゼーションの行き過ぎ」に原因があるといわれています。それを確かめる意味で最近私はフランスの歴史学者、エマニュエル・トッ氏の近著をまとめて読んでいます。何故なら彼こそ「行き過ぎ論」の本家本元だと言われているからです。エマニュエル・トッドは人口動態分析をベースとした歴史学者で、歴史の転換点を言い当てることに長けているといわれます。これまでに彼が言い当てたことを並べると、

・ソ連、東側諸国の崩壊

・イギリスのEU離脱

・トランプの当選

 

  こうしたことを予想したといわれています。彼の人口動態分析理論は人類の歴史をさかのぼり、共同体構成の分析から始まり家族構成や婚姻形態など、百年単位での動きの分析を数量的に行うことで歴史上の大きな出来事の背景を説明しています。歴史を数量分析する彼の手法を、数字ヲタクの私は評価はするのですが、百年単位で起こることの分析でトランプ当選を予想できたとはどうしても思えません。

   私が読んだ本は学術的な大部のものではなく新書版程度のもので、タイトルを並べますと、

1.「問題は英国ではない、EUなのだ」16年9月(BREXIT後、トランプ当選前)

2. 「世界の未来」18年2月  これは数人の学者へのインタビューをまとめたもので、彼へのインタビューは一部分です。

3.  鹿島茂氏による「エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層」17年4月。彼のこれまでの学術的功績をダイジェストで示しています。

 

  このうち3はエマニュエル・トッドの歴史分析の方法論や彼の一番の得意分野である家族構成分析などがメインのため、ここでは対象から除きます。グローバリゼーションの与える影響に関してもっとも直接的に分析しているのは1.の「問題は英国ではない、EUなのだ」です。そこでその本の核心部分を紹介することにします。

   そもそもタイトルにあるとおり、彼はグローバリゼーションの行きついた先がEUという個々の国家主権を制限した統合国家であるが、実態はドイツによるEU支配で、それが強まることが様々な問題を引き起こしているとしています。以下が超簡単ダイジェストです。

 戦後世界は3つ目の局面に分かれていて、現在は3番目の局面に入ってきた。

1.1950年―1980年 成長局面・・・アメリカが先行し、日本と欧州が追い付いてきた。消費社会の到来した時代

2.1980年―2010年 経済的グローバリゼーションの時代・・・ここ数世紀の様々な世界的潮流は、例えば民主主義、自由主義などと同様、グローバリゼーションもアングロ・アメリカン、すなわち英国と米国によって推進された。ソ連と中国の共産主義はそれに対抗できなかった。

3.2010年以降、グローバリゼーションのダイナミズムが底をついてきている・・・その兆候は本家のイギリスとアメリカも例外とせず、むしろとりわけこの2国で限界が表われてきている。

 

  それが現象面としてあらわれているのが、

1.アメリカでは不平等の拡大、支配的白人男性グループにおける死亡率の上昇。社会不安の一般化により、ナショナルな方向への揺り戻しが始まり、その象徴がトランプやバーニー・サンダースの登場である。

 2.イギリスもアメリカ同様にグローバリゼーション行き過ぎの影響を受けた結果BREXITを決め、欧州統合プロジェクトから抜ける決断をした。

   これらを起こした理由は彼によれば、グローバリゼーション・ファティーグ、行き過ぎたグローバリゼーションによる疲れである。彼はグローバリゼーションの推進は経済理論の中でもネオリベラリズム(新自由主義)によるものだと断定し、それが移民問題を生起させたとしています。

 

つづく

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日傘男子

2018年07月24日 | エッセイ

  スコットランドはカーヌスティ・ゴルフ・リンクスでの全英オープン、今年はなんとイタリア人のモリナリが勝ちましたね。イタリア人の優勝は初めて。優勝賞金は185万ポンド、2億7千万円。日本の男子ツアーの2試合分の賞金総額です。優勝者じゃなく、予選通過者2試合で120人分の合計金額です!日本のプロゴルファーは可哀そうですね。

  私が14年にリバプール・ビートルズ旅行で泊まったホテルに、イタリア人の全英オープン観戦者が大勢いました。ちょうどロイヤル・リバプールで全英オープンが開催されていました。隣の席で朝食を食べているイタリー人に「誰を応援しに来たの?」と聞くと、「もちろん、モリナリよ」と言っていた彼女たち、今年もカーヌスティに行っていたのかな?あの年はロイヤル・リバプールでの開催でしたが、地元にちかい北アイルランド出身のマキロイが優勝しました。

  「あなたは誰の応援に行くの?」。「僕は今日は、近くのロイヤル・バークデールでプレーするんだ」と言うと、「えー、観戦しないの?」といぶかしんでいました。

  ところで今年の開催コースのカーヌスティはフランス人ヴァンデヴェルデが最終18番ホールでトリプルボギーを打ってしまい、やらずもがなのプレーオフにしてしまったコースです。彼は負けたことで有名になりました。今年、日本期待の松山選手も、魔の18番ホールをまさかのトリプルボギーとして、1打差で予選落ち。残念でした。あのホール、難しすぎです。フェアーウェーを小川が蛇がうねるように何度も横切っている、ありえないホールです。

  私はあのホール、なんども横切る小川を避けるため、7番アイアンを3回打って450ヤードを3オンとし、ボギーで切り抜けました。なので、ヴァンデヴェルデなら9番アイアン3回打ってボギーでも2打差で簡単に勝てると思ったのですが、彼はドライバーで右に曲げ、そこからロングアイアンでグリーン横の小川に入れ、トリプルボギー。10年後のゴルフ雑誌のインタビューで、「バカなことをしてしまい、後悔しています」と言っていました。

 

  ところで、私は日傘男子です。夏の暑い時期、ゴルフの時はもちろん、街中でも臆することなく日傘を差します。熱帯地域よりずっと暑い日本で、直射日光をもろに受けて歩いている男性が気の毒でしかたありません。大多数の女性が日傘を差しているのに、何故男性は差さないのでしょう。

  最近のゴルフ中継を見ていると、女子プロのほぼ全員が日傘を差してプレーしています。自己防衛として当然のプロテクションです。一方男子プロは、もちろん全員が傘もささずに帽子だけで炎天下を死にそうな顔をしてプレーしています。私に言わせれば、

「アホか!」

  女子プロが日傘を差すようになったのはこの数年で、今年はほぼ全員が差してプレーしています。以前はテレビに顔が映らないので、サングラスもよくないなどと言われていましたが、今やサングラスは男子も含めほぼ全員が掛けています。しかし日傘は女子だけです。ルールに日傘はダメというルールはないと思います。

  しかしその昔はサングラスのことをこう言っていたおバカなプロがいました。「サングラスなんか掛けると距離感が変わってしまうので、掛けない」。こう言っていたのはテクノロジーの進化を取り入れられずにいつも損をしていた現プロゴルフ協会会長の青木功氏です。彼はジャンボ尾崎と違って、最後までパーシモンのドライバーを使い続け、大いに損をしています。

  私は社会人になってほどなくゴルフを始めていますが、最初から夏はサングラス着用でした。今から40年以上前のことです。青木プロの言葉を聞いて、彼に会ったら質問しようと思っていることがありました。それは、

「サングラスがダメなら、曇ったときの距離感はどうなんですか?」

  今では彼もきっとサングラスをしながらプレーしていることでしょう。

  そんな私がゴルフ用の日傘を最初に購入したのは、80年代の終わりに初めてスコットランド・ツアーに行った時です。スコットランドのゴルフ場では雨傘すら貸してなんかくれません。買うことはできますが、それも巨大で超重い傘です。なので日本の小ぶりな、いや日本では普通サイズの日傘を雨傘兼用に持参していきました。

  最近ではスコットランドでも高級なゴルフ場に行くと貸してくれるところもありますが、相変わらず巨大で重い雨傘です。それを持つだけで腕が疲れます。

  その昔、アメリカの女子ツアーで賞金女王になった岡本綾子プロが解説をするようになってこう言っていました。

「傘を差しているとね、腕が疲れてきて、ショットに悪い影響が出るんですよ。だから私はなるべく差さないようにしていました」。まあ、一理ありそうです。

  でもご安心を。日本の最新テクノロジーは、すごいんです。傘も超軽量な傘があります。ちなみに家にある傘の重量を計ってみました。

紳士もので心棒が金属、骨も金属;580g

  傘の真ん中の心棒は何ていうのでしょうか?

ビニール傘70cmと大きめ;510g

女性ものけっこう高級品;308g

軽量遮光ゴルフ傘;290g 心棒も骨もすべてカーボン、把手はスカスカしたウレタン製でしょうか。

  この軽量傘を差して風のない日に歩くと、自分が作り出すアゲンストの微風で重さはほぼゼロになります。風がほどよく傘を持ち上げてくれるのです。

  私はすべて合理的に考えて行動するタイプの人間なので、この日本の炎天下、日傘も差さずに歩くことは絶対にしません。出歩くときは雨兼用の携帯傘を持って出ます。

  日傘男子って、へんですかね?

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トランプでアメリカは大丈夫か16 最終回

2018年07月20日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

トランプでアメリカは大丈夫か?

  答えはもちろん「ダメ」です。

  昨日は保護政策の本命である自動車関税を2.5%から20%に上げる政策に関して、米商務省の公聴会が開かれました。その席上全米自動車工業会が、

 「国内価格が年間で830億ドルも上昇してしまい、数十万人の雇用が失われる」と証言し、以前同様トランプの顔に張り手をくらわしました。自動車産業のためにやっているつもりが、公聴会では当事者を含むすべての証言者が反対意見を述べたのです。反対の効果を産むといわれてもなお実行しようとするので、トランプでは、アメリカは間違いなくダメになります。

  トランプのこれまでの政策でほとんど唯一評価されているのは減税です。減税すれば企業は利益がかさ上げされるし、個人は得して喜びます。しかも個人減税はトランプ自身を含む高額所得者優先です。

  でもそれは将来への付け回しの可能性が大きい政策で、特に企業減税は貿易戦争と同じで、海外の競争相手国が対抗して下げに回ると効果が薄れ、もうひとつの戦争の開始にもつながります。その上今回の減税は恒久減税のため財政に借金をどんどん上積みするので、将来世代が苦労します。

  株価は利益のかさ上げで今も上昇していますが、これはワンタイムの効果でしかありません。今年例えば20%の減税で10%の利益上昇になったとします。来年も同じ税率なら利益の押上はゼロだから、株価上昇への貢献はなし。つまり同じ減税率で何回続けても、収益上昇効果は1回限りで、財政負担の累増するのです。株価は前年対比でしか評価しないのです。

  これに関して一昨日、トランプのお気に入りラリー・クドローNEC(国家経済会議)委員長が、無責任かつおバカなことを発言しています。

「減税は必要なら第2弾、第3弾、第4弾があってもよい」

  株式相場は大喜びでした。この男、経済評論家でテレビコメンテーターだったのですが、辞任したコミー委員長の後をうけ今年の3月に就任しています。しかし、過去に日本に対しとんでもない発言をして大ヒンシュクを買った前科の持ち主です。ウィキペディアを引用します。

「東日本大震災発生直後のマーケット情報を伝える生放送でクドロー氏は『経済へのダメージよりも、日本の大震災の犠牲者の数のほうが、はるかにひどいことになっているようで、これについては、ありがたいとしか言いようがないわけですね。』と発言し批判を浴びた」

  なんというタワケもの。なのでトランプとの相性は抜群でしょう。

  また別件で、きのうのアメリカではトランプ批判が大爆発しています。メディアはもちろん、民主党、共和党を問わす、トランプのタワケぶりに大批判を浴びせました。内容はプーチンとの会談が終わり共同記者会見でのこと。彼はロシアによる大統領選挙介入疑惑に関して、次の発言でアメリカをロシアに売ったといわれました。

  「ロシアが選挙に加入する理由なんかない」

と発言し、プーチンを喜ばせたのです。ところがアメリカでは司法省がロシア人12人を介入疑惑で訴追したばかりで、かなり確度の高い証拠を突き付けています。その司法省と特別検察官モラー氏を、トランプは自分の疑惑を振り払うためにロシアに売り渡した、と批判されたのです。

  そのトランプ発言に味方であるはずの共和党下院議長のポールライアンまでが批判声明を出しました。批判の嵐に対しトランプの怒りが会談後の帰りの機内で爆発したのですが、国内のあまりの批判に耐えかね、帰国後すぐに釈明会見を行いました。しかしそれがまた火に油を注ぎました。釈明は、

  「オレ様はロシアが選挙に介入する理由はある、と言うつもりだったけど、ないと言ってしまった」というお粗末なものです。

  まるで子供が苦しいバレバレのウソをついているという、低レベルの言い訳だったのです。何度も言いますが、「かわゆいトランプちゃん」の本性が出てしまったお粗末なウソツキ会見でした。

  これには共和党の重鎮ですらアメリカを売るとは絶対に許せないとして、プーチンとの二人だけの会談で実際にトランプが何を言ったのか、通訳に証言させようというところにまで来ています。さすがアメリカ、そういうところまで行くとは驚きです。司法取引が当たり前の国ですから、免罪符を渡して証言させるかもしれません。

  この「子供じみたウソツキ大統領でアメリカがまともにやっていけるはずはない」、というのが今回のシリーズの結論です。

  じゃ、いったいこの先アメリカはどうなるのか。米国債に投資されている方、これから投資をしようという方は不安ですよね。これも実に簡単な結論ですが、

  「トランプがホワイトハウスを去れば、すぐにまともになる。」

  トランプでなきゃ、誰でもいい。経済は彼の政策で壊れるまでは行っていないので、大丈夫です。彼ほどのひどい人間がこの先また出現することはありません。その理由は、アメリカの大統領、議会、ともにひどい政治運営がなされると、すぐに激しい反動が生じ、揺り戻しがあるからです。たとえ彼が8年やったとしても大丈夫。次は反トランプでまとまるのです。

  それに加え、トランプの保護主義戦争がさらに激しくなったとしても、経済への実害の規模はさほど大きくありません。何故ならアメリカは貿易立国ではないからで、貿易立国である中国・日本・EUこそ被害を受けます。

  冷静に直接的影響のみで数字をたぐれば、貿易戦争で例えばアメリカの赤字が減少したとしましょう。するとその減少分、アメリカのGDPはかさ上げされ、アメリカにはプラスと出ます。現在の経常赤字はGDPの2-3%程度ですが、それがゼロになればGDPはその分プラスになります。反分ならプラスの影響も半分です。それがGDPの統計なのです。ついでに言えば、だからドル高に振れているのです。その後の波及効果までは見ていません。米国への輸出が大きい国はその反対で、アメリカのプラス分、GDPはみんなでマイナスの負担を分け合うことになります。分け合うということは、少し分散されるため、日本だけを見ると、さほど巨大リスクではないということになります。もちろん例えばトヨタのような巨大輸出企業にとっては、とてつもない大ごとですが。でも、

  トランプのアメリカはダメですが、米国債はびくともしません。

  定年退職さんのご質問に私が答えたように、米中が貿易戦争から実際の戦争にまでなったとしても、米国債は買われるだけ。乱暴な結論のようですが、それが『質への逃避』の唯一の対象になりうる資産、米国債なのです。


  以上が今回のシリーズのまとめですが、こうした楽観論に対して、次のような議論を展開する人がいます。

「アメリカのトランプ、イギリスのBREXIT、イタリア、オーストリアなど、反グローバリゼーションを掲げるポピュリズム政党・政治家が、今後も資本主義・民主主義世界を揺るがすことになる」というこわい議論です。

  この議論をリードするのは、世界的人口動態歴史学者であるエマニュエル・トッド氏などですが、次回からは今後を占う意味で、こうした議論を私なりに検証したいと思います。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西日本の豪雨災害 その2

2018年07月14日 | ニュース・コメント

  みなさんはご自分が家を建てたりマンションを買ったりする際、災害ハザードマップを確認したり、過去の災害履歴を確かめますか。今は全国どこでもそういった情報はネットで簡単に検索し、確認することができます。この情報環境はきっとこの20年くらいで充実したのだと思いますがそれ以前でも各自治体にいけばある程度の情報は得られました。

  家は買うとなると数千万円もするし、土地があって家屋を建てるだけでも最低2・3千万円もかかる大事な買い物です。そして家は自身の命を守る道具でもあります。その防災道具でもあるはずの家が住人の命を奪っていく様子を見ていると、私は大きな疑問を感じるのですが、みなさんはいかがでしょう。

   私は自分が住むところの安全性は徹底して調べ、確認できなかったらそこには住みません。

  そんなことは都会に住む人間の勝手な言い分だよ、という声も聞こえそうですが、あえて続けます。日本は狭く土地が限られるため、そんなに自由度がないことは重々承知ですし、先祖のことや親類縁者、仕事のこともあるため、居住地は安全だけを考えて決めることはできないという事情もあるでしょう。しかし命あっての物種です。

  このところの災害を見ていると「さもありなん」という所に住んでいる人が多すぎるような気がします。家の裏に山が迫る、家の前が崖になっている、そばを川が流れていて堤防だけが頼りのところなどです。

   広島県呉市は山と海の迫る狭隘な土地に住宅地があります。下は広島県呉市のサイトにあった過去の災害履歴の一部です。災害研究をされている方によれば、「昭和20年の枕崎台風によって呉市は山津波のような状況により2千人が死亡した。それ以後地形に変化はなく、山崩れを防止する根本対策などしていないし、そもそも不可能で、また同じ災害が来るのは当たり前です」。そして今回は10日までに150人くらいの死者が確認されています。

広島県の主な災害

 

No.

発生年月

要因 

    

被害概要

1

大正15年9月

集中豪雨  

広島市

山本川(祇園町死者24名),温品川(温品町,死者4名),畑賀川(瀬野川町,死者69名)他

2

昭和20年9月

枕崎台風

呉市

死者行方不明者2,012名

 

  今一つの例を挙げます。先に私が書いた例の岡山県真備町のことです。市のハザードマップを見ると、洪水可能性の場所が色分けされていて、今回の浸水地域とぴったりと重なっています。それに関する日経ニュースを引用します。

「西日本豪雨で4分の1が冠水した岡山県倉敷市真備町地区は想定される浸水区域や避難場所をまとめた「洪水・土砂災害ハザードマップ」を2016年に作製していた。今回浸水した区域と予測した区域はほぼ同じで想定内だったが、多数の犠牲者が出た。「見たことがない」という住民もおり、市からは「繰り返し確認を促すべきだった」との声も出ている。

  「ハザードマップは一度も見たことはなかった」。真備町地区を流れる小田川が決壊した堤防近くに住む穂井田良さん(64)は悔やむ。倉敷市が6日に流した避難指示の放送は聞き取れなかった。実際に川を見に行くと水位は高くなく、その日は自宅で過ごした。 7日未明に堤防は決壊。数分後に自動車で避難を始めたが、渦を巻きながら水が迫り、間一髪で逃れた。「昔から堤防が決壊したら民家の2階まで浸水すると言われていたが、まさか本当に起こるとは……」と苦い表情で振り返った。

 ハザードマップは水防法に基づき、国や都道府県などの河川管理者が洪水の危険性が高いとして指定した河川が流れる流域の市区町村が作る。河川管理者が予想される降雨量や堤防の場所などを基に作った浸水想定区域図に市区町村が避難所などを加える。17年3月時点で全国で約1300市区町村が公表しており、倉敷市も16年にマップを作り全戸に配った。 真備町地区は今回の堤防決壊で地区面積の4分の1が水没し、浸水区域はハザードマップの想定とほぼ同じ。」


  「まさか自分が巻き込まれるとは」というのが毎度繰り返されます。

  こうした災害を見るにつけ、東日本大震災の津波で家を流された大船渡の漁師の人のインタビューを思い出します。

「俺の爺さんもチリ地震津波で家を流された。そのまた爺さんもその昔津波で家を流されたそうだ。俺もだ。でもまたここに家を建てるさ。50年くれーたつとその家も流されて、息子や孫はまた新しい家に住めるさ」。

  すごい達観だと思いました。日本人の場合、「そこに暮らすということ」はそういうことなのでしょうか。でも達観していない人は、お気をつけくださいませ。後悔先にたたず。


   それにしても死者が200人を超える大災害の中、首相を囲んで自民党の幹部などが飲み会を催し、それを自慢げにネットにアップする神経がわかりません。しかもその連中は、その後にドサクサ紛れで参議院議員の定数を増やすという決議をしています。これまで必死に定数削減を行ってきたのはなんだったのでしょう。

  定数増は許しがたい暴挙です。

 

コメント (5)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする