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アメリカとNATOは遅すぎる

2022年02月27日 | ロシアのウクライナ侵攻

    アメリカの軍事的諜報活動はかなり正確な能力を有していることが今回判明しました。であれば、軍事支援はもっと早くできたはずです。

  アメリカがただ一つ見誤ったのは、キエフへのロシアの侵攻スピードです。ウクライナの窮鼠猫を噛む必死の抵抗が功を奏し、アメリカの見込みを狂わせたのでしょう。ゼレンスキー大統領が死を覚悟して「私も家族ともどもキエフから逃亡しない」という言葉を国民に向け明確に示したことも大きく貢献しているのだと思います。

  そして私がもっとも印象に残っているのは彼が演説で言った「われわれは孤立無援で防戦している。共に戦ってくれる者はいないようだ」という言葉です。

  世界中の民主主義勢力は、なんとしてもウクライナを支援しなければならないと思います。

 

  では一体なにができるのでしょうか。今回のロシアの侵攻の様子をテレビ見ているとロシアのヘリコプターが何機も自由に飛び回りミサイルで地上を攻撃していました。それに対してウクライナ側は全く反撃することなく、攻撃を許しているように見えました。地対空ミサイルくらいあるだろうと思われるのですが、欧米から武器の支援は十分にしなかったのでしょうか。ニュースでは何機かは撃ち落としたようですが、目に見えるような反撃はなされていません。武器が十分にあれば、もっと反撃はできるはずです。手持ちの地対空ミサイルでも十分撃墜できる低空飛行です。

 

アメリカがあれだけ的確な予測をしていながらNATO加盟国ではないという一点で武器を支援していないとしたら、片手落ちどころか両手落ちです。ウクライナと国境を接する国々も明日は我が身。難民の受け入れだけでなく武器を早々に供与すべきで、ロシアの報復など恐れている暇はありません。  

  今からでも遅くはない、民間人が殺されるのを見捨てずに有効かつ優秀な武器を大量に供給し、支援すべきです。大統領も覚悟を決めているのですから、支援しないこと自体、プーチンに負けたことになります。

 

  日本もロシアの封じ込めに対抗し、協力できることはあるはずです。まずはウクライナ難民を受け入れている国に対し、自衛隊機で大量の支援物資を送ることは可能です。どうせ旅客の少ない民間航空機も借り上げて支援に使ってあげれば一挙両得です。そしてロシアからの輸入をストップすべきです。主な輸入品は原油、LNG、非鉄金属、魚介類などですが、どうやらSWIFTから排除されるのでロシア側からストップする前に日本から輸入しないという宣言をぶつけて覚悟を示すべきでしょう。

 

  日本の首脳はいつも周囲を見渡し決まり文句、「状況を見極めながら適切な策を講じます」と言います。見極めているうちに何十人、何百人の犠牲者がでることを忘れないで欲しいのです。

 

 

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緊急提言 ロシアに最大限の制裁を科せ

2022年02月26日 | ロシアのウクライナ侵攻

G7に喝、カツ、かーつ!!!

  何という甘い対抗策か。

アメリカには大喝をくれてやろうではないか。

  SWIFTをそのまま継続使用させるとか、プーチンの個人資産をそのまま放置するとか、なんたる弱腰。ロシアの個別銀行5行へ多少の不便を強いる以外、制裁とはとても言えない甘い制裁にはあきれるばかりだ。

  SWIFTとは世界の銀行が海外との貿易決済をするなどの際、どうしても使わざるを得ないシステムだ。ロシアや中国は一応対抗手段として独自の決済システムを作ってはいるが、ものの数ではない。

  この21世紀をまたあの「戦争の世紀」にしかねないロシアに、アメリカと日本を含むG7は強烈なカウンターパンチを加えるべきだ。ロシアと怪人プーチンを甘く見過ぎている。このウクライナ侵攻はウクライナ一国の問題ではない。これだけ計算したうえで侵攻しているロシアだ。これで味をしめれば次は周辺国のNATO加盟国にまで侵攻する可能性がある。東欧のNATO加盟国は今回の様子をみれば疑問符を付けるに違いない。帝政ロシアやソ連を夢見る彼は今後もどんどん試すに違いない。アメリカ、G7が甘いと見れば、中国も同じ、北朝鮮すらロシア流で突っ走りかねない。

 

  そうならないためにもできる反撃は一気にすべて繰り出すべきだ。

 

  ロシアはもちろんすべて計算づくで、SWIFTが止められたらどうするという対応も考えていよう。にもかかわらず、止めなかったら図に乗るばかりだ。ロシアはヨーロッパへのLNG供給を止めるかもしれない。しかしこのままずるずるとロシアの侵攻を許してしまい、その先でNATO諸国を巻き込んだ戦闘に至ったら、当然そうした対応をロシアは取るに違いない。

  であればウクライナで止めるべきだ。SWIFTは当然停止し、一切の貿易決済を不可能とすべきだ。LNGが止められたらそれには耐えるしかない。

  オイルショックでは価格が突然2倍になったが、それを乗り切った。ドイツなどの欧州諸国はロシアからのLNGがストップしたら、厳しい寒さや暗い夜を過ごさなければならないかもしれない。しかしすでに暗っく寒い地下鉄の駅に非難している多くのウクライナの人々の苦境に比べれば、我々が我慢することくらいどうってことはない。みんなで我慢しようじゃないか。

 プーチンが予想もできない対抗手段こそ打たなければならない。それを打つ以外彼を止める手立てはない。

  一方ロシア国内ですら反プーチンデモが行われ始めた。彼らはプーチンによる制裁をものともせずに反対運動を行っている。それを支援しようではないか。経済制裁を厳しくすれば、それが反プーチン行動を激化させるに違いない。その拡がりを後押しするにも、G7やNATO諸国による厳しい対抗措置が必要だ。ロシアでは株価が半分に大暴落し、ルーブルも4割暴落している。それもロシア市民の怒りを増すことを後押しするだろう。

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この21世紀に現れた狂人、悪魔の皇帝プーチン

2022年02月24日 | ロシアのウクライナ侵攻

  「数日中に侵略が開始される。首都キエフにも及ぶ」とアメリカのバイデン大統領が指摘したとおりのシナリオで戦闘が始まりましたね。アメリカの諜報力もさることながら、警告により暴露されたシナリオをものともせずにそのとおり実行するとは、とても合理的現代人の仕業とは思えません。悪魔の所業以外のなにものでもない。

  あのイラクのフセインの後に、またテレビでこんな戦闘シーンが繰り返されるとは思ってもいませんでした。今回はテレビでは見えないサイバー攻撃を伴う21世紀型の戦争です。

 

  前回私はプーチンをこう表現しました。

>収容所列島から抜け出ようとする国々を武力で脅す、20世紀の亡霊である皇帝プーチン。

  ウクライナ占領に経済合理性などかけらもないのに、西欧全体、民主主義全体を敵に回す戦争を開始する彼の頭の中は一体どうなっているのでしょう。

  NHKのBS番組で「英雄たちの選択」という歴史番組があります。その冒頭で流れるナレーションは、「歴史のターニングポイントで英雄たちは何を思いどう決断したのか、その頭の中に分け入ってみよう」という決まり文句です。

  合理性のみじんもない選択をする悪魔の頭の中はどうなっているのか。プーチンの頭の中に分け入ってみましょう。

 

  戦闘開始の前日23日の日経新聞朝刊に、実に的確なタイミングで掲載された記事が出ていました。それを手短にまとめて引用します。内容はまず22日に行われたプーチンによる55分に及ぶ演説のサマリーです。

引用

見出し;プーチン氏、偏った歴史観

小見出し;背後に保守強硬派

まず彼の歴史観を見てみると、「ウクライナはレーニンとその同士が、ロシアの歴史的領土を切り離す方法で作った。そのためそもそも国家というものを形成できなかった」。そしてウクライナの分離独立を認めてしまった分裂直前のソ連も「旧ソ連の体制も破滅的幻想だった」と自己否定のように決めつけている。

 

林の解説

要は、ウクライナはそもそも国なんかじゃない。その分離独立を認めた旧ソ連も幻想だというのです。歴史の現実を幻想だと決めつけ、歴史をすべて否定してみせようとしていますが、そのようなプーチンの頭の中こそ支離滅裂だと言わざるをえません。

 

日経新聞の解説

プーチン政権内では20世紀前半の思想家、イワン・イリチンの著書「ロシア人の民族主義について」を読むよう推奨され、それがプーチンを取り巻く保守強硬派を中心にプーチンの保守主義形成に寄与し、偏った歴史感や国家感につながっている。保守強硬派は「米国はロシアの発展を阻んでいる」、別の一人は「米国の目的はロシアを破滅させることだ」と言い切った。

 

  なんだか、わかったようなわからないような論調が並んでいますが、少なくともプーチンの頭の中はこうした偏った歴史観で満たされ、旧日本軍が破滅への道を歩み始めたのと似ているように思われます。そしてこのような論旨を作り上げる強硬派は、まるで旧日本軍の強硬派にも似ているように思います。

  はたしてこのような現代の戦争がどのように進んでいくのか、見当もつきませんが、核を含む全面戦争に至らないことをひたすら祈るばかりです。

  とりあえず今日はここまでです。

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小国ロシアの皇帝プーチン

2022年02月22日 | ロシアのウクライナ侵攻

  風雲急を告げるウクライナ情勢ですが、ここまでくるとプーチンに一言言わざるを得ません。帝政ロシア時代から連綿と続き、ソ連に引き継がれたロシア帝国の亡霊が復活し始めています。怪僧ラスプーチンも負けるほどのプーチンの怪人ぶりにはあきれるばかりです。

  彼の悪辣さは、小は国家ぐるみの度重なるドーピングや政敵暗殺から、大は隣国への侵略までのやりたい放題。国民への言論封殺は度を超え、超音速ミサイル開発を推進して隣国を脅しまくる様は、とても21世紀の現代国家の大統領とは思えません。

  その昔ソルジェニーツィンにより「収容所列島」とレッテルを貼られたにも関わらず、その復活を計ろうとする怪人を絶対に許してはいけない。

 

  一方、昨今のニュースを見ていて私が違和感を持つのはプーチンの言う「NATOによる侵略」と同じ言葉を使うマスコミの論調です。

  80年代までソ連の脅威を防ぐべく集団防衛体制を築いたNATOですが、ロシアを含め侵略など一度もしていません。日本の報道も同罪です。何故ならまずソ連崩壊以前のNATO加盟国を例えば青色に塗り、ソ連を赤に塗って、中間地帯を白抜きにして勢力図とし、その後東欧や旧ソ連から独立してNATOに加盟した国々の白を青に塗り替えて、NATOがロシアに迫りつつあるような言い方をしています。

  しかし待てよ、中間地帯は白なんかじゃなかったはずです。ソ連を中心にNATOに対抗して結束した軍事同盟、ワルシャワ条約機構を忘れていませんか。その崩壊後は白としてもいいでしょう。

  もっと重要なことは、NATOは武力で東欧や旧ソ連の構成国を侵略などしていません。あくまでそれぞれの国が自らの意思で収容所列島である東側から脱出し自由の身となり、それを守るために自らの判断でNATOに参加したのです。そしてNATOに加盟したからといって、ロシアになど迫ったりしていません。報道で言う「NATOが拡大し、ロシアに迫ってきた」という表現自体、逆にプーチンの思うつぼにはまっていることを自覚すべきです。何故ならそれをもってプーチンは自らの侵略を防衛だと言い張り、正当化しようとしているからです。

  収容所列島から抜け出ようとする国々を武力で脅す、20世紀の亡霊である皇帝プーチン。いったい何が目的なのでしょうか。

 

  すでにロシアの戦闘部隊のうち75%がウクライナ東部に集結し、毎日の銃撃・砲撃が1千件を超えるなど緊張は高まっています。もともとこの紛争はクリミア侵攻以前から継続していますが、最近のロシア軍の展開はそれを煽る以外の何ものでもないと思います。

  プーチンはウクライナの一部または全体を侵略すれば、世界から制裁を受けることになり経済的に得るものはないはずだし、自国内に大きな紛争地帯を抱え込むことになります。

  では何故こうしたアグレッシブな行動を取るのか。国内をまとめ自身の支持を固めるためなのか、元KGBの血が騒ぐのか、もしくは帝政ロシアの亡霊に魂が乗っ取られているのか。ロシアがすでに大国ではないことをどうしても認めがたいのでしょう。

  GDPで比較すると、ロシアの小国ぶり、そしてシュリンクぶりが明らかになります。   

IMF21年ドル建て統計を115円で換算

1位 アメリカ   2,400兆円

2位 中国        1,701兆円

3位 日本    580兆円

4位 ドイツ   442兆円

5位 イギリス  312兆円

6位 インド   306兆円

7位 フランス  302兆円

8位 イタリア  217兆円

9位 カナダ   189兆円

10位 韓国    188兆円

11位 ロシア   171兆円

 

 ベストテン外に落ち韓国にも負けています。ちなみにロシアの最高位はクリミア侵攻直前13年の8位で、その時のGDPが最大で263兆円。侵攻以降は制裁により大きな痛手を被って171兆円と3分の2まで縮小しているのが現実で、国民は苦しんでいます。報道規制でそうした事実を国民は知らずにプーチンをやみくもに支持しているのでしょう。

  そしてこの国の将来性も経済面には疑問符が付きます。頼りになる産業が資源採掘以外ほとんどないのです。他国のサイトをハッキングするくらいなら、IT技術を産業発展のために使え、と言いたくなります。軍事と一体化した宇宙産業と軍事力だけのグロテスクなロシアがプーチンに大国幻想を抱かせています。そして国民は政府の宣伝のみを信じるよう仕向けられ、盲目的に支持し従っているのが現状です。

 

  昨日プーチンがウクライナの2つの州を独立国として承認しました。国際的には認められず、無法者ロシアの一方的承認です。かつてのクリミアもロシアが独立国として承認後に国民投票を行いロシアに加入。抵抗するウクライナ人はロシアへの反逆だとして力で制圧しました。ちなみにクリミアのロシア人比率は58%でした。今回承認したドネツクは38%、ルガンスクは39%で、ロシア人は少数派です。

  東部ウクライナで2匹目のドジョウを取ろうとするプーチンですが、アメリカはもちろんそれを予想して早めに警告を発し続けていました。

 

  このまま彼を野放しにしておくと、旧ソ連の国々をつぎつぎ制圧していきかねず、危険極まりないのです。

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白い恋人達から黒い疑惑へ

2022年02月21日 | 冬のオリンピック2022

  冬季オリンピックが終わりましたね。日本選手たちはこれまでで最多のメダルを獲得し、多くの感動を与えたくれました。メダルを取れなかった選手にも心から「お疲れ様」、そして「感動をありがとう」と言いたいです。

 

  冬季オリンピックのテーマカラーは、いつだって白でした。

   「白い恋人達」は1968年のフランス、グルノーブル冬季オリンピック記録映画のタイトルですが、今や「白い恋人」として北海道土産の定番としか認識されていないかもしれません。でも私の世代以上の方々はクロード・ルルーシュ監督、レイモン・ルフェーブル音楽によるオリンピック映画のタイトルであることを知っていると思います。なにせあの「男と女」の名コンビが作った作品ですからね。

 

  そしてそれ以前にも映画「白銀は招くよ」がありました。世紀の美男子スキーヤー、トニー・ザイラー主演の映画です。彼は56年のコルチナダンペッツオ大会で回転、大回転、滑降の3冠王になりましたが、回転競技の銀メダリストこそわれらが猪谷千春でした。そして次回の冬季オリンピックは半世紀を過ぎてそのコルチナダンペッツオに戻ります。

 

  今一度、冬季オリンピックのテーマカラーはいつも「白」でした

  その白さから一転、今回のオリンピックのなんと黒いこと、本当に残念です。ロシアのフィギュアスケート選手のドーピング疑惑。高梨沙羅ちゃんをはじめ女子ジャンプのスーツのおかしな裁定。

  さらにオリンピックの政治利用はいけないとIOCは宣言しているはずなのに、疑惑の渦中の中国女子テニスプレヤーと直接会談し、疑惑払拭を演出したバッハ会長の行動。恥も外聞もなく聖火リレーの最終ランナーに新疆ウイグル出身のウイグル人を起用するというこれまた完璧なる政治利用。何という黒いオリンピックでしょうか。

  IOCに関しては以前から行き過ぎた商業主義や招致にブラックマネーが乱舞するなどの黒い疑惑が絶えません。

 

  もしサッポロがオリンピックを再度開催するなら、是非とも真っ白なオリンピックにしてほしいものです。

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