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歴史学者・哲学者 ユヴァル・ノア・ハラリ氏「プーチンは負けた」

2022年03月27日 | ロシアのウクライナ侵攻

  今回のプーチンによるウクライナ侵攻を、これほど的確に書き表している論調はほかに見当たりません。文章は開戦から1週間経っていない2月末に書かれていますが、その後の展開を実に的確に予想していて、私にはあたかもきのう書かれたもののように思えます。彼の

ポイントは、「この戦争はウクライナ国民が主役で、彼らが今後の帰趨を決めるだろう」というものです。ちょっと長いですが、是非最後までお読みください。

https://web.kawade.co.jp/bungei/34777/

 

以下引用

 

前文

著作累計が3,500万部を突破した世界的歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は、2022年2月28日付の英国ガーディアン紙に「プーチンは負けた――ウラジーミル・プーチンがすでにこの戦争に敗れた理由と題した記事を寄稿しました。
当社(河出書房)では、ハラリ氏著作を訳した柴田裕之氏の翻訳による記事全文を、ハラリ氏の了解を得て、緊急特別全文公開いたします。
現代における「知の巨人」が、今世界で最も注目されているプーチンとロシア、そしてウクライナについて何を語るのか、是非ご高読下さい。

2022年2月28日 ガーディアン紙
プーチンは負けた――ウラジーミル・プーチンがすでにこの戦争に敗れた理由
(原題:Why Vladimir Putin has already lost this war)
記事全文

ユヴァル・ノア・ハラリ=著
(歴史学者・哲学者。世界的ベストセラー『サピエンス全史』、『ホモ・デウス』、『21 Lessons』著者)

柴田裕之=訳

 

本文

 開戦からまだ1週間にもならないが、ウラジーミル・プーチンが歴史的敗北に向かって突き進んでいる可能性がしだいに高まっているように見える。彼はすべての戦闘で勝っても、依然としてこの戦争で負けうる。ロシア帝国を再建するというプーチンの夢は、これまで常に噓を拠り所としてきた。ウクライナは真の国家ではない、ウクライナ人は真の民族ではない、キエフやハリコフやリヴィウの住民はロシアの支配を切望している、とプーチンは言う。だが、それは真っ赤な噓で、ウクライナは1000年以上の歴史を持つ国家であり、キエフはモスクワがまだ小さな村でさえなかったときに、すでに主要都市だった。ところが、ロシアの独裁者プーチンは、この噓を何度となく口にするうちに、自らそれを信じるようになったらしい。

 プーチンはウクライナ侵攻を計画していたとき、既知の事実の数々を当てにしていた。彼は、ロシアが武力でウクライナよりも圧倒的優位に立っていることを知っていた。北大西洋条約機構(NATO)がウクライナに援軍を派遣しないだろうことを承知していた。ヨーロッパ諸国はロシアの石油と天然ガスに依存しているので、ドイツなどの国々が厳しい制裁を科すのを躊躇するだろうこともわかっていた。彼はこれらの既知の事実に基づき、ウクライナを急襲して政府を倒し、キエフに傀儡(かいらい)政権を打ち立て、西側の制裁を乗り切る腹だった。

 しかし、この計画には大きな未知数が一つあった。アメリカがイラクで、旧ソ連がアフガニスタンでそれぞれ学んだとおり、一国を征服するのは簡単でも、支配し続けるのははるかに難しいのだ。自分にはウクライナを征服する力があることを、プーチンは知っていた。だが、ウクライナの人々が、ロシアの傀儡政権をあっさり受け容れるだろうか? プーチンは、受け容れるほうに賭けた。なにしろ、聞く気のある人になら誰にでも執拗に繰り返したとおり、ウクライナは真の国家ではなく、ウクライナ人は真の民族ではないというのが、彼の言い分なのだから。2014年、クリミアの人々はロシアからの侵入者にほとんど抵抗しなかった。それなら、2022年にもそうならない道理など、どうしてありえようか?

 ところが、日が経つにつれて、プーチンの賭けが裏目に出たことがますます明らかになってきている。ウクライナの人々は渾身の力を振り絞って抵抗しており、全世界の称賛を勝ち取るとともに、この戦争にも勝利しつつある。この先、長らく、暗い日々が待ち受けている。ロシアがウクライナ全土を征服することは、依然としてありうる。だが、戦争に勝つためには、ロシアはウクライナを支配下に置き続けなければならないだろう。それは、ウクライナの人々が許さないかぎり現実にはならない。そして、その可能性は日に日に小さくなっているように見える。

 ロシアの戦車が1台破壊され、ロシア兵が1人倒されるごとに、ウクライナの人々は勇気づけられ、抵抗する意欲が高まる。そして、ウクライナ人が1人殺害されるたびに、侵略者に対する彼らの憎しみが増す。憎しみほど醜い感情はない。だが、虐げられている国々にとって、憎しみは秘宝のようなものだ。心の奥底にしまい込まれたこの宝は、何世代にもわたって抵抗の火を燃やし続けることができる。プーチンがロシア帝国を再建するためには、あまり流血を見ずに勝利し、あまり憎しみを招かないような占領につなげる必要がある。それなのにプーチンは、ますます多くのウクライナ人の血を流すことによって、自分の夢が実現する可能性を自ら確実に消し去っている。ロシア帝国の死亡診断書に死因として記される名前は、「ミハイル・ゴルバチョフ」ではないだろう。それは「ウラジーミル・プーチン」となるはずだ。ゴルバチョフはロシア人とウクライナ人が兄弟のように感じられる状況にして舞台を去った。プーチンは逆に、両者を敵同士に変え、今後ウクライナが自国をロシアと敵対する存在として認識することを確実にしたのだ。

 突き詰めれば、国家はみな物語の上に築かれている。ウクライナの人々が、この先の暗い日々だけではなく、今後何十年も何世代も語り続けることになる物語が、日を追って積み重なっている。首都を逃れることを拒絶し、自分は脱出の便宜ではなく武器弾薬を必要としているとアメリカに訴える大統領。黒海に浮かぶズミイヌイ島で降伏を勧告するロシアの軍艦に向かって「くたばれ」と叫んだ兵士たち。ロシアの戦車隊の進路に座り込んで止めようとした民間人たち。これこそが国家を形作るものだ。長い目で見れば、こうした物語のほうが戦車よりも大きな価値を持つ。

 ロシアの独裁者プーチンは、誰よりもよくそれを知っていてしかるべきだ。彼は子供の頃、レニングラード(現サンクトペテルブルク)包囲戦におけるドイツ人の残虐行為とロシア人の勇敢さについての物語をたっぷり聞かされながら育った。今や彼はそれに類する物語を生み出しているが、その中で自らをヒトラー役に配しているわけだ。

 ウクライナ人の勇敢さにまつわる物語は、ウクライナ人だけではなく世界中の人に決意を固めさせる。ヨーロッパ各国の政府やアメリカの政権に、さらには迫害されているロシアの国民にさえ、勇気を与える。ウクライナの人々が大胆にも素手で戦車を止めようとしているのだから、ドイツ政府は思い切って彼らに対戦車ミサイルを供給し、アメリカ政府はあえてロシアを国際銀行間通信協会(SWIFT)から切り離し、ロシア国民もためらわずにこの愚かな戦争に反対する姿勢をはっきりと打ち出すことができるはずだ。

 私たちの誰もがその意気に感じ、腹をくくって手を打つことができるだろう。寄付をすることであれ、避難民を歓迎することであれ、オンラインでの奮闘を支援することであれ、何でもいい。ウクライナでの戦争は、世界全体の未来を左右するだろう。もし圧政と侵略が勝利するのを許したら、誰もがその報いを受けることになる。ただ傍観しているだけでは意味がない。今や立ち上がり、行動を起こす時なのだ。

 あいにく、この戦争は長引きそうだ。さまざまに形を変えながら、おそらく何年も続くだろう。だが、最も重要な問題にはすでに決着がついている。ウクライナが正真正銘の国家であり、ウクライナ人が正真正銘の民族であり、彼らが新しいロシア帝国の下で暮らすのを断じて望んでいないことを、この数日の展開が全世界に立証した。残された大きな疑問は、ウクライナからのこのメッセージがクレムリンの分厚い壁を貫くのに、あとどれだけかかるか、だろう。

引用終わり

  みなさんの感想はいかがでしょう。

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遂に血迷ったプーチン

2022年03月25日 | ロシアのウクライナ侵攻

  一昨日プーチンは「ロシアに制裁を行っている国は、LNGの代金をルーブルで支払え」と宣言しました。

  多くの方は、「なんで?」と思われたことでしょう。喉から手が出るほど欲しいドルを自ら放棄するというのですから。

 

   戦況が思ったように進まないプーチンが遂に血迷ったとしか思えません。何故この政策が愚かなのか。

  プーチンの理由は、輸入側がルーブルでの支払いのためにドルをルーブルに転換せざるをえなくなり、為替レートの値上がりが見込めるためとのこと。これは私に言わせれば、ルーブルの暴落が相当こたえている証拠を暴露したようなものです。暴落はストレートに物価上昇につながり、国民の反発を招いているからでしょう。

 

  ではルーブルで支払いを受けたロシアはそれをどうするのか。ロシアがいま一番困っているのはドル債務の返済です。その支払いに備えるには、LNG収入で得たルーブルをドルに変換する必要があります。それでは単なる「行ってこい」になるだけです。「行ってこい」とは相場の用語で、上に行ったものがすぐ下に戻り無意味であることを指します。  

  そもそもロシアにとって大事なのはドルを確保することです。何故ならドル建て国債などの利払いや元本返済に備えなくてはならず、他の輸入もほぼドル建てかユーロ建てで、外貨が必要だからです。もともと積み上げてきたドル準備預金が各国中銀により凍結されてしまっているためドル不足は深刻です。

  先日、すわデフォルトかと騒がれたドル建て国債の利払い1.17憶ドルはなんとか支払ってデフォルトを避けられましたが、次は元本返済の期日が来ます。3月31日には4.47憶ドルの国債の元利払いと、4月4日には21.3億ドルの元利払い期日が来ます。それがわかっていながらドルでなくルーブルをよこせとは、なんと愚かな宣言でしょうか。

 

  為替市場はこのプーチン政策に反応し、一時9%ほどルーブル高になりましたが、すでにおおかたレートは戻ってしまっています。ついでにLNGの先物価格もちょっとだけ上昇しましたが、大きな値動きとまでは言えない範囲でした。

 

  そもそもLNGの購入契約のほとんどはドルもしくはユーロ建てになっています。その契約を覆すことは契約違反であり、ルーブルで払えと言われても支払いを意図的に遅らせて、今後のルーブルの下落による差益を狙えばいいだけです。支払い遅延の言い訳は、元をただせばロシア側の契約違反ですから、正々堂々遅延すればよいのです。

 

  結局「ルーブルで支払え」などというのは、愚かなプーチンの愚かな政策にすぎません。為替とガス、2つの相場がそれを証明して見せました。

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米国債長期金利の上昇と投資のタイミング

2022年03月20日 | 米国債への投資

  先週アメリカのFRBはFOMC連邦公開市場委員会を開催し、長く続いたゼロ金利政策を転換し、遂に利上げに踏み切りました。そもそもゼロ金利政策は世界的コロナの大流行による打撃を緩和すべく継続していました。しかしコロナ感染が拡大基調から脱し収束基調に入り、それにともない経済が拡大し世界的にインフレが予想を超えるスピードで上昇。逆に成長への脅威になりつつあるため連続利上げを行うという政策への転換を果たしました。

  しかも利上げは7回プラス3回程度、つまり10回も行う可能性ありとFRBは示唆しています。1回につき0.25を10回となるとゼロだった短期の政策金利が2.5%になる可能性があります。すると当然10年物長期金利はそれ以上になる確率が高くなると思われます。

 

  この政策転換は長期的にどういう意味を持つのでしょうか。私の見立ては、「金利の長期低落傾向は終わりを告げる」というものです。では長期金利の代表格である10年物がどのようなレベルで推移したかを簡単にレビューしましょう。チャートをご覧になりたい方は、次のURLでご覧ください。54年間に渡る推移を見ることができます。https://www.macrotrends.net/2016/10-year-treasury-bond-rate-yield-chart

ただしこの超長期チャートは3月第一週目くらいまでです。

 

  戦後長らく4%程度で推移した10年物金利は、73年の第一次オイルショック、そして79年の第二次オイルショックにより高インフレ時代になり、80年に15%台に上昇してピークを打ちました。その後は時のFRBボルカ―議長による大幅な政策金利上げをきっかけに落ち着き始め、長期下落トレンドに入りました。そして2020年には1%を下回りボトムを打ったと見られます。このところの2%台への上昇は、こうした長期変動の大転換である可能性が出てきています。

  前回金利に関して書いたのは1月31日ですが、その時私はまだこうした歴史的大転換は先だろうと見ていました。理由はインフレがそろそろ急上昇を終え、たとえそのレベルが保たれていても1年経てば前年比であるインフレ数値自体は落ち着くのではないかと見ていたからです。この見方が誤っているとは思っていませんが、このところのアメリカの高インフレ率を目にすると、インフレレベルの落ち着きどころの見方はまだ甘かったと考えざるを得ません。

 

  FRBは声明で今のアメリカ経済を以下のように見ています。

  • 経済の基調は非常に強い
  • 雇用は失業率が低くひっ迫状態が続く
  • インフレは厳しい状況が続きそうだ

  こうした見方を持ってFRBは合計10回もの利上げ見通しを出しました。もちろん政策金利と並行して長期金利が上昇するとは限りませんが、可能性は高いと見るべきです。

 

  では、米国債の買い時についてどう見ているか、私の見方をお伝えします。ドル資金をすでに保有されている方には絶好の買い場が訪れつつあります。

  今後長期の金利トレンドが転換しつつあると見た場合、今全力で買い進めるのは早いと思います。せっかくここまで待たれていた方は、徐々に買い進めることをお勧めします。現在の年限別の金利を見てみましょう。次のブルームバーグのサイトで見ることができます。

https://www.bloomberg.com/markets/rates-bonds/government-bonds/us

すると以下のとおりかなりいびつな状況がみてとれます。

2年物  1.94%

5年物  2.14%

10年物  2.15%

30年物  2.42%

 

いびつの意味は、2年と5年がわずか0.2%しか差がなく、5年と10年との差も0.01%しかありません。30年物も10年と比較すると0.27%しか差がありません。これを実際の投資に適用すると以下のように解釈することができます。

「短期の2年は買いだが、それ以上の中期長期はまだ早い」。

  何年か前に私は10年物金利のレベルが低かった時、「ドルを遊ばせているくらいであれば、5年以下の債券を買って、時を待つべし」と示唆しました。何人かの方は実際にそうした戦略を取って、最近満期にちかいところで長い年限へのタイミングを見はかっていると思われます。短期物は償還期限までが短いため、価格の変動が少ないのです。ですから金利上昇時に売却しても、損失は限定的です。

 

  この戦略は今も通用します。たとえば2年物を買っておき、10年以上の長期物への待機をし、FRBの利上げに長期金利がどう反応するかを見るのです。10回の利上げ示唆の終わりはいまのところ23年頃です。

  もちろんみなさんが実際に証券会社の在庫から買おうとすると、上記のブルームバーグ数字どおりにはいきませんし、狙った年限どおりのものはないかもしれません。それでもそれに近いものを探してみてください。今すぐ購入したいという方には5年以上にならない債券を買うようアドバイスいたします。

  米国債はドル建てですから為替のタイミングを見る必要がありますね。ここまでのお話はすでにドルを保有している方に向けた米国債の買い方でした。では円から買う方はどうすべきでしょうか。いまどんどんドル高が高進しています。何度もお知らせしている原則論ですが、「金利が高いとドルへの投資も同時進行しますので、当然ドル高になります。」

   現在のドル高は日米の中央銀行の政策差を反映しているとともに、日本の経常赤字化の反映でもあると思います。従って今後大きな円高への反転は見込みにくいと思いますので、少しでも円高になるたびにドル転を重ねていく以外に方策は思い当たりません。

 

  一方、今回のウクライナ紛争で私が感じかつ確信したことは、超長期の視点で見たアメリカの強さです。次回はそれについて書きます。

コメント (7)
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プーチンの首に巨額の賞金を

2022年03月13日 | ロシアのウクライナ侵攻

  ロシア軍が刻々とキエフに迫りつつある中、ウクライナは国際法を無視した攻撃を続けるロシアに対し抵抗を続けています。他国や国連から直接的軍事支援を受けられないため、抵抗には物理的限界があると思われます。

  国際社会は多くの制裁措置をロシア、プーチン、オリガルヒに課しています。しかしその程度で彼がひるむはずもなく、ましてや上げたこぶしを下すこともないでしょう。ではやりたい放題を見過ごすだけでいいのか。

  そんな中私はかつてイラクのフセインが棺桶のような箱の中で捕まり、その後死刑になったような姿をプーチンに重ねたいと思っています。そのための具体策は大変困難だと分かっていながら以下の提案をします。

 

  以前ロシアでオリガルヒと言われ、今はアメリカで暮らすアレックス・コナニキン氏がプーチンの首に生死を問わず100万ドルという個人的懸賞金をかけました。しかしサダムフセインの首にアメリカ政府が用意した2,500万ドル(30億円)に比べるといかにも安すぎると思います。プーチンはウクライナ以外でも数万人単位の民間人を殺害したし、百万人を超える難民を生み出している張本人ですから、100億円くらいは出す価値があります。それくらい出せば本気で暗殺を考えたり、居場所を通報する側近もでてきそうです。居場所の通報者にも半分あげましょう。

  そして今回の賞金は、「プーチンが生き続ける限り有効」とすることです。どんなに逃げおおせても、一生暗殺の恐怖を与え続け、巨悪は絶対眠らせないのがミソです。あれだけ暗殺をしまくったプーチンには実にふさわしい罰ではありませんか。

  一体、そんな高額の賞金を出せるのは誰か。各国政府や国連などは、犯罪者に対する懸賞金をオーソライズできても、支出は期待できそうもありません。そこで第一の候補は大金持ちであり哲学者でもあるジョージ・ソロス氏にしましょう。

  彼はハンガリーの出身の92歳ですが、東欧時代の圧政から逃れ、イギリスやアメリカで暮らし、プライベートなヘッジファンドを運営して兆単位の富を得ました。「イギリス中央銀行を倒した男」としてその筋では超有名人です。その上彼には素晴らしい来歴があります。

  まず父親が第一次大戦でロシアの捕虜となりシベリアに送られ、そこから脱獄しました。そして自分では、ソ連時代に圧政を敷いていた80年代の東欧諸国において、反政府活動に毎年100億円を超える寄付をし続けたのです。ソ連解体の最大の立役者かもしれません。

  彼はその名も「オープン・ソサエティー」という財団を運営し、自由で開かれた社会を目指すための慈善活動に今でも多大な寄付を行っています。

  ということで、これほどピッタリの大富豪はいません。すでに齢91歳ですが、人類最大の敵を倒すことを冥途の土産にしてほしいと思います。

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悪魔皇帝プーチンの自己矛盾

2022年03月10日 | ロシアのウクライナ侵攻

  世界が一つとなってロシアに対抗しても、依然として悪魔皇帝プーチンはひるむどころかますます激しい攻撃を行っていますね。病院、幼稚園、学校などを爆撃するという信じられないほどの蛮行を行っています。

  彼の行動を精神異常かもしれないという分析がなされていますが、私はそうは思いません。これまでもロシア周辺のチェチェン侵攻、ジョージア紛争をはじめ一般人の虐殺や暗殺はむしろ彼の日常的得意技といえるほどです。今回も異常行動などではなく、いつものプーチンだと思います。

  なかでもチェチェン紛争は1次2次と続き、2次は1999年―2009年まで続く泥沼と化し、死者は少なくとも5万人から10万人と言われています。

 

  懲りないプーチンは今回「ウクライナの非武装と中立」を目指してはいますが、私に言わせれば矛盾もはなはだしい。というのは、もしウクライナを占拠するとすぐ隣はルーマニア、ポーランド、ハンガリー、モルドバなどのNATO諸国となり、これまではお隣さんでなかったNATO諸国に一気に接してしまうからです。

  この自己矛盾に対してプーチンは、ウクライナの中立化などと言ってはいますが、占領して現政権を追い出せば世界の誰もがロシア化されたとみなします。まさに隣に迫るNATOを自ら接近して作り出すという愚かな行為に見えるのです。

 

  一方でプーチンの支持基盤であるオリガルヒの反プーチン発言や行動が目立ってきました。2月9日付日経新聞はオリガルヒの逃避行動について以下のように書いています。長い記事のため、かいつまんで引用します。

 

日経新聞の記事のタイトルは「ロシア富裕層、国外逃避か」

「フライトレーダー24」がオリガルヒの国外逃避をとらえている。「フライトレーダー24」とは、世界中の飛行機の追尾をするシステム。航空機が出す「ADS-B」と呼ばれる空中衝突を回避するための信号を活用している。ADS-Bには世界中の航空機の位置情報、高度、管制官と交信する際に使う呼び出し符号(コールサイン)などが含まれる。その上このシステムは一般の人も見ることができるため、普段から世界中の航空マニアに利用されている。

プライベートジェットを所有できるのはオリガルヒなど超富裕層に限られる。このシステムが捕捉しているロシアのプライベートジェットが続々と海外に飛び立っており、その数はウクライナ侵攻の前後の比較では4割も増加している。

引用終わり

 

  身内であるはずのオリガルヒもプーチンの元から密かに去りつつあるようです。そして何人かのオリガルヒはプーチンを表立って非難し始めていて、その動きは今後反プーチンの大きなうねりを作り出す可能性を秘めているかもしれません。期待したいと思います。

 

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