ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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 宴の終わり

2022年06月24日 | 警鐘、世界のバブル

  いよいよ世界で様々な宴が終わりを迎え始めましたね。勝手に世界3大バブルと呼ぶことにしましょう。すでに終わり始めたのがアメリカの株価バブルです。次いで中国の高度成長による高圧経済バブル。そして無理に無理を重ねた日本の財政バブルです。

 

  まずアメリカ株についてですが、NYダウが高値から2割下落し、NASDAQは3割の下落です。いわゆる弱気相場入りは2割を目途とされていますので、ダウはそのレベルに達してしまい、NASDAQはそれを大きく割り込んでいます。もう一つあげると、仮想通貨です。ビットコインだけでも高値から7割近い大暴落で、それもついでに加えてあげましょう。仮想通貨の賭場では胴元が夜逃げを始めています。

  といっても、アメリカ株の下落は日本の株式バブル崩壊とは違い、ある程度で底を打ったら企業の成長とともに株価も上昇するだろうと私は思っています。つまり失われた10年も20年も来ないということです。

  理由は単純、バブルの大きさが不動産バブルも加わった日本のバブル時代ほどの大バブルではないこと、世界的に競争力のあるハイテク企業の競争力が損なわれていないことからです。それは08年の金融危機後の株価の回復を見れば明らかだし、企業の収益力で見た指標がそれを示してくれます。

  日本株のピーク時、株価収益率PERは60倍程度、NASDAQの昨年のピーク時は30倍程度と日本株の半分、S&P500では20倍と日本の3分の1でしたから、下値もたいしたことはないと推定できるのです。そしてまたアメリカは革新的な新機軸を生み出す力を持っているからです。

 (注)株価収益率とは、1株当たり利益と実際の株価の倍率比較で、平均的株価収益率は15倍から20倍が適正と言われています。

  一方中国ですが、株価は高値から2割を超えて下げましたが、高度成長時代をすでに終えたと思われるので、大きな戻りはないでしょう。経済成長率で見ますと、2000年代の最初の10年は10%成長、10年代に入り前半は7%、後半は6%。そして直近はコロナ禍もあり、20年は2%、21年は反動で8%。中国政府の今年の目標は5.5%ですが、実際はIMF見通しの4%程度がコンセンサスのレベルです。もし4%を上回ることがあってもそれは怪しい。秋の共産党大会に向けた、はなむけの演出だと思われます。GDPというのは各種経済統計から統計的に推定して作成しますが、中国のGDPはかなり恣意的に作られた大本営発表数値だからです。

  それよりも信頼できるのが「李国強指数」で、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高の推移に注目する見方です。総理に就任する以前に彼がより信頼性の高い指数として自ら示唆していた統計です。今年に入ってから電力消費量は全く伸びていません。月次ではマイナスもたびたび記録しています。なのに、今年1-3月期の成長率は4.8%だと発表。信憑性に疑義ありなのです。

  また中国経済の宴の終わりは不動産投資にも表れています。日本の経済産業研究所の分析を引用します。

「2020年に、中国の主要都市における住宅販売価格の対世帯可処分所得比は、深圳(39.8倍)、上海(26.2倍)、北京(23.8倍)、をはじめ、すでに1980年代後半のバブル期の東京(20倍未満)を上回っている。」

  平常時の住宅価格と年収の倍率は、5倍~7倍が適正と言われていますので、中国では持続可能なレベルをはるかに上回っています。このような高い住宅販売価格は長く続きっこない。年収のすべてをつぎ込んでも返済に何十年もかかる高価な家など、とても買えないレベルになっています。すでに不動産価格は下落しつつありますが、今後さらなる下落もあるでしょう。中国経済は不動産投資が成長力の柱の一つのため、それを失えば経済全体のスローダウンも必至です。 

  さらに中国の場合、地方政府の財政はひとえに不動産によるところが大きいため、そのバブルがはじけると、地方と国家財政に大きく響きます。地方政府が2020年に国有地を不動産会社に売って得た収入は、中央と地方を合わせた税収総額の5割を超えています。コロナ禍克服のため、景気対策の減税などで税収が細っていて、マンション開発に伴う収入が地方財政を支えているのです。北京や上海などの大都市を除けばすでに不動産市況が停滞する地方も多く、人々も新規購入を急ぐ必要がなくなっています。つまり10億総不動産屋の時代が終わりつつあるのが現在の中国なのです。世界にばらまくカネを人民の土地から収奪する中国共産党の収奪政治が、いつまでも続くわけがない。宴の終わりもいずれ見えてくるに違いないのです。

  中国人が天安門以来、反政府大暴動をおこさない理由は、ひとえに経済成長によります。成長の恩恵がある限り、リスクをおかそうとしませんが、それがなくなれば我慢の限界を超え、暴発の危険性は増します。

 

  そして最後に日本の財政バブルについてです。これはすでに何度も述べていますが、一応おさらいします。

 

  円安が止まりません。これまでは日米金利差がその主な原因とされてきましたが、ここにきて日銀の超緩和策への不信感が日本でも欧米でも取りざたされるようになっています。私にいわせれば、やっと気づいたかという感があります。

  政府と一体になった日銀による正々堂々たる「違法な財政ファイナンス」が来年10年を迎えます。もともと2年で達成すると豪語していた2%のインフレも、賃金上昇抜きの2%のため国民は誰も評価しません。

  一方、あまりニュースで取り上げられないため見落とされがちなのは、今後の物価上昇を占ううえで重要な企業物価の上昇です。企業物価指数とは昔の「卸売物価指数」が名前を変えたものです。こちらはすでに4月に対前年で10%増をめでたく達成しています。10%の上昇はなんと40年ぶりで、40年前とは第2次オイルショックの時代までさかのぼります。企業物価の上昇は、いずれ消費者物価に転嫁されます。みなさんもご自分の周辺の様々な値上げをじわじわと実感されているでしょうが、これからが本番であることを覚悟しましょう。

 

  いまいちど、「うれしいですか、クロちゃん」

 

  ここでもう一つ大事なことを加えます。最近物価上昇率を示す時、食品・エネルギーを除く「コア指数」という数字が一般的に使われます。これはアメリカ流用語なのですが、今消費者にとって一番の関心はほかでもない、食品とガソリン代・電気ガス代です。その二つを除く統計などに大きな意味はないのです。先月の2%上昇とはコア指数であって、全部込みの総合物価指数は2.5%の上昇でした。それが我々の実感をより反映しています。

 

  さて、物価上昇に対処するには一時136円を超えてきた円安に対処する必要がありますが、政府も日銀もそれに対する処方箋を持っていません。いや、利上げという処方箋を持っているのですが、絶対に使わないのです。

  それを使ったとたん、政府・日銀のこれまでの対処が間違っていたことが明るみに出て、タッグを組んで作り出した世界トップの財政バブルが大崩壊するからです。日銀が半分を保有する国債価格が暴落し、今後発行する国債の利払い費が増えることへの対処ができません。

  国の借金は1,000兆円の大台を超えましたが、クロちゃんが作ったバブルのサイズは400兆円です。黒田総裁の就任前、日銀の国債保有残高は125兆円。それが最近は520兆円あまり。つまり彼が一人で400兆円を買い取りました。その発行元は政府で、金利はほぼゼロ。日本政府はコストなしで400兆円をまんまとせしめ、国民はそのため大損をしています。

  何故大損か。国債金利がほぼゼロに抑えられているため、我々の預金金利もゼロだからです。国民の金融資産2千兆円のほぼ半分、1千兆円は預貯金で、その金利がたった1%だとしても我々は年に10兆円も金利を受け取れます。一人当たり7万円、それがゼロ。つまり丸損なのです。それでもみなさん、円預金に固執しますか?

 

  さてこのバブル、円安とインフレが日本を襲う中、負けを認めない黒田総裁はいつまで続けるつもりなのか。マグマはどんどん大きくなる一方で、国民の不安は財政破綻に向けられ、いよいよ円リスクからの脱出を試みる人が増えそうです。

 

  その証拠に、私のフェースブック、「ストレスフリーの資産運用」にある「個人相談窓口」への相談はこのところ従来になく増え続けています。

 

  古今東西、終わらない宴はないのです。

 

おわり

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それでも米国債は買いだ

2022年06月18日 | 米国債への投資

  日銀は昨日までの2日間行われた政策決定会合で、超緩和策の維持を決定しました。するとドル円は少し高値から戻していたのが、また一気に円安方向に振れてしまいました。日銀のスタンスだけでなく、今週はアメリカFRBによる利上げが0.75%と27年ぶりの大幅だったことや、5月の日本の貿易収支が2兆3847億円もの大幅赤字だったことなど、円安要因が目白押しだったことが挙げられます。

  一方、アメリカ国債の10年物長期金利は3.23%とピークの3.5%には及びませんが、少し高くなっています。

  私は4月20日の記事では、「ドル円レートが129円、10年金利が2.9%でも米国債は買いだ」と書いています。

 

  では今の金利3.23%と円レート134円ではどうか。

どこまで耐えられるかを単純計算します。3.23%の金利を10年もらいつづけると、

3.23% X 10年 = 32.3%

134円の32.3%安とは、134円 X (1-0.32)% = 91円  

つまり3.23%の米国債を買って10年後にドルが91円になってもブレーク・イーブン、損はしないという計算になります。逆に行けば大いに儲かります。

 なのでもちろん「現時点でも米国債10年物は買い」です。ドル円は134円と高くなっていますが、金利も高くなっているからです。

  では金利の先行きはどうか、占ってみます。

  アメリカのインフレ率は8%台後半に入りつつあるため、短期の政策金利はさらに高くなる可能性があります。FRBは今後半年以上利上げを続ける可能性を示唆しています。であれば長期金利もさらに上昇する可能性はあるのですが、政策金利に歩調を合わせて上昇する可能性が大いにあるとまでは言えません。その理由は、より長期の米国債金利が示しています。

  現在30年物金利は3.28%と、10年物の3.23%に比べてわずか0.05%しか高くありません。20年という期間の差に対して0.05%しかもらえないというのは、20年のリスクを取るに値せずという僅差です。私はこれが先の金利動向を示唆していると見ています。

 

  今回のFOMCで示された22年末の翌日物政策金利の見通しは3.4%で、現在からさらに1.75%引き上げる可能性を示しています。もしそうなると今の30年物金利を翌日物が上回ってしまいます。

  それでも30年物の現物が3.28%に留まったことが、私の先行き見通しに影響を与えているのです。つまり「今後長期債投資のチャンスを年末まで待ったとしても、短期の政策金利にスライドするほどの長期金利上昇は見込めないだろう」という見通しです。

 

 いつも申し上げているように、為替や金利の予想は簡単ではありません。そこで投資金額の全部をここで一気に投資するのではなく、年末に向かって徐々に買い進めることをお勧めします。徐々にという意味は、現時点で投資し、それより金利が上昇すれば買い進めるが、そうでなければ見送るという慎重な買い方をすべきだという意味で申し上げています。

  何故年末までとしているかの理由は、今後FRBがインフレ退治のために利上げにプラスして、QTと呼ばれる量的引き締め策を同時進行させると、さすがに景気の足を引っ張ることになり、大きな金利上昇は見込めなくなるだろうとの見通しからです。QTとは、Quantitative Tightning の略で、量的引き締めと訳されます。QE、量的緩和の逆です。実際にはFRBが市場から買った米国債を徐々に売却していく、あるいは買いの手を止めることで手持ちの米国債が償還を迎えFRBのバランスシートが縮小に向かう、ということを表す言葉です。

  さて現在の状況ですが、雇用はひっ迫したままなのですが、インフレが消費の足を引っ張っています。5月の小売売上は前月比でマイナスとなりました。ガソリンの高騰で、他の商品に回す家計の余裕がなくなっているのです。

  また住宅部門も新規、中古住宅販売ともに金利上昇を受けて、前年比でマイナスを続けています。

  というように、景気減速が続く見通しがあり、長期金利の上昇には限度があるだろうと見ているため、年末を目途に買い進めるべきだと進言しているのです。市場関係者も来年のリセッション入りを予想する人が増えています。

  米国債投資をゼロから行うには、金利に加えて為替の動向も織り交ぜ考慮する必要があるのですが、話が複雑になるため、今回は避けます。

 

  以上、「それでも米国債は買いだ」でした。

 

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円安、値上がり、円安、値上がり、そしてまた円安、値上がり

2022年06月08日 | 日本経済コメント

  円安が再び高進し始めましたね。どこまでいくのか、心配されている方もいらっしゃると思います。というのも、円安による物価上昇が常態化してきているからです。

  毎日のようにメーカーから値上げのアナウンスがあり、例えば6月1日の値上げは数千品目に及ぶというようなニュースが流れています。しかもそれが最初ではなく、最後でもなさそうです。こんなことは数十年ぶりです。

  総務省が5月20日に発表した4月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く指数が前年同月比2.1%上昇しました。食品も含めた我々の実感に近い総合物価は2.5%もの上昇です。消費増税の影響があった15年3月の2.2%上昇以来、7年ぶりに2%を超えました。クロちゃん、よかったですね、おめでとうございます。

  もともと為替レートとは関係のない資源高で電気代やガソリン価格などエネルギー関連が大きく上昇、流通コストの上昇もプラスされました。それに円安がさらに拍車をかけることになります。そればかりではなく、愚かなロシアのウクライナ侵攻による原材料高で食料品の値上がりに拍車がかかっています。

  私は月の半分くらいは、キャットシッターをしている家内の代わりに買い物に行きますので、ものの値段には敏感です。幸いにも我が家は「Everyday Low Price」のOKストアの旗艦店まで歩いて5分で行けるため毎日がバーゲンセールですが、そうでないところにお住まいの方はさぞ大変でしょう。

  昨日のニュースでは安い衣料の代表格であるユニクロが、度を超える値上げを宣言しました。秋からフリースは1,990円が2,990円と50%もの値上げ、ダウンジャケットも50%、極暖肌着も同様の値上げ予定です。この値上げ率、赤字でもないユニクロにしては上げ過ぎに思えます。私はこれがすんなり受け入れられるとは思いません。これからはワークマン・プラスなどとしっかり比べないといけませんね。

  日銀は2%をインフレの目標としてかかげていますので、4月の2%上昇にとりあえず満足かと思いきや、まだまだというコメントを出しています。日銀の思惑は、物価がこのペースで安定して上がると、企業収益の拡大や賃上げにつながり、経済が活性化する好循環が生まれるというものです。そのため必死に金利上昇を抑え込み、それが過剰な円安を招き消費者を逆に苦しめています。

  そんな中でクロちゃんから一般人の理解を超えた発言が飛び出しました。6月6日の発言ですが、「家計の値上げ許容度が高まっている」というものです。ところが批判が沸騰すると翌日の国会の財政金融委員会では「必ずしも適切な言い方ではなかった」と翻し、さらにその後は謝罪にまで追い込まれました。一般人の我々は収入も伸びない中での物価上昇など安易に受け入れる気にはなれません。

  しかしクロちゃんが謝罪してもメーカーや小売り側の値上げ攻勢は収まりそうもありません。日本の消費者がすぐ買いだめに走る心情を持っているのと同様、メーカーもここぞとばかり横並び値上げに走っていると思われます。いつも「みんなで渡れば怖くない」がニッポン人の標語です(笑)。

 

  一方、私が不安に思うのは、現在の円安は決して現在の物価上昇に反映されていないという現実です。為替変動を含む原材料価格の変動が実際の小売価格に反映されるには時間がかかるのです。

  最も早く原料値上がりが小売価格に反映されるのは、ガソリンです。原油は実際には輸送、精製などのプロセスを経て最低でも約1か月後に消費者の元に届きます。しかしそれを見越した元売りが早めに卸売価格を変動させます。

  ではその他の原材料と小売価格の変動の時差はどの程度か。総務省のスタディーによると、一般的時差は6か月から9か月だとのこと。ということは、このところの円安は今後少なくとも半年を経て本格値上げとなります。

  ではドル円レートを振り返ります。21年4月~10月は概ね110円近辺でした。その後11月から2月半ばまで115円程度となり、2月24日のロシア侵攻を境にさらに130円へと一気に円安が進みました。

  ということは、最近の値上げは原材料価格上昇に加えて過去の110円から115円への円安を反映していて、このところの円安の小売価格への反映はこれからだということです。ユニクロが秋冬物の値上げを宣言したのも、それを見越したアドバルーンなのでしょう。

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ゼロコロナとウィズコロナ、どちらが勝つか

2022年06月01日 | コロナショック

  中国がゼロコロナ政策で悪戦苦闘していますね。上海の都市封鎖の様子は日本からの特派員が多いせいか、その過酷さを手に取るように見ることができました。

 

  多くの特派員は家族とともに集合住宅に住み、封鎖中は家族数に関係なく配給される食料品などにしか頼れず、まるで戦争中か戦後の配給制度下にあるような悲惨な状況にありました。3日前の民放のニュースで、久々に2時間限定の外出許可を得た特派員が許可証を手に外出している様子を、スマホ動画に撮ったものが放映されていました。街に出てもほとんど人影がなく、とても東京の2倍の人口を持つ都市とは思えません。街角に立つのは一般人ではなく、紅衛兵ならぬ白衛兵と呼ばれる、白いコロナ防護服に身を包んだ当局の防衛隊だけでした。昨日やっと解除になりましたが、広い中国のこと、実は同様な事態が各地で起こっています。

 

  一方でアメリカからの帰国者からは正反対の様子が報道されています。連休中にハワイ旅行をして帰ってきた日本人に聞くと、どこでも自由に行動でき、マスクをしている人など皆無。アルコールや時間制限など全くなし。ニューヨークやワシントンに出張して帰国した人も同じような自由を満喫できたと話をしていました。

 

  世界の二大経済大国は好対照の政策を取っています。そこで私はタイトルを、「ゼロコロナとウィズコロナ、どちらが勝つか」として考察することにしました。

 中国は完全無欠政策、アメリカは感染することで集団免疫獲得を目指す荒療治。どちらの政策が奏功するのでしょう。

  希望的観測としては、習近平がゼロコロナ政策で失敗して3期目の政権を断念せざるをえなくなり、中国が超危険な習独裁体制から脱却してほしい。ついでにロシアのプーチンも小国ウクライナ侵攻に失敗し、自国民によりハチの巣にされてほしい、というものです(笑)。

  ではまず最近あまり報道されなくなったWHOによる世界の感染者数・死亡者数の統計から。5月23日までの数字を27日に発表しています。

 

       感染者数  死亡者数   死亡率 ワクチン2回以上接種率

全世界     5.3億人   630万人   1.2%    N.A.

アメリカ   8,300万人   100万人   1.2%    30%

中国     2,600万人       1.6万人   0.06%    50%

日本      873万人   3万人    0.3%      55%

ロシア    1,800万人   38万人   2.1%              N.A.

 

  アメリカは感染者数も多いが、死亡者数も非常に多く、犠牲をともなう集団免疫獲得の荒療治をしているように見えます。公式にそうした政策を取っているとは言っていませんが。逆に中国はゼロコロナ政策により、徹底的に抑え込もうとしています。そして感染者数の割に、死亡者数が少ない。日本はその中間。ロシアは感染者も多く、死亡率も非常に高い。

  しかし不思議なのは、国による死亡率の大きな差です。ワクチン接種率の差が影響しているのかもしれませんが、確定的ではありません。これに関するWHOの発表は見当たりませんでした。

 

 中国のロックダウンは上海ばかりが報道されていますが実は全国に渡っていて、影響を受けている人口は3億人をこえています。4月16日の毎日ニュースによりますと、

 

「新型コロナウイルスが再流行する中国の45都市で何らかの都市封鎖(ロックダウン)が行われ、対象者が3億7300万人に上るとみられることが分かった。調査した野村ホールディングス傘下の野村国際(香港)が16日までに明らかにした。全人口の26・4%が行動制限を受けている計算だ。」

 

  習近平は万全の体制を誇っていると思われていますが、最近はそうでもない事実が数多く報道され始めています。一つはコロナ禍開始以降の若者による静かな反乱で、専制主義中国の将来に希望が持てず、海外脱出者が増加しているという報道。少子高齢化の進む中国では大問題です。もう一つは最近暴露された、新疆ウイグルでの人権蹂躙の実態の詳細です。大量の記録などがハッキングで暴露され、我々が詳細に至るまで知るところとなりました。

  コロナ感染者がゼロになることなどあるのでしょうか。中国はオリンピックを前にしてあれだけ厳しい政策を続けていても、全国各地でロックダウンせざるを得ないほどの感染が拡がり、上海以外はロックダウンが長期化しました。広い中国ではいくら叩いてもモグラは無限に出てくるでしょうから、叩きつくすことなどできないでしょう。

 

  対するアメリカはどうか。すでにほぼ感染対策は解除されていますが、一週間ごとの感染者数はピーク時の10分の1程度にまで減少しています。その原因を推定すると、以下のニュースにあるように、どうやら真の感染率の拡がりに求めることができそうです。

  4月27日の朝日新聞オンラインニュースの引用です。

米疾病対策センター(CDC)は4月26日、米国人の約6割が少なくとも1回は新型コロナウイルスに感染した可能性があるとするデータを発表した。実際に報告された感染者数の約2・3倍がすでに感染した計算になる。

  この感染者の推定にワクチン接種者数をプラスできるなら、仮定の感染率はさらに上昇するでしょう。

 

  そこで私の勝手な妄想に近い推定です。ゼロなどというありえない政策を取り続ける愚と、すでに100万人の死者数を出しているアメリカの愚、いずれも極端で愚かな政策に違いないと思うのですが、経済的に回復していない中国と、雇用・経済が回復してインフレに進んだアメリカを比較すると、勝敗を付けたら勝ちそうなのはアメリカに思えます。

 

  日本は両極端に偏らず、中間的政策を取り続けていますが、実際には本当のコロナ勝者は賢い日本かもしれませんね。清潔好きで他人に迷惑をかけない日本人の心がけこそ、政府の政策に勝る勝利の秘訣でしょう。

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