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最後のディベート後の大統領選のゆくえ

2020年10月26日 | アメリカ大統領選挙2020

  ディベート翌日、アメリカでも欧州でも多くのオンラインニュースはヘッドラインで「バイデンの勝ち、トランプの起死回生ならず」、という見出しで結果を報じていました。

  私が見た例外はFOXニュースのサイトで、なんとディベートの結果をトップニュースに取り上げていません。トランプ寄りが鮮明なFOXは、「トランプ勝利」とは書けなかったからヘッドラインニュースでの報道を避けたのでしょう。実に姑息ですが、報道の偏向問題については後ほど。

 

  すでに今回のディベートの勝敗の世論調査をした反トランプ色が鮮明と言われるCNNの発表では、バイデン53対トランプ39と大差でバイデンの勝ち。そして政治マターだけを取り扱う偏向しているとは言われていない「Politico」の世論調査結果はバイデンの勝利54%、トランプ勝利39%、どちらとも言えない8%で、CNNとほぼ同じでした。Politicoはワシントンをベースにし政治に特化した独立系の調査報道会社です。

 

  日本のニュースでも「起死回生を図ったトランプは、バイデンを負かすことはできなかった」というトーンが多かったと思われます。それでも日本の事情通の解説者やコメンテーターはトランプの逆転はありうると予防線を張り巡らしている人がほとんどです。

  私に言わせればそういう人たちは「あつものに懲りてなますを吹く」なのです。そして11月3日の投票後はトランプが訴訟などの手に出て、なかなか決まらないだろう、というトーンがほとんどです。

  混乱が起こる可能性はありますが、それは投票結果がきわどかった場合に限られ、圧倒的な差であれば、裁判所はトランプの訴訟を受け付けません。そしてすでに上下両院で、「トランプは負けたらスムーズにホワイトハウスを去るべし」と全会一致の決議までしています。わざわざ両院がそれほどの決議までしてトランプの無法な所作は許さないとしています。民主党だけの決議ではなく、共和党員を含む全会一致であることが重要なポイントで、トランプと違い共和党議員はいまだ良心を持っていると言えます。

 

  2回目のディベートはトランプが「やり方を変えるのは気に食わん」として拒否しました。これでわめくチャンスを失ったトランプですが、最後のディベートを前にしてこんなおバカなことを言っていました。

「2分間マイクを切るのはフェアーじゃない!」

   おいおい、「おまえさんが前回バイデンの発言を73回もさえぎったから公平を期してマイクを切るのに、それをフェアーじゃないだと。おまえ頭の中はどうなってるんだ」。ときっとディベートの主催者CPDは中指を立てたに違いありません(笑)。今の若者風に言えば、「ザケンナヨー!」、です。

 

  もっともディベートで勝利したからと言って選挙に勝つわけではありません。前回もディベートはヒラリーの勝利でしたが、選挙結果はトランプの勝利でした。

  では最後のディベートを受けた選挙結果予想の世論調査などはどうなっているのでしょう。各種世論調査のおまとめサイトであるRealClear Politicsの10月24日までの平均値によれば、バイデン勝利予想50.8%、トランプ42.8%とほとんど変わらず、トランプ岩盤支持層以外にトランプ支持は拡がっていません。

  世論調査ではなく、ディベート結果などをすぐ反映するオッヅはどうなっているか、これまでの推移を含めて見てみましょう。

 

              バイデン  トランプ  差

トランプの感染前9月末  ;  55     45    10

トランプ感染後10月11日 ;  67      33     37(最大差)

トランプ復帰遊説開始後  ; 60       40    20(最小差)

ディベート後10月25日  ;  62     34    28

 

    9月頃にはバイデンとの差が10ポイントだったのが、感染で差が37まで拡がってしまったトランプですが、感染後の遊説復帰でバイデンとの差を20まで回復しました。しかしフェアーな形式で行われた今回のディベートではあまり見るべき結果を残せず、逆に8ポイント拡大してしまいました。

  大事な選挙区で負けそうなトランプは最後の悪あがきで、前回勝利したフロリダ、ペンシルバニア、ノースカロライナ、ウィスコンシンなどを執拗に繰り返し遊説しています。この行動、いつものようにすべてが顔に出てしまうトランプの焦りが頂点に達していることを示す確たる証拠です。相変わらずかわいいね、トランプちゃん!

 

  では選挙結果を予想する同じくRealClear Politicsの別の角度からの統計を紹介します。それは、州別の選挙人獲得予想の集計です。この集計ですが、接戦州をいまだ白黒付けられないとする慎重な予想1と、接近していても数字で差があれば白黒をつけてしまう統計2の2種類があります。選挙は過半数の270人を獲得したほうが勝ちです。

 

                      バイデン トランプ 接戦

1.接戦州を除いた選挙人獲得予想       232   125   181

2.接戦でも予想確率が高い方が選挙人を獲得  357   181   0

 

 2の少しでも差があればウイナー・テイク・オールで集計する予想では、圧倒的にバイデン有利で、もしこうなったらいわゆるランドスライド、地滑り的勝利と言われます。このケースではトランプが何を叫ぼうが無駄。訴訟などしても無意味で受け付けられることはありません。

 ついでに最近とみに激しさを増すトランプのウソと報道の偏向についてです。

最近「アメリカの大手メディアは反トランプで偏向している」という意見を見かけるようになりました。それに対する反論です。

 

  まず、アメリカのCNNや大手報道機関は偏向報道だという方のご意見は、「トランプの言っていること、やっていることは全くもってまともだ」という前提に立たれていると思います。

 

  もしそうでなく、トランプの言っていること、やっていることが常人ではなく狂人の所作だとすればどうでしょう。そこでウソの回数が問題になります。

  では就任以来20年8月までの発言を分析した9月のワシントンポストの報道を見てみます。「就任以来のウソまたは真偽がさだかではない発言回数は2万回に上る」と書かれています。

 

これを日数で割ると、20,000÷1330日=1日平均15回・・・ウッソー!!!

 

  ほんとです。ちなみにワシントンポストはアマゾンのジェフ・ベゾスがオーナーを引き継いだ反トランプ(?)のメディアで、昔からアメリカでも随一のクオリティー・ペーパーと言われています。この数字を掲げたからと言って、それは事実を述べたまでで、偏向などでは決してありません。

 

  ではもし日本の首相が毎日1回でも明らかなウソをついたらどうなるでしょう。上を下への大騒ぎで、すべてのメディアは非難の大合唱になります。それは偏向報道ですか?

  アメリカ大統領が毎日15回もいい加減なことを言い続けている指摘を毎日続けるのは、至極当然でしょう。しかもそのウソがコロナに関するいい加減なデマをそのまま書いて大きな影響を与えるとしたら、報道は事実を書くだけでなく大統領を非難するのが当然です。

 

  コロナには消毒薬を飲めば効くとか、マラリアの薬がいいとか。最近は選挙結果が芳しくないとみるやいなや、郵便投票はインチキだ、負けと結果が出たら、インチキを暴くため訴訟で勝ってやる。最後のディベートでは、バイデンの息子はウクライナで数千億円も儲けたなど、報道が大きなウソを否定し非難するのは当たり前だと思うのです。

  以上、選挙予想とウソツキトランプ、偏向報道についてでした。

 

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 男子の日本オープンゴルフ選手権で異変

2020年10月17日 | ゴルフ

  異変が起きています。現在開催中の日本オープンゴルフ選手権で昨日までの2日間の予選の結果、1位アマ大学生、2位対にアマ大学生2人とプロ2人。2位対までの5人の中に3人もアマ、それも現役の大学生が入っているのです。面白いことになってきました。

 

  日本オープンでアマが優勝したのは1927年の第一回大会の赤星六郎だけ。その時代、ゴルフがプレーできるのは超金持ちだけで、トーナメントがほとんどないので、プロとして食べられるプロなどほとんどいない時代の例外です。以降、アマの最高位は3位で、片山晋呉と松山英樹、そして赤星六郎の兄四郎の3人です。

   予選首位は女子プロ黄金世代で活躍する河本結(ゆい)選手の弟力(りき)です。183㎝、82㎏と松山並みの体格で、ドライバーショットは松山同様300ヤードを軽く超えます。今回の開催コース千葉の紫カントリーすみれコースの最終18ホールは612ヤードもあるのですが、2打目をアイアンで打つほどのロングヒッターです。

 

  長く低迷期を脱することのできない男子プロゴルフ界ですが、やっと復活の兆しが見えてきました。このところ世界アマランキング首位の22歳、金谷拓実が19年には国内プロトーナメントの太平洋マスターズに優勝し、マスターズに出場したりして、この試合からプロ入り。そしてもう一人、星野陸也24歳も先週フジサンケイクラシックで優勝し、若手ゴルファーの活躍が目立つようになってきました。女子に負けるな!

 

  日本オープンは今日10月17日(土)と明日が決勝ラウンドです。アマ選手3人がどこまで通用するか、実に楽しみです。

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ハンコは文化だって? 私のハンコ物語

2020年10月13日 | ニュース・コメント

  ハンコはいったいどうなるのか。押印を省略しようという動きが本格化しています。何を今さらと思わざるを得ません。行政改革の目玉の一つになりつつありますが、それが本当に目玉だったら、がっかりですね。「大山鳴動、ハンコ一ヶ」に終わらないことを祈ります。しかしハンコを巡って議員連盟があるとは、驚きですね。

  ハンコって、意外にも好きな人がけっこういますよね。趣味のように多くのハンコを持つ人を知っています。その一人は私の義父です。20個ちかく持っていて、家内を含む子供たちの悩みは、どのハンコがどの銀行などに使用していたか、一向にわからないこと。ご本人はすでに90歳になるので、もちろん忘却のかなたです。老人ホームに入っているため、銀行や証券会社の手続きは我々が代行しますが、すべてのハンコを持参して、担当者と一緒に探すのは手間暇がかかります。

  しかしハンコがあれば本人がいなくとも手続きができてしまうのは、どう考えても不合理です。なので私はハンコが嫌いです。便利なのか危険なのか。私にはハンコは危険物としか見えません。ハンコを巡る犯罪はあとを絶ちません。なのに使われ続けるハンコ、みなさんはどう思われているのでしょうか。

 

  ハンコについて考えたのは社会人になって早々の仕事がきっかけでした。それらを含め、ハンコにまつわるエピソードを紹介します。

エピソード1

  私の社会人はJALでスタートを切りました。霞ヶ関にあった国際線の航空券を発行するカウンターの係員でした。昔の航空券を覚えている方もいらっしゃると思いますが、国際線の航空券は例えば発券会社であるJALが、パンナムであろうがルフトハンザであろうが発行できます。例えば世界一周の航空券であれば非常に高額のものですが、4枚つづりのカーボンコピーでできていて、4つの区間までは1冊の航空券で発行します。NRT-SFOはJL、SFO-JFKはUA、JFK-CDGはAF、CDG-NRTはAFという具合です。航空会社の2桁のコードはもとより、地点空港の3桁のコード、100か所くらいはいまでも覚えています。

  航空会社は責任上、いったいどこの誰がその券を発行したのか後々でも判明できるようにするため、発行航空会社・支店・日付の入ったヴァリデーション・スタンプを押し、さらに券面を書いた人のイニシャルサインを書き入れて完成します。

  その時に、「そうか国際的にはサインが通用するんだ」。それがハンコ不要論のきっかけだったようです。

 

エピソード2

  その次は、アメリカ駐在時代に毎日のように必要だった小切手での支払いです。アメリカでは電気料金の自動引き落としなどという怪しいシステムを信用する人はほとんどいませんでした。銀行を信用していないのです。そのため公共料金から買い物での支払いまで、クレジットカード、もしくは小切手で行い、いずれにしろサインが必要で、それが日常的支払い行為でした。

 

エピソード3

  そして決定打となった象徴的出来事は、日本の銀行口座をサインで作ったことです。アメリカの駐在中に投資銀行に転職を決めて東京に帰ってきたのですが、今でもメガバンクとして存在している都市銀行で給与振込口座を作る時に、「ハンコは盗難のおそれがあるので嫌だ、サインにしてくれ」と主張しました。

 

理由の第一は、同じ支店で口座を持つ同僚のアメリカ人たちは全員サインで口座を作っていること。そして第2の理由、これが実に大事で決定的な理由なのですが、偽造ハンコで口座から多額の現金を引き下ろされ、それを違法だと訴えた口座所有者が、裁判で負けたという事実です。

  昔の通帳にはハンコの印影がありましたが、それを基に犯人が偽造ハンコを作って、盗んだ通帳と一緒に現金の払い出しに成功。被害者は銀行に損害賠償を求めましたが、なんと敗訴したのです。何故偽造とわかったのか。被害者はハンコは通帳と別にいつも自分で所持していたからです。

  この事件、かなりの衝撃をもって報道されましたが、私はその新聞記事を持参し、「おたくは偽造ハンコで通用するので、ハンコは嫌だ」と主張。するとやっと支店長代理が出てきて、「サインでけっこうです」となりました。

 

  私自身はこのメガバンクを含め外資系銀行と別の邦銀にもサインだけの口座を持っていました。外資系は日本から撤退したので、現在は邦銀2行だけです。

  ハンコが嫌いでもハンコしか通用しない役所の書類などはしかたなく印鑑を使いますが、でもまずは「すみません、ハンコ忘れましたので、サインか拇印でいいですか」とダメもとで聞いてみます。役所以外だと、2回に1回程度は通用します。

 

エピソード4

  ハンコで一番ひどいと思っているのは、大事な契約書などの捨て印です。「ここに捨て印をお願いします」と言われると、私は即座に「嫌です」と言います。勝手に訂正されてたまるもんか、というわけです。「訂正が必要なら、何度でもハンコを持って訂正しに来ます」というと、それが通用しなかったことは一度もありません。

 

  捨て印などという悪しき習慣、みなさんもお気をつけくだされ。

 

  ハンコは文化だという方もいらっしゃるとは思いますが、そうした方々もハンコによる犯罪に巻き込まれないよう注意しましょう。

 

  

コメント (4)
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コロナを笑うものはコロナに泣く

2020年10月08日 | アメリカ大統領選挙2020

因果応報、奢れる者久からず

  こうした教訓を地で行くトランプのあせりが、強引な退院という行動で見て取れます。大統領選が1か月後に迫り、いよいよホームストレッチまで来て一発逆転を目指したトランプでしたが、コロナにより見事に転倒しました。

    感染を受けた10月4日のアメリカABCニュースの世論調査では72%が「トランプ氏は新型コロナの危険性を真剣に受け止めなかった」、あるいは「トランプは適切な感染予防策をとらなかった」と答えています。

  軽視が72%もいるということは、岩盤と言われている40%の支持層の中でも、ダメ出しをした人が相当いるということです。簡単に計算すれば、

72%-40%=28%

支持者40%のうち28%は、  28÷40=70%

  つまり支持者でも7割の人は愚かさにあきれているということです。2つの調査は異なるものとはいえ、ざっくり言えばこういうことでしょう。しかしトランプ支持者のこと、あきれてはいても選挙では支持する人がきっと大半でしょう。

 

  では感染により、トランプ対バイデンの支持率はどう変化したか。これはまだ十分な調査結果は出ていませんが、感染後の調査例を一つ示します。

ロイターより引用

トランプは1日夜に新型コロナウイルス陽性が判明し、翌2日から3日間にわたって入院を続けている。世論調査は、ロイター/イプソスが成人1005人を対象に10月2日~3日に実施。11月の大統領選で投票予定の有権者は596人で、そのうちの51%がバイデンを支持、41%がトランプを支持する結果となり、バイデンのリードはここ1カ月で最大となった。

引用終わり

  まだ大半の調査機関は追い付いていませんが、追い付いている世論調査ではバイデンとトランプの差は10ポイント以上になっています。ちなみにトランプ支持が鮮明なFOXニュースの3日~6日の調査でさえ、バイデン53%対トランプ43%と10ポイントもの差になりました。

  従来の世論調査ではなく、事態の変化を即日反映させることのできる当選予想オッヅを見てみましょう。まずディベート前の平均ではバイデンの当選55ポイント程度、トランプの当選45ポイント程度で、差は10ポイントでした。しかしディベート直後に差が19ポイントと大きく拡大。さらに感染後10月2日には61対37.5、差が23.5ポイントと決定的に拡大。退院後10月7日のオッヅでは64.0対35.4でその差は28.6とさらに拡大しています。感染者トランプのあきれた行動を見てのことです。

  あきれた内容とは、入院中のトランプが支持者に向けて車でパレードし、セキュリティガードや医療関係者を危険にさらした。その上ホワイトハウスに戻ったとたん、マスクをはずして演説して見せるという愚かなパフォーマンスを行いました。ホワイトハウスでは昨日時点でトランプの周辺者が13人も感染しているクラスター発生地帯となっています。

「トランプこそコロナのスーパースプレッダー」です。すでに負け犬となったトランプの焦り狂ったパフォーマンスは、やればやるほど支持を失うという悪循環に入りました。

  

  このところトランプは選挙で落選したら裁判でひっくり返してやると宣言し、落選後に重点を変えています。しかしそれは簡単なことではありません。というのも議会は民主党、共和党の全員一致で「大統領選挙結果を守り、スムーズな政権移行を行うべし」と決議しているからです。それはもちろんトランプの無駄な抵抗をやめさせる目的です。そうさせないためにも選挙人の獲得数で大差がつくか注目されます。

  一方でトランプの感染について、「選挙用のウソ」だとか、「不利な状況の逆転を狙った感染だ」などというおかしな陰謀論が横行しています。私は常にこうした陰謀論的なうがった見方には組しません。彼は自分の命をリスクにさらせるほど若くないし、バレット氏の指名式典にホワイトハウスの上級スタッフや上院議員、軍幹部など多数を呼びリスクにさらすなど、すべてトランプ自身が不利になることばかり。

  もし彼がコロナを克服して「どうだ、オレ様はコロナを打ち破ったぞ」などと叫んでも、トランプの反対者が支持側に回ることなどありえない。あるとすれば、コロナに感染したためトランプから離反した元支持者の一部が戻る程度の話です。

  就任以来一度も支持率が50%を上回ったことのない大統領は、史上多分トランプだけでしょう。いや、前回大統領選でも選挙人獲得数では勝ちましたが、票数ではヒラリーに負けているので、選挙でも支持率は5割に満たなかったのです。その支持率をコロナ感染でさらに低下させる中、再選などありえないというのが私の予想です。

 

  副大統領候補のディベート

 

  その中で日本時間の本日、副大統領候補二人のディベートがありました。このディベートは前回のトランプによる妨害ほどのひどさはなかったのですが、やはり劣勢となり焦っているペンス副大統領がハリス氏の発言をさえぎったり、司会者が止めるもの無視して話し続けるシーンが多かったと思います。アメリカのメディア、日本のメディア、そしてアナリストたちの評価を簡単にまとめますと、

  「カマラ・ハリス氏が副大統領、そして大統領に不測の事態が生じたときのピンチヒッターとしての資質が十分にあると証明した。政策内容の討論でもペンスは精彩を欠き、ハリスが勝っていた」というものです。

  みなさんはもう覚えていらっしゃらないと思いますが、前回選挙での副大統領候補のディベートを私は「悪ガキ ティム・ケインと校長先生ペンスの戦いでペンスの勝」と評しました。今回は「悪態をつく高校生ペンスと、落ち着いた女性教師ハリスの戦いでハリスの勝」と表現しておきましょう。

  討論直後のCNNによる勝ち負け調査では、ハリス59%、ペンス38%とハリス。ABCの調査ではハリス66%対ペンス34%、圧倒的にハリス勝利でした。

 

  ここまでくるとアメリカではトランプ対バイデンの政策比較ではなく、バイデン勝利後のシナリオがメインテーマになりつつあります。バイデンの掲げる政策内容の分析や株式市場に与える影響などの議論が深まりつつあります。

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トランプ・バイデン ディベート結果

2020年10月01日 | アメリカ大統領選挙2020

  昨日のばかばかしいディベートに、日本での報道では「お互いが非難の応酬をしていて両者痛み分け」というような報道が多いのですが、現地アメリカをはじめ、海外での報道はそんないい加減な印象だけのコメントはしていません。

  そもそもなんでディベートがひどく混乱したのかに関しては、トランプのせいだということをしっかりと指摘しています。アメリカの各報道もイギリスのBBCでも同じです。そのことは次の数字を見ればあきらかです。

討論中、ルール破りの割込み回数

トランプによる割込み;73回

バイデンによる割込み;9回

  圧倒的にトランプ側のルール違反であって、両者痛み分けなどではありません。統計好きのアメリカのことなので、2人のしゃべっている累積時間は何対何なのか調べてみましたが、みつかりませんでした。割込み時間を含めてザクッと推定すれば、6対4から7対3のあいだくらいで、トランプが時間を占有していました。

  また日本では「今回のディベートでは、肝心な政策論争にならなかった」と報道されています。確かにそのとおりなのですが、この数字を見れば、ぶち壊したのはトランプだということが鮮明に見て取れます。

 

  私は前回のヒラリーとのディベートでも同じようにトランプによる割込みが多かったので、今回も司会者の制止は効かないだろうと思っていました。公平にする方法としては、単に一人だけが話せるようにマイクをセットし、時間を公平にすればいいだけなので、実に簡単にできます。スイッチング・コントローラーを司会者に渡せば済む話です。

  今回のディベートを終えて、さすがにトランプによるディベートの攪乱を再現させないため、新たな方策を考えると主催者が宣言しています。

  大統領候補によるディベートに、そもそも主催者がいることをご存知でしょうか。報道関係企業の主催ではありません。機関の名はCommission on Presidential Debates 略してCDPと言い、それだけを専門とするNPO法人です。

  そのニュースに早速トランプ陣営は「CDPによるルール変更に反対」という狼煙をあげました。それを言う事自体、トランプのルール違反を認めていることなのに、おバカな陣営です。今回の司会者や次回以降の司会者もCDPが公平性を考え、すでに9月2日に決めています。

  私は以前から、トランプは自分が不利になると後付けでもルールを変更してしまう詐欺師だと指摘していました。ゴルフで一緒にプレーしたことのあるプレーヤーが、「彼は自分の打ったボールがOBラインを超えれば、キャディーにOB杭を引っこ抜かせて、ボールはセーフだと言い張り、池に落としても池のそばに別のキャディーを置いておいて、別のボールを池を超えたところに置かせる、とんでもない輩だ」という報道を引用したことがあります。

  今回は自分が選挙に負けそうになると「選挙システム自体をインチキだ」と言い張って、「裁判に持ち込む」と宣言。すでに負けを見越したこれまたおバカな宣言です。

 

  一方、「このところ世論調査でトランプが劣勢を挽回しつつある」という報道を日本ではよく見かけます。これも数字の中身をよく検証して、トランプ支持派の調査機関が結果を発表するたびに数値が歪められてしまう事実を知れば、実際はそんなことはないのがわかります。

  私の予想では、今回のディベートを受けてもトランプのディープな支持者は変わらないでしょう。しかしバイデン支持者は思いを固め、バイデンは大丈夫なのかという疑問からどちらか決めかねている人々の多くが、彼は認知症などではないと確信し、バイデン支持になびいていく。その結果世論調査もバイデン支持者が今後増加するだろうと思っています。しかし世論調査は時間がかかります。

  そのかわり日々数字が出てくる大統領選勝敗予想オッヅでは、昨日まではバイデン有利の差が9.5だったものが、ディベートの終わった時点ではなんと19.0ポイントにも一気に拡大しました。ディベートでの勝敗をオッズ業者はこう判断したのです。

      9月30日  10月1日

バイデン;  54.5    59.8

トランプ;  45.0    40.8

差;     9.5     19.0

出所;Real Clear Politics, Presidential Race Odds

https://www.realclearpolitics.com/elections/betting_odds/2020_president/

 

  今回のディベートの焦点であった「バイデンは大丈夫か」を彼が無事乗り越えたため、たとえオクトーバー・サプライズが出ても、高みの見物を続けられると私は勝手に確信しました。

 

 

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