北海道大学、韓国・成均館大学校、産業技術総合研究所(産総研)は、青色発光ダイオードの材料である窒化ガリウム(GaN)からなる半導体の電子の動き易さを活かした半導体二次元電子ガス(電子が溜まったナノメートルオーダーの極めて薄い層)が、既に実用化されている熱電変換材料に比べ2~6倍も大きな熱電変換出力因子を示すことを発見した。
ここ数年、米国や中国で性能の高い熱電変換材料が報告されているが、性能が再現できないなど、実用化にはまだ多くの課題がある。
今回使用した窒化ガリウムの半導体二次元電子ガスは、非常に高価な単結晶基板の上にしか作製できないことに加え、熱伝導率が大きいことから、そのまま実用化に繋がるものではないが、今回提案する半導体二次元電子ガスの高い電子移動度を活かして熱電変換出力を高めるモデルは、実用化を控えた熱電材料を高性能化するための材料設計指針を与えると期待される。
将来、工場や火力発電所、自動車からの廃熱を電気に変えて有効利用する技術に繋がる。