“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「人間非機械論」(西田洋平著/講談社)

2023-07-19 09:49:18 |    人工知能(AI)



<新刊情報>



書名:人間非機械論~サイバネティクスが開く未来~

著者:西田洋平

発行:講談社(講談社選書メチエ)

 近年では、人間の知性を超えるAIが大真面目に考えられている。チェスや将棋のAIが人間を圧倒するだけではなく、ChatGPT、Midjourney(ミッドジャーニー)といった、文章、絵、音楽などの自動生成AIは、近年ますます高度になっている。将来は、様々な分野で機械が人間にとって代わるかもしれない。実は、このAIの源流にあるのが、コンピューターの父フォン・ノイマンの影響のもと、20世紀の知的世界を席巻し、認知科学やSFに影響を与えた科学、サイバネティクスである。しかし、その起源には、現代科学と相反する思想が胚胎していた――。サイバネティクスの創始者ノーバート・ウィーナーの思想から、その歴史を現代までたどり直し、徹底することで、不確かな世界を生き延びるための生命の科学を立ち上げる。情報・生命・社会の未来を読み解くための、革新的な科学論。【目次】 第1章 機械は人間になり、人間は機械になる?――サイバネティクスの旅路 第2章 制御と循環のはざまで――胚胎された岐路 第3章 セカンド・オーダーへの浮上――観察することを観察する 第4章 オートポイエーシスの衝撃――生命システムとは何か 第5章 現実はつくられる――構成主義の諸問題 第6章 情報とは何か――情報学としてのサイバネティクス 第7章 まとめと展望――サイバネティック・パラダイムの行方
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●科学技術ニュース●松下四維、日郵振華物流と三井住友海上中国、中国で大型EVトラックを用いた電池分析とクラウドサービスの実証実験を開始

2023-07-19 09:48:53 |    輸送機器工学
 パナソニック ホールディングスと北京四維図新科技股份有限公司の共同出資による合弁会社であるパナソニック四維モビリティテクノロジーサービス北京有限公司(松下四維)は、三井住友海上火災保険(中国)有限公司(三井住友海上中国)、日郵振華物流(天津)有限公司(日郵振華物流)と共同で、2023年7月から中国の工業地帯で大型EVトラックを用いた自動車部品輸送の実証実験を開始する。

 EVの利用は、脱炭素の潮流を受けてグローバルに拡大しており、今後は日本へも波及することが予想される。

 EVの利用で世界最大の市場を有する中国においては、電池の異常や劣化などによる安全性や経済性のリスクが、EVを利用するうえで課題となっている。特に物流事業者など車両の保有台数が多く、使用頻度が高い企業は、環境負荷低減に向けてEV導入を進めるにあたり、こうしたリスクに対して強い危機感を持っている。

 今回の実証実験では、日郵振華物流が大型EVトラックを導入し、中国の天津市内にある工業地帯において、工場間の自動車部品輸送を実施する。

 松下四維は、電池分析クラウドサービスBetteRRRy(ベタリー)を用いて、電池データを分析し、電池異常の検知や劣化状態を可視化することで、EVトラックを安全で経済的に運用するサポートをする。<パナソニック>
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●科学技術ニュース●NIMS、ハニカム構造のフォトニック結晶が起こす光渦の不思議な反転現象を発見

2023-07-19 09:48:29 |    化学
 物質・材料研究機構 (NIMS)は、鏡映対称性と時間反転対称性を有するハニカム構造のフォトニック結晶の中で、光渦光源に誘起された多数の小さな光渦が干渉し合い、その結果光源の周りに逆向きの大きな光渦を形成する不思議な光渦伝搬様式を発見した。

 同研究は、NIMSナノアーキテクトニクス材料研究センター (MANA) 胡暁グループリーダー、王星翔NIMSジュニア研究員が理論を担当し、中国同済大学Hong CHEN教授の研究チームが実験を担当した。

 この新奇現象が、フォトニック結晶のトポロジカル特性と深く関連することが明らかになったので、今後の革新的な光機能材料開発に寄与することが期待される。

 近年物質のトポロジーが盛んに研究され、新規量子特性探索の重要なプラットフォームになっている。

 特に、小さい光渦を作りながらフォトニック結晶の縁に沿って流れ、鋭角をなす経路や欠陥からの散乱を受けない光伝搬が発見され、光集積回路技術の革新が期待されている。

 中でもシリコン等の誘電体を微細に加工して造形したハニカム構造のフォトニック結晶にトポロジカル光特性を発現させるアプローチは、既存の半導体フォトニクス技術との親和性にも優れ、注目を集めている。一方、トポロジカル特性がフォトニック結晶内部での光伝搬にどのような影響を与えるかは解明されていなかった。

 今回、同研究チームは、鏡映対称性と時間反転対称性を有するハニカム構造のトポロジカルフォトニック結晶において、光渦光源が最近接の単位胞に同じ向きの光渦を誘起し、それらが逐次遠方の単位胞へ伝搬しながら干渉し合い、その結果光源の周りに逆向きの大きな光渦が形成される、新奇光渦伝搬様式を発見した。

 渦流の反転は、構造による鏡映対称性の破れか、磁化による時間反転対称性の破れで発生することが知られているが、同研究チームは、今回発見された現象が、ハニカム構造のトポロジカルフォトニック結晶のディラック周波数分散関係に由来することを突き止めた。

 今回の研究はミリ波で実験を行ったが、類似の現象は光通信帯域や可視光域でも期待され、キラルな物質の検出を目的とした顕微円二色性分散計やセンサーとフィルター、多重特異点光渦を利用した高精度広域顕微技術に応用できる。

 また、面発光レーザーの発光制御に利用すれば、光ピンセットや光スパナ等先端的なナノレーザー技術の発展への寄与も期待される。<物質・材料研究機構 (NIMS)>また、面発光レーザーの発光制御に利用すれば、光ピンセットや光スパナ等先端的なナノレーザー技術の発展への寄与も期待される。<物質・材料研究機構 (NIMS)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「実践Julia入門」(後藤俊介著/技術評論社)

2023-07-19 09:48:08 |    情報工学



<新刊情報>



書名:実践Julia入門

著者:後藤俊介 

発行:技術評論社

 同書は、2018年に正式安定版ver.1.0がリリースされて以降、数値計算分野などで注目を集めている言語Juliaの本格的な入門書。同書では言語仕様や基本機能の解説に重きを置きながら、実践的な実用例まで解説する。同書は「入門編」「基本編」「実践編」の3部からなる。「入門編」では、開発環境のセットアップからはじめ、基本的な文法を解説し。「基本編」ではより詳細な解説に踏み入り、Julia特有の仕様や概念、固有の機能などを理解してもらう。そして「実践編」では数値計算、データ解析、機械学習を取り上げ、より具体的・実用的な実践に発展する。初めてJuliaを使うという人から、今まで以上に深く知りたいという人まで、Juliaの魅力が詰まった一冊。
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