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エフェクトをかけたギターの音が遠くでかすかに鳴ってます

2021-04-01 07:00:00 | 音盤ノート
Jakob Bro "Uma Elmo" ECM, 2021.

  コンテンポラリー・ジャズ。デンマークのギタリスト、ヤコブ・ブロによるECM録音五作目(参考)。トランペットと打楽器とのトリオ編成で、Jorge Rossyはブラッド・メルドーとの共演で知られるスペイン人ドラマー、Arve Henriksenは尺八のような音を出すことで知られるノルウェーのトランペット奏者である(本作では普通にトランペットの音を出している)。最近のECMは、LPでの頒布を念頭においた40分前後の録音時間の作品が多かったが、本作は一時間を超える長さとなっている。

  曲はすべてブロ作。音はレーベルとメンツを見ただけで予想できる。暗く、枯れていて、哀愁に満ちた音楽である。楽曲自体は悪くなく、期待通りと言えるのだが...。リーダーのブロに自己顕示欲が欠けるのか、それともレーベルの方針なのか知らないが、ギターの音が遠くて小さい。後ろにまわって空気感を作るタイプのギタリストとはいえ、トランペットが目立ちすぎていて、録音バランスは悪い。"Streams" (ECM, 2016)でもギターの音がかなり小さめだったし、このミキシング方針には不満が残る。そもそも音数の少ないギター演奏なのだから、そのわずかな一音一音が際立つような録り方をしてほしいところだ。

  というわけで、本人がyoutubeにあげているアグレッシブなライブ演奏と比べると、少々不満が残る。ブロが本来持っているサイケデリック感や、エフェクター処理の面白さを殺してしまっている。ECMは信用あるレーベルなんだけれども、ミュージシャンを無理にレーベルカラーにはめてしまうところがあって、この作品がそうである。まあ、考え方を変えて、アルヴェ・ヘンリクセンのアルバムとして聴くならば悪くないかもしれない。
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