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公務員に向けて自治体が持つ公共施設をどう削減していくか説く

2024-04-15 21:12:44 | 読書ノート
志村高史『自治体の公共施設マネジメント担当になったら読む本』学陽書房, 2021.

  ハコモノ施設をたたむうえでの公務員向けのハウトゥー。多くの自治体で近い将来に予想される、人口減に伴う税収減と公共施設の老朽化。地方自治体は所有する公共施設を減らすことを避けられず、削減プロジェクトをどう進めたらよいかについて解説している。著者は神奈川県秦野市の職員。

  全8章のうち、最初の3章は公共施設の更新問題の深刻さを説いている。建替え時期に重複があることや将来確実な税収減のため、事前に対応をよく計画しておかないとたちまちのうちに財政難に陥る可能性があるとのこと。問題を先送りするだけの長寿命化よりは、利用量に対して維持費が見込めない施設は閉鎖したほうがよいというのが著者のスタンスである。4章以降、反対派を説得するにはどのようなエビデンスを集めたらよいか、更新計画という名の削減計画のポイント、残すべき施設をどのような形で維持してゆくか、民間との連携などについて記している。

  著者によれば、利用者一人あたりのコストを計算すると、“図書館は、1,000~2,000円となる高コスト体質のハコモノです”(p.135)だって。おそらく秦野市における試算だが、他の施設と比べて図書館には金がかかっているらしい。図書館は安いというイメージを持っていたが、自治体から見ればそうでもないというのを知った。
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