安藤寿康『能力はどのように遺伝するのか:「生まれつき」と「努力」のあいだ』(ブルーバックス), 講談社, 2023.
行動遺伝学。著者は2000年に『心はどのように遺伝するか』をブルーバックスから上梓しているが、その間の20年以上の研究の進展を伝えるものとなっている。ブルーバックスでの前著は、遺伝の影響が「ある」ということと、それをどう計算するのかについて詳しかったような印象(うろ覚え)があるが、この新著では、遺伝がどのように発現するのかの生物学的な説明、また環境と作用するというのはどういうことかの説明に詳しい。
全体を貫くのは複数の遺伝子が関係して表現型となるというポリジーンである。知能やうつ病がそうであり、全体として関連する特徴は正規分布している。上位層または下位層は目立ちやすいけれども、彼らは特定の環境に置かれることによってその能力を上手くマネタイズできたり、あるいはうつ病に陥ったりしているのである。ゲノム解析によって、そうした複数の遺伝子の一部を特定できているけれども、まだまだ明らかにされていない遺伝子も多いらしい。もちろん環境の影響もある。ただし、環境の影響が強くでるのは、環境が悪い(ストレスフル)場合であるとのこと。
で、これまたうろ覚えで申しわけないのだが、一卵性双生児の類似度を説明する際の「共有環境」の割合が高くなっているような気がするのだが、どうなんだろうか。著者のこれ以前の書籍だと、遺伝が半分で次に非共有環境の影響が強く、共有環境の影響はほとんどない、というような感じだったと思う。それがこの本では、IQに限れば遺伝50%、共有環境35%、非共有環境15%になっている。うーむ、共有環境の影響がほとんどないというのは、パーソナリティに限った話だったかもしれない。
行動遺伝学。著者は2000年に『心はどのように遺伝するか』をブルーバックスから上梓しているが、その間の20年以上の研究の進展を伝えるものとなっている。ブルーバックスでの前著は、遺伝の影響が「ある」ということと、それをどう計算するのかについて詳しかったような印象(うろ覚え)があるが、この新著では、遺伝がどのように発現するのかの生物学的な説明、また環境と作用するというのはどういうことかの説明に詳しい。
全体を貫くのは複数の遺伝子が関係して表現型となるというポリジーンである。知能やうつ病がそうであり、全体として関連する特徴は正規分布している。上位層または下位層は目立ちやすいけれども、彼らは特定の環境に置かれることによってその能力を上手くマネタイズできたり、あるいはうつ病に陥ったりしているのである。ゲノム解析によって、そうした複数の遺伝子の一部を特定できているけれども、まだまだ明らかにされていない遺伝子も多いらしい。もちろん環境の影響もある。ただし、環境の影響が強くでるのは、環境が悪い(ストレスフル)場合であるとのこと。
で、これまたうろ覚えで申しわけないのだが、一卵性双生児の類似度を説明する際の「共有環境」の割合が高くなっているような気がするのだが、どうなんだろうか。著者のこれ以前の書籍だと、遺伝が半分で次に非共有環境の影響が強く、共有環境の影響はほとんどない、というような感じだったと思う。それがこの本では、IQに限れば遺伝50%、共有環境35%、非共有環境15%になっている。うーむ、共有環境の影響がほとんどないというのは、パーソナリティに限った話だったかもしれない。