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米国出身の環境音楽の開拓者、英国で注目を得る

2020-12-09 20:13:12 | 音盤ノート
Harold Budd / Brian Eno "The Pearl" EG, 1984.

  環境音楽。ピアニストのハロルド・バッドは、今年12月8日に新型コロナによる合併症によって亡くなったとのこと1)。享年84歳。本ブログでもすでに三つほどアルバムを紹介している(1 / 2 / 3)。深い残響処理をかけつつ、シンセサイザーまたはピアノを薄い和音で少ない音数で弾く、というのが演奏スタイル。出身地のアメリカよりも英国で好まれ、特にニューウェーブ系の実験精神を持つ音楽家との共演が多い。

  "The Pearl"は彼の代表作である。もう一つのイーノとの共作"The Plateaux of Mirror"(1980)と比べると、音の輪郭が微妙にぼやけていて出所が遠いというところは同じだが、本作のほうが暗くて寂しい。孤独で、かすかながら情緒的である。ただしそれは、涙を誘うような感覚ではなくて、深く心の奥底に触れてくるような感覚である。環境音楽とカテゴライズされる音楽にしては、音楽に集中しても十分聴ける。

  キャリアも長く、かなりの量のアルバムをすでに録音している。十分仕事をしたわけで、惜しいという印象はないな。合掌。

1) アンビエントのパイオニア、ハロルド・バッドが新型コロナによる合併症のため逝去。その功績を辿る / discovermusic.jp (2020.12.9)
  https://www.udiscovermusic.jp/news/harold-budd-dies-84


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