Jakob Bro "Balladeering" Loveland, 2009.
ジャズ。ヤコブ・ブロは1978年生まれのデンマーク出身ニューヨーク在住のギタリストで、近年はECMからアルバムを発表している。この作品はデンマークのインディーズレーベル(ブロ自身の運営?)Lovelandからの発売で、出世作ということになる。CDは廃盤になっているが、ストリーミングで聴くことができる。
ギタリストといってもビル・フリゼールの影響を感じさせるレイヤー系ギターで、残響を効かせて空間的な演奏を効かせる。これはそのフリゼール自身(‼)を招いての録音。両者の違いを堪能してもらおうというわけなのか、ブロは左スピーカーに、フリゼルは右に割り振られている。この他、リー・コニッツ(alt sax)、ベン・ストリート(bass)、ポール・モチアン(drum)が加わる五重奏団での演奏である。
ECMでのブロの諸作を聴くとつかみどころのない冷たい荒涼としたギタリストという印象だが、このアルバムでは暖かみを感じる。たぶんそれはリー・コニッツのおかげだろう。彼だけがはっきりとしたメロディラインを奏でる。その他四人は雲を掴むような演奏をする。本来ならば歌心のあるフリゼールだが、ここでの演奏は主役を食ってはならじと気を利かせたのか、抑え気味である。二つのギターは明滅する弱い光のようで、チラチラ鳴っているけれども前面には出てこず、周囲を漂う空気を作ることに専心している。
というわけで、スリルはないけれども、注意せずに浸るように聴けるというアンビエントなジャズである。近い音としてはKenny Wheelerの"Angel Song"(ECM, 1997)が挙げられる、といってもマイナーすぎるかな。
ジャズ。ヤコブ・ブロは1978年生まれのデンマーク出身ニューヨーク在住のギタリストで、近年はECMからアルバムを発表している。この作品はデンマークのインディーズレーベル(ブロ自身の運営?)Lovelandからの発売で、出世作ということになる。CDは廃盤になっているが、ストリーミングで聴くことができる。
ギタリストといってもビル・フリゼールの影響を感じさせるレイヤー系ギターで、残響を効かせて空間的な演奏を効かせる。これはそのフリゼール自身(‼)を招いての録音。両者の違いを堪能してもらおうというわけなのか、ブロは左スピーカーに、フリゼルは右に割り振られている。この他、リー・コニッツ(alt sax)、ベン・ストリート(bass)、ポール・モチアン(drum)が加わる五重奏団での演奏である。
ECMでのブロの諸作を聴くとつかみどころのない冷たい荒涼としたギタリストという印象だが、このアルバムでは暖かみを感じる。たぶんそれはリー・コニッツのおかげだろう。彼だけがはっきりとしたメロディラインを奏でる。その他四人は雲を掴むような演奏をする。本来ならば歌心のあるフリゼールだが、ここでの演奏は主役を食ってはならじと気を利かせたのか、抑え気味である。二つのギターは明滅する弱い光のようで、チラチラ鳴っているけれども前面には出てこず、周囲を漂う空気を作ることに専心している。
というわけで、スリルはないけれども、注意せずに浸るように聴けるというアンビエントなジャズである。近い音としてはKenny Wheelerの"Angel Song"(ECM, 1997)が挙げられる、といってもマイナーすぎるかな。