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青春のアルバムを処分したの後の悔悟

2011-01-10 22:34:34 | 音盤ノート
Aztec Camera "High Land, Hard Rain" Rough Trade, 1983.

  「ネオアコ」というジャンルを代表するよく知られた名盤。Aztec Cameraは、1980年代から1990年代にかけて活動した英国のポップグループであり、これはそのデビュー作である。このアルバムのすぐ後にメジャーレーベルに移籍して出したシングル"All I Need Is Everything"(1984)は、当時ラジオでかかっていたのを小学生だった僕ですら耳にした記憶がある。その後のキャリアは中途半端な感があるが、デビュー当初はそれなりにプッシュされていたようだ。

  軽い疾走感のあるシングル曲(track 1, 3, 6)が素晴らしいのは言わずもがなだが、それ以外の曲もメロディやアレンジがよく練られており、全体を通じて飽きさせないのがこのアルバム。特に、歌の巧いボーカルだったらさぞクドくて暑苦しいだろうと思わせるスローテンポの曲(track 4, 5, 9)も、青臭くてクセの無いRoddy Frame(当時19歳)の声にかかるとずいぶんと爽やかだ。本来ねちっこく歌い上げられるようなスローバラードを、清涼に聴かせてしまうこのセンスは素晴らしい。

  日本において「ネオ・アコースティック」にカテゴライズされるバンドの多くは、実はほとんどの楽曲でエレクトリックギターを使っているというのはよく知られた事実である。ただし、このアルバムだけはその呼称にふさわしく、track 1, 2, 4, 5, 8, 10とアコギ曲の方が多い(特にフラメンコ風のアレンジのtrack 8はベストトラック)。ちなみに、ボーナストラックを除くと、エレキギターの曲は track 3, 6, 7, 9である。「ネオアコ」のイメージそのものがこのアルバムに多くを負っているということなのだろう。

  個人的には、実家に置きっぱなしにしていたCDをつい先日大量処分したのだが、これはそのうちの一枚だった。データでは採っておいたので、職場のある静岡に戻って聴きかえすことができるのだが、「やっぱりCDで残しておくべきだった」と後悔している。齢40に近づこうという僕でも聴けるクオリティである。とはいえ、若いうちに聴いておくべき作品だろう、せめて大学を卒業するぐらいの歳までに。そういう作品である。「成人の日エントリ」と言いたいところだが、こじつけ。
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