私が小さい頃は、あちこちから「おにはーそと!ふくはーうち!」と子供の声がしたものですが、
最近はどこからも聞こえなくなりました。
まず、お父さんの低い声で「おにはーそと!」と聞こえ、後から甲高い声で子供が続き、
鬼が窓から入って来ないように、すぐにガラガラ、ピシャッと窓を閉める音が聞こえたのを覚えています。
魔除けのひいらぎといわしの頭を玄関に吊るして夜を待ちます。
早く(おにはーそと)をしないと、あちこちの家で追い出された鬼がみんな自分の家に来てしまうと怖がっていたのは私だけでしょうか?
かれはちゃんが来たっ!!
もんたの胸の音は高鳴りました。
そーっと、そっと・・・で、(おにはーそと)だったよね?!
(違うよーもんたが鬼だから、もんたは豆を撒いてはだめ。)
えっ?そうなの?
そっか、もう一回、やり直しだ。
そうっと、そうっと・・・「悪い子はいないかぁー」
かれはちゃんの方に鬼は近づいて行きます。
(かれはちゃん、かれはちゃん、魔除けのひいらぎといわしの頭があるよ!!)
かれはちゃんは、初めて見る鬼が怖くて・・・・
ゆっくりゆっくり近づいて来る鬼に、だんだん隅の方に追いやられて行きます。
かれはちゃんは魔除けのひいらぎといわしの頭を、ぎゅうっと握りしめました。
「僕だよ、かれはちゃん。怖かった?」
かれはちゃんの腕の力がふわっと抜け、ひいらぎがポトッと落ちました。
そのあと・・・・
もちろん、もんたは・・・・・