熨斗(のし)

のし(熨斗)について、趣味について、色々なことを綴っていきます

記憶の風景ーばあちゃん

2017-12-25 01:16:04 | スケッチ

最近、腰の曲がったおばあちゃんを見る事が少なくなった。

80歳になっても90歳になっても腰も曲がらず矍鑠としているお年寄りが多くなった。

 

山の家のばあちゃんは、直角よりももっともっと腰が曲がって、

左手は左足の膝の上に置き、木の棒を杖にして歩いてくる。

小学校の一年生くらいの時だったか、本家に遊びに行った時もそうだった。

それよりずっと、ずっと前から腰が曲がっていたらしい。

それでも転んだ事などなく、そんな体で良く動く。

お百姓の事も、昔の事も、何にも知らない小さな子は

「何でそんなに腰が曲がっちゃったの?」と聞いたりした。

 

ばあちゃんは大正の初めの頃、わりと裕福な家からたくさんの長持ちに布団や着物や子どもの産着やなど、

たくさんの嫁入り道具を持って、この山の家に嫁いで来たんだって。

だけど、男の子4人と、女の子2人の子供に恵まれ、

この山の中で大勢の子供を育てて行くには、朝から晩まで働いて、働いて、働いて・・米を作り、

昭和に入ると戦争が続き、

毎日毎日、ばあちゃんの小さな背中で背負い上げた稲を、米搗き場まで背負って行って米を搗き、

又、背負って地主に年貢を納めに行き、

そんなふうに毎日毎日汗水流して働いて、

少しばかりの保有米で大勢の子どもたちを育てたんだって。

 

もともと150cmに満たないばあちゃんは、腰が曲がって110cmくらいしかなかった。。。

 

 

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岩古谷山

2017-12-14 17:28:46 | 

長野県の山々が真っ白な雪に覆われるこれからの時期、

本格的冬山登山は自信がないけれど運動不足にならないくらいの山歩きがしたい・・こんな時

ちょっと足を延ばして愛知県の東海自然遊歩道などを歩くのがお勧め。

愛知県の設楽町にある岩古谷山(いわこややま)は、岩質の硬い石英安山岩特有の男っぽい山。

約2000万年前に火山が噴火し、その溶岩でできた山だそうで、標高は低いけれど、

岩場あり、急な梯子ありでちょっと面白い。

設楽町にある和市の登山口には数台の車が停められていました。

東海自然遊歩道の一部でもある登山道は歩きやすく整備されています。

 

途中、こんな看板が・・・・

「ヤマビルは無理にひっぱらないでくださいね。口が残っていたんだりします。」

 

6月頃から夏にかけてヤマビルがいる山があります。

人の血を吸うのでほんとに気持ちが悪いのですが・・・

この看板によると、引っ張って取らないで、塩をかけるといいらしい。

・・・という事は、塩を持って行かなくてはいけないという事だけれど、

なかなか、血を吸っているヤマビルを見て、塩を取り出してかけている余裕はないんだよなぁ~。

見つけた途端に叩き落としちゃうよね。

鹿やイノシシがヤマビルを運んで来るそうなので、鹿や獣の多い山に入る時には、

必ず塩を持って行こう!

 

急な梯子段や鎖のある岩場は慎重に歩かないと危険な場所もあり,

岩にへばりつくように作られた梯子段を越えるともうすぐ山頂。

東海自然遊歩道の中でも三大難所の一つに数えられている登山道だそうで、人気があるのも頷けます。

 

帰りは別のルートを下ることにしよう。

山頂から直ぐ下に鎖場(回り道もあり)その後は階段の多い下山道を歩いていると、

大きな岩でできた山で生きている植物に驚かされる。

   

これは根なのか茎なのか・・・・。

一つの小さな種子が芽を出し、生きるために、養分を求めてこんなにも逞しく成長するものなのか・・・

こんなにも太く逞しく根を張らないと苦境の中では生きていけないのか・・・

そうなんだな。。。。と、思う。

長野県のお隣の県なのに、まだモミジの紅葉が美しく、

 

紅葉の色に懐かしささえ感じながら雪のR153号線に戻る。

 

 

 

 

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旧国鉄篠ノ井線廃線敷コースを歩くー2

2017-12-11 12:58:09 | 

この漆久保トンネルの上を通る細い道は、大昔の善光寺道だったそうで、

ここから山を登り峠を越えて善光寺に至ったと言われている。

その道の安全を願って祀られている二体の像は、木曽御嶽山の表参道を開いた、

覚明像と裏参道を開いた普寛像。

日当りのいい高台で、道行く人々を守りながら、時代の流れを見つめてきたに違いない。

御岳山の噴火をどう見つめていたのだろう・・・。

 

旧第2白坂トンネル入り口までの片道約6kmを折り返して、もう一度来た道を歩く。

 

同じ道を歩いても往きと帰りでは不思議なほど風景が違う。

木々の間から降り注ぐ初冬の日差しを受けて陽炎のようにゆらゆらと揺らめく砂利道の向こうに、

ぼんやりと人影が見えきて、現実に引き戻された。

 

小沢隧道もそのままの姿で残されている。

   

三五山から白坂までの間は鉄道防備林として、約3万本のケヤキが植林されているそうで、

今は葉が落ち、茶色一色の森の中だけれど、

春から夏にかけて、きっと鮮やかな緑と鳥の声に満ち溢れているのだろうなぁ・・・。

もう一度三五山トンネルを抜けて、

4時間後の安曇野の初冬の「今」に戻った。

 

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旧国鉄篠ノ井線廃線敷コースを歩くー1

2017-12-04 11:04:40 | 

北アルプスを眺めながら歩く事ができるトレッキングコース、旧国鉄篠ノ井線廃線敷コースを歩こうと思った。

晩秋の廃線敷が郷愁を誘うかもしれない。

歩き始めるとすぐに、晩秋の安曇野の風景が目に飛び込んで来た。

残り柿の向こうに蝶ヶ岳から常念岳までの真っ白な稜線。

ワクワクが止まらない。

明科駅から1.2km歩くと「潮神明宮」に到着。

 

最初のトンネル「三五山トンネル」が見えてきた。

一人でトンネルの中を歩いていると、ちょっとドキドキした。

小さな山の中の隧道は真っ暗くて怖くて、父に手を引かれて足早に通り過ぎた子供の頃の記憶が蘇る。

 

通り抜けると「東平」の看板。

ちょっとこんもりした高台に、「北アルプス展望休憩所・東平庵」があり、人の気配に誘われて立ち寄ってみると、

そこは、北アルプスの見える素敵な場所で、

暖かく、ウォーカーを休ませてくれる優しい場所がありました。

 

気持ちも体も暖かくなり又歩き出すと、二つ目のトンネル漆久保トンネルが見えた。

近寄ってみると、このトンネル、本当に素敵な色で・・一瞬で大好きな場所になった。

明治時代の総煉瓦作りのトンネルだそうだ。

この風景を見ただけで今日の一日を生きた事を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

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