熨斗(のし)

のし(熨斗)について、趣味について、色々なことを綴っていきます

ひとりごと(力強さの源)

2017-11-28 21:13:34 | ひとりごと

父は木彫を趣味にしている。

先日、何かの作品展に出品したら、非常に良い成績を収めたという事で表彰されたみたいだった。

その作品が不動明王と題したこの作品。

高さ70cmほどあるこの木彫は、丸太を掘って作ったものだった。

審査員の方々の評には

「91歳という高齢なのに、作品はエネルギッシュで見応えがある。丸い木を彫り出して、これだけの形を作り出すことは

とても苦労されたと思う。」

「・・・木を彫っていくというけっして楽ではない作業に向かって、表現していこうという意思は素晴らしいと思います。

こちらが背筋を正したくなる作品と出会う事ができました。」

「力強さ、優しさが感じられます。

何とも言えない生きる力を感じます。

作品への熱意と造形に作者の喜びを感じる」

など、様々な方々からのお褒めの言葉を頂き、表彰式の日の夕食時には照れくさそうに

「おれが年寄りだもんで褒めてくれたんだら。」

と言っていた父。

 

今年の夏、

父の足で約50分ほど登った山の中腹にある、山の寺の不動明王を見に行った。

大きな一枚岩に掘られた不動明王で、是非とも父に見せてあげたかった。

 

もちろん父は写真も撮らず、このわずか数分不動明王をじっと見つめただけだった。

作品が展覧会から帰ってきて見た時、この作品はこの時の不動明王だと初めて知った。

そして、多くの人に評して頂いた「力強さ」はきっとこの話を聞けば頷けるに違いないと思う。

 

もう一つの作品「豊穣」は米俵の上で鶏の親子が遊んでいるところだけれど、

私は「やさしさ」を感じる。

親の作品とはいえ、いい作品を見せてもらったという気持ちは審査員の方たちと何ら変わらない。

 

 

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富士見台ー2017(晩秋)

2017-11-27 22:24:37 | 

数日前降った雪は、周りの山々を真っ白にしました。

朝起きたら真っ青な空だったので、雪の南アルプスを見るために富士見台に登りました。

登山口から雪。

まだ紅葉が少しは残っているかも・・と思っていたのに、思いがけず雪の中を歩く事になりました。

 

雪の中を歩く事、約2時間で萬岳荘に到着。

尾根の風をまともに受ける木々は、雪が凍り付いて樹氷となり、

 

秋と真冬の間にある不思議な空間には、

 

わずか2時間で登った山とは思えない、面白い風景が広がっていました。

恵那山も山頂は雪。

富士見台の山頂からは、伊那谷の向こうに、雪を被った南アルプスがくっきりと見えました。

 

もうすぐ、この山頂も真っ白な雪に覆われてスノーシューでないと入れなくなります。

 

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佐渡の旅ー3

2017-11-23 16:08:57 | 旅行

2日目の夕暮れ、朱鷺の森公園の後、清水寺(せいすいじ)を訪ねてみる事にした。

佐渡に行く前、知人が「京都の清水寺を模して建造された古い寺で、能舞台があり、

石段から舞台までの木々が織り成す風景が四季を通していいらしい。」と教えてくれた。

ネットで調べてみると清水寺の由緒はー

第50代桓武天皇は、京都、清水寺の本尊千手観世音菩薩を深く信仰し、この遠い佐渡の地の人々が容易に京都を参拝できないことを嘆き、延暦24年(805)僧、賢応法師に佐渡に赴く勅を下す。

法師がこの地を訪れ川の流れに光るものを見つけ、その源流をさがし当山に至り、松の根に一夜を明かす。

すると翌朝法師が目を覚ますと不思議なことに、光明赫々たる童子が出現し法師に向かい「善き哉、善き哉、仏子末世衆生二世悉地を祈らんと頼む。

奇特なり、この地は大悲応現の地なり。願わくば一宇を建立し、聖容を安置し、敬礼供養せば諸願を成就せしめん。」と告げる。

法師はこの出来事を桓武天皇に伝えると、天皇は歓喜しその出来事が起こったこの地の東面の山腹を撃ち、当寺を創設する勅を法師に下し、大同3年(808)開基される。

(明治36年当山第17世円山在職時由緒書より抜粋)

 ーという事だそうだ。

夕暮れという事もあってか、誰もいない清水寺の舞台の真正面に父は立ち、

「こんな立派な造りの寺がこんなにひっそりと建っていては・・もったいないみたいだなぁ・・・。」

と独り言のように囁きながら、舞台に上がって行った。

 

少し色付き始めたモミジが真っ赤になる頃はきっときれいなんだろうなぁと思う。

石段を下って仁王門から見上げると、杉の木に導かれた参道から舞台のある救世殿がまっすぐに見える。

静かな寺の秋の夕暮れはあっという間に闇に変わった。

 

3日目、小木港に行く前に「千石舟展示館」と宿根木を見学する。

かつて廻船業で栄えた北前船の復元船白山丸が展示されていて、その精密さにびっくり。

 

宿根木は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている何ともノスタルジックな一角。

 

台風の影響の雨が降り出し、しっとりと濡れた細い路地は趣を増していた。

大急ぎで宿根木を見る事ができて良かった。

もう一度佐渡に行く事ができないかもしれないから・・・。

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佐渡の旅ー2

2017-11-20 22:31:43 | 旅行

2日目、尖閣湾を見た後、北沢浮遊選鉱場に行く。

佐渡の金銀産出量は国内最大で、東洋一と詠われた選鉱場跡地。

 

ラピュタの世界みたい・・、工場の上に広がる星空もきれい・・・、と今人気が高まっている観光スポットで、

是非見たいと思っていた場所の一つだった。

10月終わりの1日、この日は観光客も少なく、私たち家族だけがポツンと芝生の上に立ち、

今は廃墟となっているこの昭和の遺産を見つめながら、

両親は大勢の人たちがこの工場で働いて、活気に溢れていた当時のこの地を思い描いているのか、

生き抜いた昭和という時代を振り返っているかのようだった。

 

 

近くの売店でトイレで立てなくなった母を介助して頂いたり、疲れて歩けなくなって途中で休憩しているとお茶を持って来て下さったり、

今回の旅はいろんな人に助けられた。

それだけ両親が年を経たと実感すると同時に、佐渡の人たちの温かさに助けられて旅が続けられたと思う。

そこから、大佐渡スカイラインのドライブ。

 

今はもう雪が降ったかもしれないこのスカイラインも、この時は紅葉真っただ中だった。

この大佐渡スカイラインを越えて、もう一つの目的地、朱鷺の森公園に向かう。

 

大切に大切に保護され、育てられた朱鷺。

自然の中に放鳥された朱鷺が見たかったけれど、それはきっと奇跡に近い。

 

この朱鷺の森公園でも人の優しさを感じる出来事に出会う。

オーストラリアから来たというご夫婦が車いすの息子に近付いてきて、

「オーストラリアからきました。この子の車いすに付けてあげてください」

と言って、足の形のキーホルダーを差し出した。

今回の旅はこんなふうに、いろんな人に声を掛けられ、その度に人の優しさに触れた。

高齢の年寄りや障碍者を連れて歩く事は大変な事ばかりではない。

こうやって、健康な人には見えない「人の世界」を感じる事ができ、それが自分自身の力になっている事も知っている。

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佐渡の旅ー1

2017-11-14 22:52:53 | 旅行

高齢の両親と障害を持つ子供を連れて佐渡に旅行に出かけた。

一年に一回のこの三人を連れての旅行も10年目となり、はぼ日本一周に近くなってきた。

10年となると両親も92歳と88歳、

両親と車いすの子供はこの旅行の為に、元気でいられるように日々頑張って生活していると言っても過言ではなく、

今年もその日が迎えられたことは、本当に有り難い事だとしみじみ思うようになった。

最初の頃は、沖縄や北海道、広島の厳島神社から四国など、遠方にも足を延ばせたのだけれど、

近年は、移動距離の少ない長野県周辺の県の観光が精一杯になって来た。

それでも、毎日の生活を節約して、この時ばかりは露天風呂付きの部屋を予約したりして、

父の好きな温泉三昧の数日を過ごしながら、

未だ踏み入れた事のない地域をのんびりドライブしながら見て巡る楽しみ、

そして、旅の思い出を綴ったフォトブックを二人で見ながら、

ここはこうだった、あそこはこんな寺だった・・などと二人で話しているのを聞くのはちょっと嬉しいものだ。

 

新潟の直江津港から佐渡の小木港までカーフェリーで渡る前、少し時間に余裕があったので、

近くの平和公園?のベンチで昼食をとることにした。

宿泊場所以外は何も決めず、天気と時間と3人の体力を診ながら行動する。

カーフェリーには車いすのまま入る事ができ、その上眠たくなったら横になって寝られるし、

乗り心地は最高。

元気な父は何度も甲板にて海を見ていた。

 

 佐渡が見えてきた。

障碍者や高齢の人間が旅をすると、人の温かさが身に染みるもので、

大変だけれど、普通の旅行以上に心が満たされて帰って来る事が多い。

佐渡に到着し、小木地区からホテルのある相川に移動する途中夕暮れを迎えた。

台風も近づいているという週末だったが、日本海にしては珍しくオレンジ色の大きな太陽が日本海に沈む所が見られた。

 

車を停めて写真を撮る。

海のない県に住んでいると、海辺の人たちには日常のこんな風景にも感動したりする。

最近話題になっている佐渡の星空。

夜、外に出て写真を撮りたいと思っていたけれど行けず・・・、

それでも、ホテルの窓からもきれいな星空が見えた。

次の朝、一番先に行ったのが尖閣湾。

 

日本海の波と気候が作り出した天然の美しい海岸線を見られる景勝地。

昔、「君の名は」という映画のロケ地にもなったらしい。

 

ゆっくり、ゆっくりでも歩けるという事はありがたい事で、

父も母もこの景色を見る事ができた。

ここから北沢浮遊選鉱場に向かう。

 

 

 

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