犬鳴豚牧場日誌

大阪泉州地域唯一のブランド豚、犬鳴(いぬなき)ポークの農場日誌です。(有)関紀産業の二代目がお送りする養豚農家ブログ!

豚のお世話 ≠ 餌やり

2008年12月29日 22時22分24秒 | 本日の独り言
サッカー日本代表の前監督、イビチャ・オシムさんのオシム語録より。

「真のサッカー選手は『足が痛い』とは言わないものだ。
『頭が痛い』というのが本当の選手。
『頭痛がしない』選手はプレー中に何も考えていないということだ。
考えなければ、プレーはできないし選手の代わりに私がプレーを考えてやることもできない。
『疲れて頭が痛い』となれば少なくとも、その選手には考える頭があるという事だ」。



これを養豚農家バージョンにしてみると・・・

「真の養豚農家は『足が痛い』とは言わないものだ。
『頭が痛い』というのが本当の農家。
『頭痛がしない』農家は仕事中に何も考えていないということだ。
考えなければ、仕事はできないし農家の代わりに私が仕事を考えてやることもできない。
『疲れて頭が痛い』となれば少なくとも、その農家には考える頭があるという事だ」。



さて、私が今回お話ししたいのは、畜産業を安易に考えている人が多すぎるということです。



アメリカのサブプライムローン問題やリーマンブラザース破綻以降、対岸の火事と思われていたものが確実に日本にも飛び火。
そのころからうちの農場にも職安からの紹介状をもった求職者の方々がちらほらと増え始めました。



10月以降、5名もの方々を当農場で研修いたしましたが、残念ながら全員が辞めていかれました。



もちろん向こうにも言い分があるのかもしれませんが、私からすると、家畜を育てるということに対する考えが甘すぎるように思います。



今回の新人研修で感じたことは

「 豚のお世話 = 餌やり“だけ”やってればいい 」

つまり、餌さえ与えていれば豚が勝手に大きくなっていくとでも思っているかのような仕事しかできない人が多いという事実です。



だって、考えてみてください。
自分の子供を育てるのに、ご飯しか面倒をみない親がいますか?いるはずがありません。



家畜であろうと私たちと全く同じ生き物。
愛情込めて接することはもちろんのこと、私たちのように時には体調を崩してしまう事だってあります。



そのような時になんの対処もせず、餌箱に餌を投入しただけという仕事をするようでは、豚が可哀想だとは思いませんか?



豚のお世話は餌やりだけではなく、最も重要なことは「観察」なのです。
餌をやるという仕事1つにしても、

①前回の餌を残していないだろうか
②今回の餌の量はどうするべきだろうか
③前回にくらべて餌の食べ具合(がっつき具合)はどうか
④餌の品質はどうか
⑤餌を食べにこない豚(つまり元気がない豚)はいないだろうか

と、最低この5点は考え(観察し)ていただきたいものです。
そして①~③の場合は前回との比較をしなくてはならないため、特に「観察」が必要となります。



ということで皆さん。畜産農場へ就職しようと思っている場合は是非とも以上を踏まえたうえで、面接を受けに行ってください。
就職してから「こんな筈じゃなかった・・・」なんて悔やんでも、それは後の祭りですから・・・


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