マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『和算小説のたのしみ』(著:鳴海風 岩波科学ライブラリー)を読む

2012年04月28日 | 読書


 岩波書店が
「岩波科学ライブラリー」を創刊したのは今から19年前の1993年のことだったそうで、昨年の11月には150冊を刊行するまでに至っています。
 恥ずかしながら私はこのシリーズの存在を知りまんでしたが、その中の1冊「受験算数」を購入た際に、偶然その存在を知り、そのラインナップを眺めると、
例えば
「チンパンジーは何故エイズにならないか」・「はみだし幾何学」・「量子力学を見る」・「月下美人はなぜ夜咲くのか」・「愛は脳を活性化する」・「江戸の数学文化」など興味をソソラレル題名が並びます。要するに数学・天体・物理・植物・医学などの自然科学を中心とした、120ページ程度の読み物シリーズなのです。そこで、これはと思う数学関係を3冊読んでみました。「受験算数」以外には「オイラー、リーマン、ラマヌジャン」と「和算小説のたのしみ」です。
 
 「和算小説のたのしみ」の著者鳴海風の話は一度聞いたことがありました。確か「美しき魔方陣」出版を記念して、池袋「ジュンク堂」の喫茶室で開かれた小さな集いでした。そのとき、パソコンを持ち込みパソコンソフト「パワー・ポイント」を使ってのヴィジュアルで丁寧な説明が印象に残りました。和算家、すなわち江戸時代の数学家を主人公にした小説を数編創作していることもその時に知りました。

 江戸時代に独自の発達を遂げた日本の数学「和算」。いまこれを題材にした歴史・時代小説がブームです。和算の持つ数学的な専門性とパズル的遊戯性が共存し、和算家たちの意外な活躍が、一味違う楽しみを教えてくれるからでしょう。「天地明察」(著:冲方丁)もその範疇の一冊。

 「和算・・・」では29冊もの和算小説が紹介されていますが、その中で鳴海風の一押しが小野寺公二著「算額武士道」と遠藤寛子著「算法少女」です。「算法少女」は読んだ事がありました。更に続けて同じ遠藤著「きりしたん算用記」を絶賛していました。何故日本に和算が生まれたのか。和算のルーツは謎に包まれた部分ですが、鳴海は初期の和算家に対して宣教師がもたらした西洋数学の影響を大と考え、「きりしたん算用記」にそれに触れる部分がある事に驚きかつ称賛したのです。
 
 鳴海自身「円周率を計算した男」で第16回「歴史文学章」を受賞しています。「和算」、敬して遠ざかっていた世界ですが、「算学武士道」や「円周率を計算した男」を読んでみたくなる様な「和算小説の楽しみ」でした。

 


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