電脳筆写『 心超臨界 』

見事になされた仕事への報酬は
すでにそれを達成したことにある
( エマーソン )

週6日のうち5日間を米飯給食に切り替えました――大塚貢さん

2008-05-05 | 03-自己・信念・努力
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「致知」http://www.chichi.co.jp/ 2008年5月号 特集・工夫用力
教育現場の工夫用力「こどもたちを甦らせる」
●対談 上田市前教育委員長・大塚貢 & ジャーナリスト・ 櫻井よしこ


  [1] もはや非行ではなく立派な犯罪
  [2] 問題の根源は食にあった
  [3] 米飯給食の驚くべき効果
  [4] 安心安全な給食を食べさせるための工夫
  [5] 真田町の非行・犯罪がゼロになった理由
  [6] 子どもたちの学力向上の背景
  [7] 米飯給食導入のプロセスとは
  [8] 学校に潤いがあれば人を殺したりしない
  [9] 日本の社会の闇
  [10] 日本人よ 日本人になりなさい


[3] 米飯給食の驚くべき効果 (p25)

【櫻井】 家庭での反応がなかったために、先生は学校給食の改善に取り組まれたわけですか。

【大塚】 はい。なるべくお腹にたまる米飯に切り替え、野菜や魚を中心としたバランスのよい献立の給食にしようと考えました。

しかし、先生方からも親からも反対の嵐でしてね。

【櫻井】 先生たちはなぜ反対なのでしょうか。

【大塚】 結局、先生たちも揚げパンとかレーズンパンのような菓子パン、あるいはソフト麺とか中華麺が好きなんですね。そういうものは一つひとつが袋に入っていて、配膳も楽なのですね。米飯は一人ひとりのお弁当箱によそわなければいけないから、手間がかかるんですよ。「国際化社会の時代に米飯に偏るのはおかしい。国際食にすべきだ」とか、いろいろな理由をつけて反対されました。

【櫻井】 親御さんはどういう理由で反対したのですか。

【大塚】 子どもの好きなものを食べさせてほしいと。いまの親はそういう傾向が非常に強いですね。給食費を払っているのだから、子どもが好きな揚げパンやスパゲティを出してほしいと。

【櫻井】 先生も反対、子どもも反対、親も反対。そこで先生は栄養士の方を連れてきて、皆さんを納得させた経緯がありましたね。

【大塚】 はい。鰯(いわし)の甘露煮とか秋刀魚(さんま)の蒲(かば)焼きとか、非常においしくつくってくれましてね。根気強く試食会を重ねながら、「青魚には血液をきれいにするEPAやDHAが含まれています」と、いかに栄養的に優れているかを教え、まずは先生方を説得し、保護者を説得し、特別授業を設けて生徒たちにも教えていきました。

そうして赴任した翌年の平成5年からは、週6日のうち5日間を米飯給食に切り替えました。米飯もただの白米ではなく、血液をきれいにし、血管を柔らかくしてくれるGABA(ギャバ)が含まれる発芽玄米を10㌫以上加えたのです。

【櫻井】 生徒に変化が表れたのは、切り替えてどのくらいたってからでしたか。

【大塚】 7か月後あたりから学校全体が落ち着いてきましたね。

いまでもよく覚えているのですが、4月のPTA総会の前に私が1時間ばかり校舎のタバコの吸殻を拾って歩いたところ、スーパーの大きなビニール袋がいっぱいになったのです。それを総会で見せたところ、保護者たちから、「大塚校長が来てから風紀が乱れたんじゃないのか」と言われましたがね、米飯給食を始めてから7か月後には、吸殻が1本もなくなりました。

【櫻井】 それはすごいことですね。

【大塚】 1年半から2年がたつ頃には、非行・犯罪はゼロになり、同時に子どもたちの学習意欲も高まっていきました。

荒れていたときは図書館なんて誰も利用しませんでしたが、子どもたちが変わってきてからは、昼休みは図書館の120席がすぐに満席、座れない子は床に腰を下ろして読んでいるのですが、そこもいっぱいになると廊下にまであふれ出てくるような状態になりました。

もちろん、図書館司書が本に関するクイズを出したり、先生の読書感想文を校内放送で流したりと、様々な工夫をしましたが、やはり食によって子どもの心と体が変わってきたことが大きいと思います。

また、荒れていたときはなぜか年間の図書の紛失が480冊もあったのに、読むようになってからはゼロ冊です。

【櫻井】 本を読まない時は本がなくなるのに、本を読むようになって本がなくならなくなった。

【大塚】 はい。まったくの逆現象です。

そうして本を読むようになったせいか、読売新聞の全国作文コンクールで毎年1位か2位に入賞する生徒が出るようになりました。これは中学生の作文コンクールの中では最難関といわれ、表彰式に参加すると関係者の方々から「どういう指導をされているのか」と聞かれるそうなんです。でも私たちは生徒の作文を一字一字訂正せずに提出しているから、聞かれても困るんですね。担当の先生は「出席したくない」などと贅沢(ぜいたく)なことを申しておりました。

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