ゴキブリが光を嫌う習性に目を付けたハロイ博士は、ロボットを使って実験を行った。16匹のゴキブリのうち4匹をロボットにして観察した。ロボットはゴキブリたちと社会協調するように暗い巣で過ごしている。そこで、この4台のロボットのプログラムを、明るい巣を好むように書き換える。すると周囲のゴキブリたちも追随して、明るい巣へと移動した。同調である。 . . . 本文を読む
アメリカは原爆投下で戦後の東西対立へ先手を打った。そして敗戦国日本はその東西対立の西側に属し、原爆を投下した当のアメリカの核の傘に庇護(ひご)されてきた。私たちは意識の表層で原爆は許せないと思っていても、アメリカの庇護で可能になった繁栄の中に暮らしている以上、事実上〈原爆はしょうがなかった〉と思っていると言われても、反論できない立場にある。 . . . 本文を読む
計画では、駐機場に積もった雪をビル近くのアスファルト舗装された土地に運び、雪山にして、雨や太陽の熱を遮断するシートで覆う。夏場には解けた冷水をパイプなどで機械室まで送り、ビル内を循環している冷房用の液体を冷やす仕組み。 . . . 本文を読む
草花の植えられた茅葺き屋根の頂部のことを芝棟(しばむね)といい、今や忘れられた民家の伝統技法にほかならない。茅葺き屋根のてっぺんに、一列に花が咲いているのだ。かつては雪国をのぞく東日本の全域に広がっていて、それが当たり前だった。 . . . 本文を読む
事業を営むのはそれを通じて我々の身の回りや社会に何かプラスの変化を呼び込むため。事業で利益を出すのはそれを使って何か社会に貢献するため。利益を増やすのはその何かを広く深くするためです。 . . . 本文を読む
ここにメイボとベソという母ザルがいる。メイボはベッピンで、ベソはシコメの女ザルである。シコメのベソは、信望のあるメス頭である。子育てが厳しく、躾が上手で、彼女の生んだ息子ザルは、ボスザルとそれを補佐する幹部ザルになっている。 ベッピンのメイボは、子育てが不得手で、躾が甘い。 息子ザルは申し合わせたように集団を乱す無頼ザルとなっている。 . . . 本文を読む
iPS細胞は皮膚など患者の体細胞から作製することが可能。受精卵などを使わないので研究者の間ではES細胞などよりも倫理上のハードルが低いと考えられている。だが、作製方法などを改良し安全性の向上やコスト低減に努める必要があるほか、乱用を防ぐ研究ルールの整備など、実用化までには克服すべき課題が多い。 . . . 本文を読む
韓国のテグ大学のキム博士は、記憶を想起するときの脳の活動を計画している。同じように自信をもって答えたにもかかわらず、正しく答えたときには海馬が、間違えて答えたときには前頭頭頂葉が活動した。裏を返せば、本人がいかに「正しい」と確信していようと、脳を覗(のぞ)けばニセ記憶かどうかが判別できるわけだ。 . . . 本文を読む
成人の皮膚細胞に四種類の遺伝子を組み込み、約1カ月培養するとiPS細胞ができた。その後、神経や筋肉、肝臓など約十種類の細胞に成長。パーキンソン病や糖尿病など様々な病気の治療に役立つ移植用組織を作り出せる可能性がある。 . . . 本文を読む
「赤のイコン」を見たとき、「普通の画家とは色の質が違う」と感じた。黒の部分に異様といえるほどのつやがあったのだ。修復のために溶剤でテストすると、その黒は普通の画家が使わない人工漆の一種、カシュウであることが分かった。 . . . 本文を読む
エデンの園を出た人間の社会は、数千年の時の流れを経て膨大な資産を蓄積した。多くの資産は個人の私有財産だが、社会全体として次の世代に遺す資産もある。例えば自然環境。これが社会全体によってまもられるべき資産であることは、地球温暖化の一事によって明らかである。 . . . 本文を読む
ニューヨーク大学のフェルプ博士は、脳の楽天癖について研究している。彼は人が将来のイベントを想像するとき、ポジティブなことは近い未来に、ネガティブなことは遠い未来にイメージする傾向があることを発見した。 . . . 本文を読む
明治神宮の森の植栽計画には、極めて明確なビジョンがあった。まず神社の景観に適したアカマツ、クロマツが植えられ、その間に成長の早いヒノキなどの針葉樹、更に将来の主木となるカシ、シイなどの常緑広葉樹が植えられた。これによって森の主木はマツからヒノキへと変化し、100年後にはカシ、シイなどの常緑広葉樹が優位にたつことになる。 . . . 本文を読む
杉は、桧(ひのき)とならんで日本を代表する建築用針葉樹として知られる。目が通っていて柔らかく、まことに使いやすい。木材界の優等生。一方、栗は、やや固く、曲がり、節も多いが、木目に味があり、腐りにくい。木材界の野生児。 . . . 本文を読む
佐伯にとって白亜が重要だったのは、絵の具の乾燥を促す性質を持っていることにもあったのではないか。時間を空けずに重ね塗りができ、一気に描き上げるのにふさわしい材料だった。しかし私には、そんな佐伯が人生の歩みをも急ぎすぎたように思えてならない。 . . . 本文を読む