【 このブログはメルマガ「こころは超臨界」の資料編として機能しています 】
「致知」http://www.chichi.co.jp/ 2008年5月号 特集・工夫用力
教育現場の工夫用力「こどもたちを甦らせる」
●対談 上田市前教育委員長・大塚貢 & ジャーナリスト・ 櫻井よしこ
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教育現場の工夫用力「こどもたちを甦らせる」
●対談 上田市前教育委員長・大塚貢 & ジャーナリスト・ 櫻井よしこ
[1] もはや非行ではなく立派な犯罪
[2] 問題の根源は食にあった
[3] 米飯給食の驚くべき効果
[4] 安心安全な給食を食べさせるための工夫
[5] 真田町の非行・犯罪がゼロになった理由
[6] 子どもたちの学力向上の背景
[7] 米飯給食導入のプロセスとは
[8] 学校に潤いがあれば人を殺したりしない
[9] 日本の社会の闇
[10] 日本人よ 日本人になりなさい
[8] 学校に潤いがあれば人を殺したりしない (p30)
【櫻井】 先生の教育改革のもう一つの柱は、お花づくりですね。
【大塚】 先ほども申し上げましたが、私はこれまで在校生や卒業生が凶悪犯罪を起こした学校を、一定の期間をおいて2~3度ずつ訪ねてきました。1度では見えてこないことが3度足を運ぶうちに見えてくることがあるからです。
どの学校にも共通して言えることが一つあります。それは花が一輪も咲いていないということ。つまり、潤いのない、殺伐とした環境だということです。
先ほども例に出した酒鬼薔薇聖斗を名乗る少年が通った神戸の友が丘中学校は、神戸でも高級住宅地にある中学校ですが、校門から見えるプランターの花はすべて枯れていました。植木鉢は前年から放置されているのか、枯れた植物の間から雑草が伸びているのです。
次は奈良の東大寺学園。確かに整備された立派な学園なのですが、学校というよりは、むしろ企業の工場みたいでした。
ほかにも、先ほども事例に出した会津若松の金山中学校は廃校のような雰囲気で、グラウンドには草がボウボウ。小学校6年生の女児がクラスメートに殺害された佐世保の大久保小学校は、6月に訪ねても花一輪見当たりませんでした。板橋区や京都や長野……、あらゆる学校を回りましたが、どこも「潤い」と呼べるものがないのです。
確かに家庭にも問題があったかもしれません。しかし学校が楽しくて、潤いがあって、心が癒やされる場所であれば人を殺したりはしないと思うのです。
【櫻井】 いまいろいろな角度から評論家や大学教授が教育問題を論じていますが、大塚先生のような視点で見ている人はいませんね。
先生はいつ頃から花づくりを通した心の教育をされてきたのですか。
【大塚】 まだ一教師の時代からです。生徒と草だらけの校地を耕し、土づくりをし、堆肥(たいひ)づくりをしました。当然生徒も嫌がり、親からの反対も出たのですが、芽が出て花が咲いたら子どもは変わります。「水をあげなさい」と言わなくてもあげるようになります。
学校が荒れている時は「花を大事にしろ」「花にも命がある」なんて言っても生徒は聞く耳を持ちません。花壇にボールが飛び込んだら、踏み込んで行って苗を傷めても全然平気なのです。
私は会議や出張で遅くなっても、毎晩のように車のライトで照らし、黙って30~80本を植え替えておきました。そうして春から夏にかけて花が咲くと、子どもの心が開いて、ボールが花壇に入ることすらなくなりました。
【櫻井】 花を愛(め)でる心が育つのでしょう。
【大塚】 ただ、これも土からつくらなければダメなんです。業者に頼んだり、苗を買ってきて植え替えるだけでは、確かに花は咲きますが、本当の意味で命あるものを大事にする心は育たないのです。
教育長時代は親や町民たちから、「教育長は子どもたちに何をさせるんですか」とずいぶん批判されたし、現場の校長や教頭からは「花づくりする場所もないし、時間もありません」と反対されました。
学校は塾と違って勉強だけじゃなく、心の教育も重要です。長年の教師生活で心の教育には花づくりが最も効果がありました。場所がない、時間がないというのは、教師にやる気がないからです。
【櫻井】 工夫すればいくらでもできることですものね。
【大塚】 子どもたちは命あるものを育てる経験を通し、命の尊さや美しいものの素晴らしさを分かっていくのです。
昨年の秋の日曜日に、真田町の小学校に足を運んだところ、子どもたちが菊についたアブラムシを楊枝(ようじ)を使って、花弁の下にティッシュペーパーを置いて取っていました。なぜスプレーの殺虫剤は使わないのかと尋ねると、「そんなことをしたら花が傷んじゃいます」と。そういう子どもたちが人を殺したりしますか?
土からの花づくりは、間違いなく犯罪非行ゼロの原動力になっていると思っています。
【 これらの記事を発想の起点にしてメルマガを発行しています 】
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教育現場の工夫用力「こどもたちを甦らせる」
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教育現場の工夫用力「こどもたちを甦らせる」
●対談 上田市前教育委員長・大塚貢 & ジャーナリスト・ 櫻井よしこ
[1] もはや非行ではなく立派な犯罪
[2] 問題の根源は食にあった
[3] 米飯給食の驚くべき効果
[4] 安心安全な給食を食べさせるための工夫
[5] 真田町の非行・犯罪がゼロになった理由
[6] 子どもたちの学力向上の背景
[7] 米飯給食導入のプロセスとは
[8] 学校に潤いがあれば人を殺したりしない
[9] 日本の社会の闇
[10] 日本人よ 日本人になりなさい
[8] 学校に潤いがあれば人を殺したりしない (p30)
【櫻井】 先生の教育改革のもう一つの柱は、お花づくりですね。
【大塚】 先ほども申し上げましたが、私はこれまで在校生や卒業生が凶悪犯罪を起こした学校を、一定の期間をおいて2~3度ずつ訪ねてきました。1度では見えてこないことが3度足を運ぶうちに見えてくることがあるからです。
どの学校にも共通して言えることが一つあります。それは花が一輪も咲いていないということ。つまり、潤いのない、殺伐とした環境だということです。
先ほども例に出した酒鬼薔薇聖斗を名乗る少年が通った神戸の友が丘中学校は、神戸でも高級住宅地にある中学校ですが、校門から見えるプランターの花はすべて枯れていました。植木鉢は前年から放置されているのか、枯れた植物の間から雑草が伸びているのです。
次は奈良の東大寺学園。確かに整備された立派な学園なのですが、学校というよりは、むしろ企業の工場みたいでした。
ほかにも、先ほども事例に出した会津若松の金山中学校は廃校のような雰囲気で、グラウンドには草がボウボウ。小学校6年生の女児がクラスメートに殺害された佐世保の大久保小学校は、6月に訪ねても花一輪見当たりませんでした。板橋区や京都や長野……、あらゆる学校を回りましたが、どこも「潤い」と呼べるものがないのです。
確かに家庭にも問題があったかもしれません。しかし学校が楽しくて、潤いがあって、心が癒やされる場所であれば人を殺したりはしないと思うのです。
【櫻井】 いまいろいろな角度から評論家や大学教授が教育問題を論じていますが、大塚先生のような視点で見ている人はいませんね。
先生はいつ頃から花づくりを通した心の教育をされてきたのですか。
【大塚】 まだ一教師の時代からです。生徒と草だらけの校地を耕し、土づくりをし、堆肥(たいひ)づくりをしました。当然生徒も嫌がり、親からの反対も出たのですが、芽が出て花が咲いたら子どもは変わります。「水をあげなさい」と言わなくてもあげるようになります。
学校が荒れている時は「花を大事にしろ」「花にも命がある」なんて言っても生徒は聞く耳を持ちません。花壇にボールが飛び込んだら、踏み込んで行って苗を傷めても全然平気なのです。
私は会議や出張で遅くなっても、毎晩のように車のライトで照らし、黙って30~80本を植え替えておきました。そうして春から夏にかけて花が咲くと、子どもの心が開いて、ボールが花壇に入ることすらなくなりました。
【櫻井】 花を愛(め)でる心が育つのでしょう。
【大塚】 ただ、これも土からつくらなければダメなんです。業者に頼んだり、苗を買ってきて植え替えるだけでは、確かに花は咲きますが、本当の意味で命あるものを大事にする心は育たないのです。
教育長時代は親や町民たちから、「教育長は子どもたちに何をさせるんですか」とずいぶん批判されたし、現場の校長や教頭からは「花づくりする場所もないし、時間もありません」と反対されました。
学校は塾と違って勉強だけじゃなく、心の教育も重要です。長年の教師生活で心の教育には花づくりが最も効果がありました。場所がない、時間がないというのは、教師にやる気がないからです。
【櫻井】 工夫すればいくらでもできることですものね。
【大塚】 子どもたちは命あるものを育てる経験を通し、命の尊さや美しいものの素晴らしさを分かっていくのです。
昨年の秋の日曜日に、真田町の小学校に足を運んだところ、子どもたちが菊についたアブラムシを楊枝(ようじ)を使って、花弁の下にティッシュペーパーを置いて取っていました。なぜスプレーの殺虫剤は使わないのかと尋ねると、「そんなことをしたら花が傷んじゃいます」と。そういう子どもたちが人を殺したりしますか?
土からの花づくりは、間違いなく犯罪非行ゼロの原動力になっていると思っています。
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