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「致知」http://www.chichi.co.jp/ 2008年5月号 特集・工夫用力
教育現場の工夫用力「こどもたちを甦らせる」
●対談 上田市前教育委員長・大塚貢 & ジャーナリスト・ 櫻井よしこ
[1] もはや非行ではなく立派な犯罪
[2] 問題の根源は食にあった
[3] 米飯給食の驚くべき効果
[4] 安心安全な給食を食べさせるための工夫
[5] 真田町の非行・犯罪がゼロになった理由
[6] 子どもたちの学力向上の背景
[7] 米飯給食導入のプロセスとは
[8] 学校に潤いがあれば人を殺したりしない
[9] 日本の社会の闇
[10] 日本人よ 日本人になりなさい
[7] 米飯給食導入のプロセスとは (p29)
【櫻井】 犯罪が減って学力も上がる。これだけの結果が出ていますし、全国でも食育がクローズアップされてきていますから、真田町の教育改革の実践をもっと全国に広めていきたいですよね。
【大塚】そう思うでしょう。しかし、いまこれだけ食育が大事だといわれて食育基本法ができても、そんなことは現場では関係ないのです。
こういう例があります。真田町の栄養士が他の市の規模の大きい学校に転任したのですが、生徒の問題も生じているようです。給食の献立を見たら、やはりカルシウムやミネラル、亜鉛が含まれていないことに気づいて、真田町のような魚や野菜中心の米飯給食に切り替えたんです。
そうしたら先生たちから「こんなまずいもの」と不平不満が出ました。当然、こどもたちも好きな献立が出ないから反対。子どもが「まずい」と言うから、親たちも反対。完全に四面楚歌(そか)状態で、精神的に少し参っているようです。
だからいまこれだけ食育が叫ばれていても現実はその程度です。食べ物の嗜好(しこう)というのは、いったん味わってしまうとそれを変えていくことは非常に困難なんですね。
【櫻井】 アメリカに、3歳までにファーストフードの味を覚えると、その人は一生ファストフードから離れられないという研究結果があるそうです。だから小さい時にいかにきちんとした食事をさせるかにかかっているんですね。
しかし真田町では反対があっても米飯給食を導入することができて、成果も出ている。それなのに他の市の学校で導入できないのはなぜでしょう。
【大塚】 転任された栄養士さんは、真田町で米飯給食の効果が出始め、軌道に乗った時にいらした方でした。だから導入の時の苦労がよく分からなかったと思います。実際においしい試食をつくり、先生やお母さん方に栄養素を説明し、納得していただいた上で進めていくという過程がやや不足していたのかもしれません。
【櫻井】 導入のプロセスが大事だということですね。
【大塚】 はい。それが一番の原点ではないかと思います。
滋賀県に、真田町のように食の改善をしなければいけないと米飯給食への改善に立ち上がった市民団体がありました。偉いと思ったのは、給食センターの所長も一緒に立ち上がって、最終的には市長を動かして市の給食を米飯に切り替えたんです。
ところが実施してみたら、案の定先生や子ども、親の反対が多く、毎日大変な量の残飯が出て、その処理代がものすごくかかってしまうと。市長には先生方から「このまずい給食はなんだ」と直訴がいくというので、市民団体の方が困ってしまって、頼まれて指導に行ったことがありました。
行ってみて「これは……」と思ったのは、まず、確かに米飯給食なのですが、献立は肉が中心なんですよね。これじゃ成果は上がりません。
【櫻井】 なるほど、ただ米飯に切り替えればいいのではないのだと。米飯にあったお野菜やお魚の献立が大事なんですね。
【大塚】 はい。それから、先生たちの理解を得る手立てをしていないんですね。先生が口をつけないで捨ててしまうから子どもも真似(まね)して捨てるのです。市長を動かしてトップダウンで替えるだけではなく、原点に返って、先生たちの理解を得て、親たちの理解を得たほうがいいと申し上げました。
そしてもう一つは、地場産の低農薬の食材を使ったほうがいいとアドバイスをしました。つくる人が分かっているほうが食材は安全です。せっかく琵琶(びわ)湖があるんだから、その魚を給食で使ったらどうかと提案したら早速取り入れてくれて、地元の水産業の方が大変喜んでいるそうです。
学校給食に地場の食材を用いることで休耕田が甦って、地元の農家の人たちが大喜びです。
そうやって、滋賀のほうでも原点に戻って押さえるべき点をきっちり押さえたら、先生方も理解してくれて、残飯はほとんどなくなったといいます。
【 これらの記事を発想の起点にしてメルマガを発行しています 】
「致知」http://www.chichi.co.jp/ 2008年5月号 特集・工夫用力
教育現場の工夫用力「こどもたちを甦らせる」
●対談 上田市前教育委員長・大塚貢 & ジャーナリスト・ 櫻井よしこ
[1] もはや非行ではなく立派な犯罪
[2] 問題の根源は食にあった
[3] 米飯給食の驚くべき効果
[4] 安心安全な給食を食べさせるための工夫
[5] 真田町の非行・犯罪がゼロになった理由
[6] 子どもたちの学力向上の背景
[7] 米飯給食導入のプロセスとは
[8] 学校に潤いがあれば人を殺したりしない
[9] 日本の社会の闇
[10] 日本人よ 日本人になりなさい
[7] 米飯給食導入のプロセスとは (p29)
【櫻井】 犯罪が減って学力も上がる。これだけの結果が出ていますし、全国でも食育がクローズアップされてきていますから、真田町の教育改革の実践をもっと全国に広めていきたいですよね。
【大塚】そう思うでしょう。しかし、いまこれだけ食育が大事だといわれて食育基本法ができても、そんなことは現場では関係ないのです。
こういう例があります。真田町の栄養士が他の市の規模の大きい学校に転任したのですが、生徒の問題も生じているようです。給食の献立を見たら、やはりカルシウムやミネラル、亜鉛が含まれていないことに気づいて、真田町のような魚や野菜中心の米飯給食に切り替えたんです。
そうしたら先生たちから「こんなまずいもの」と不平不満が出ました。当然、こどもたちも好きな献立が出ないから反対。子どもが「まずい」と言うから、親たちも反対。完全に四面楚歌(そか)状態で、精神的に少し参っているようです。
だからいまこれだけ食育が叫ばれていても現実はその程度です。食べ物の嗜好(しこう)というのは、いったん味わってしまうとそれを変えていくことは非常に困難なんですね。
【櫻井】 アメリカに、3歳までにファーストフードの味を覚えると、その人は一生ファストフードから離れられないという研究結果があるそうです。だから小さい時にいかにきちんとした食事をさせるかにかかっているんですね。
しかし真田町では反対があっても米飯給食を導入することができて、成果も出ている。それなのに他の市の学校で導入できないのはなぜでしょう。
【大塚】 転任された栄養士さんは、真田町で米飯給食の効果が出始め、軌道に乗った時にいらした方でした。だから導入の時の苦労がよく分からなかったと思います。実際においしい試食をつくり、先生やお母さん方に栄養素を説明し、納得していただいた上で進めていくという過程がやや不足していたのかもしれません。
【櫻井】 導入のプロセスが大事だということですね。
【大塚】 はい。それが一番の原点ではないかと思います。
滋賀県に、真田町のように食の改善をしなければいけないと米飯給食への改善に立ち上がった市民団体がありました。偉いと思ったのは、給食センターの所長も一緒に立ち上がって、最終的には市長を動かして市の給食を米飯に切り替えたんです。
ところが実施してみたら、案の定先生や子ども、親の反対が多く、毎日大変な量の残飯が出て、その処理代がものすごくかかってしまうと。市長には先生方から「このまずい給食はなんだ」と直訴がいくというので、市民団体の方が困ってしまって、頼まれて指導に行ったことがありました。
行ってみて「これは……」と思ったのは、まず、確かに米飯給食なのですが、献立は肉が中心なんですよね。これじゃ成果は上がりません。
【櫻井】 なるほど、ただ米飯に切り替えればいいのではないのだと。米飯にあったお野菜やお魚の献立が大事なんですね。
【大塚】 はい。それから、先生たちの理解を得る手立てをしていないんですね。先生が口をつけないで捨ててしまうから子どもも真似(まね)して捨てるのです。市長を動かしてトップダウンで替えるだけではなく、原点に返って、先生たちの理解を得て、親たちの理解を得たほうがいいと申し上げました。
そしてもう一つは、地場産の低農薬の食材を使ったほうがいいとアドバイスをしました。つくる人が分かっているほうが食材は安全です。せっかく琵琶(びわ)湖があるんだから、その魚を給食で使ったらどうかと提案したら早速取り入れてくれて、地元の水産業の方が大変喜んでいるそうです。
学校給食に地場の食材を用いることで休耕田が甦って、地元の農家の人たちが大喜びです。
そうやって、滋賀のほうでも原点に戻って押さえるべき点をきっちり押さえたら、先生方も理解してくれて、残飯はほとんどなくなったといいます。
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