11月3日に大統領選を予定する米国で、共産党一党独裁の中国の挑戦を退けるため民主主義国の結束を求める機運が党派を超えて高まっている。米中の覇権争いは、政治体制の違いで敵と味方を峻別(しゅんべつ)し、世界を二分する「新冷戦」へと進むのか。 . . . 本文を読む
元来日本人が神の加護を祈願するといふ心は、商賈(しょうこ)が福禄を祈るの類とは全く違つたもので、むしろ努力の誓ひであり、己が念願への熱意のほどを神々も照覧あれと祈るのである。戦士が国家の守護神に加護を祈る心機も、国土国民の安寧のために、己の一身を捧(ささ)げて力を尽す事の誓約である。 . . . 本文を読む
新型コロナウイルスの世界的大流行「パンデミック」を機に、変化し始めていた世界秩序は今、劇的な転換のプロセスに入った。歴史はまさに21世紀最大の危機を迎えようとしている。より正確に言えば、2020年という年は、すでに何年も前から始まっていた世界秩序の大変動の流れをコロナ禍によって一気に加速し、奔流となって滝壺(たきつぼ)に向かおうとするリスクを浮上させているのである。 . . . 本文を読む
日本政府の対応には極めて疑問な点がある。最初の往来の対象になぜ台湾を含めないのか。台湾は中国の隣に位置するにもかかわらず、迅速に新型ウイルスを封じ込めた。世界の模範といっていい。日本政府は5月世界保健機関(WHO)の総会で台湾の対応を高く評価していた。台湾を対象にしなかったのは中国の反発を恐れたからだろう。忖度(そんたく)もいいかげんにしてほしい。感染状況が落ち着いている台湾との往来再開へ動くべきだ。 . . . 本文を読む
イニシャルで「YA」を名乗る英語論文の執筆者は、いったい何者なのか。日米関係に関心を持つ人々の間で、2カ月も前に米外交誌『アメリカン・インタレスト』に掲載された匿名論文が注目を集めている。同誌が執筆者を日本政府当局者であると明示し、論文の表題が「対中対決戦略の効用」と明快だからか。 . . . 本文を読む
中国による対台湾工作は近年、多様化している。十数年前までは、軍事、産業、情報の窃取などが中心だった。しかし、いまは多くの政治、メディア、宗教関係者を懐柔し、学生組織、芸術関連団体などにも浸透している。巨額な資金を投入し選挙に影響を与えようとするほか、機密情報を入手する手口も巧妙になった。5月20日に発足した2期目の蔡英文政権は、「台湾の安全を守る」を合言葉に中国による浸透工作への取り締まりを強化している。 . . . 本文を読む
金正恩朝鮮労働党委員長主演、文在寅韓国大統領助演の詐欺ショーが幕を下ろそうとしている。舞台セットの一つであった開城工業団地内の南北共同連絡事務所を北朝鮮が爆破したからだ。2年余り南北が演じた壮大なショーを見ながら国際社会は改めて一つの真実に気付いたのではないか。「金氏政権」の本質は朝鮮戦争勃発から70年たっても何一つ変わらないということだ。 . . . 本文を読む
日米が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」構想の具体化に資する意義は大きく、歓迎したい。地域の主要国であるオーストラリアとインドが安全保障面の協力強化で合意した一件だ。モリソン豪首相とモディ印首相がテレビ会議形式で会談し、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)の実施などを決めた。 . . . 本文を読む
生物のテーマは、「生存」と「繁殖」である。生き延びること、そして自分の遺伝子のコピーを増やすこと。前者は当然のことだが、後者については少し説明が必要だ。自分の遺伝子のコピーを増やすというのは、自分の子をつくることを意味するだけではない。血縁者を介して自分の遺伝子を残すことも含んでいる。だから、自身に子がないこと=繁殖していない、ではないのだ。 . . . 本文を読む
中学1年生レベルの英語でアメリカの要人と会い、「ハーバードを首席で卒業しました」と語ったなら、相手はどう思うであろう。ましてや、それが国会議員、大臣、とりわけ安全保障を司る日本の防衛大臣であったなら。日本と言う国は、どうみられるのか。 . . . 本文を読む
今月初旬から、中国で「露店経済」という言葉が突如脚光を浴び、最もホットな話題となった。発端は先月28日、全人代閉幕後の記者会見での李克強首相発言である。中国の就業(雇用)問題に言及した際、李首相は某西部都市を実例に上げ、「この都市で3.6万軒の露店を設置した結果、一夜にして10万人の雇用を作り出した」と語った。 . . . 本文を読む
ミサイル防衛という、相手の攻撃を払いのける「拒否的抑止力」は必要だがそれだけでは国民を守れない点を忘れたくない。対日攻撃を独裁者にためらわせる「懲罰的・報復的抑止力」はコストに見合う防衛力の一種だ。その保有のため防衛大綱を改定し、侵略国のミサイル発射基地・装置を叩(たた)く敵基地攻撃(反撃)能力の本格的整備に乗り出すときである。 . . . 本文を読む
米国政府は中国の国内、対外のあらゆる分野での国際的な規範や民主主義の原則に違反する言動に対決して抑止すると誓約しているのだ。その基盤にはトランプ政権の史上最大規模の軍事力増強による「力の平和」の態勢が誇示されていた。トランプ政権はしかも日本など同盟諸国と団結しての中国への対決を再三、強調していた。その姿勢には日本が米中両国のどちらにつくかを迷うという懐疑は皆無だといえそうだ。 . . . 本文を読む