イエメンのシーア派武装組織「フーシ」派が、同国三番目の都市、タイズの国際空港を占拠、支配下に置いたという。7か月前、「フーシ」派のクーデターによって首都サヌアを追われたハディ大統領は現在、南部の港湾都市アデンに暫定的に居住しているが、タイズは、そのアデンから150キロの地点にある。現地からの報道だと、アデンの大統領暫定住居もすでに銃爆撃を受け、まさに内戦状態だ。
53年前の1962年11月、僕はイエメン王国が崩壊したクーデター取材のため当時英国保護領だったアデンから空路サヌアへ向かったが、情勢が悪化し、途中のタイズ空港で降ろされてしまった。このため、アデンに陸路引き返さざるをえなかった。上の写真はその時のものである。道らしい道はなく、乾燥したワデイ(川床)の上で、車は何回もエンコした。
国連の潘基文総長は”我々の目の前でイエメンは崩壊している”と他人事のように言っているが、国際社会が支持しているハディ政権は崩壊寸前の危機にある。首都サヌアでは「フーシ派」への反撃なのだろうか、スンニ派を自称する「イスラム国」(IS)がシーア派のもモスクを爆発140人もの死者がでている。宗派と部族対立とが二重にも三重にもからみ、ぼくら異教徒に理解できない。国際社会はハディ政権をいつまでも支持できるのであろうか。
ご説の通り、国家という意識以前の集団です。北アフリカにはBerberu人がいます。Bereuberuは野蛮人(Barbarian)の語源だとされていますが、イエメンを見るとまさにそんな感じです。アデンが英国領だった時は、ハワイを思い出させるような風景もあり、治安もよかったのですが、怒られるかもしれませんが、旧植民地の中には”独立”以前の国もあります。
いずれにせよ、紛争の火薬庫である中東には、日本はできる限り、非介入政策が望ましいと思います。そのためには、輸入量の9割に及ぶ中東からの石油・天然ガスを減らすようなエネルギー政策への転換が最重要です。豪州・インドネシアからの石炭(電力単価が現状の半額の10円/kwh低廉な火力発電)、ならびに、原子力発電との比率を増やし、北米からのシェール天然ガス・シェール原油輸入も増やす必要があります。中東地域での突発的な紛争介入に日本が至らないようなエネルギー政策へと転換することが、憲法9条だの集団的自衛権の論議よりも、日本の平和を守る上で、実効性が高いと思います。
かっての宗主国でさえ手を焼いています。代って出て行ったアメリカも、ご存知の状態です。複雑怪奇な(異教徒からみれば)宗教で、常識では理解できません。ご説のとおり、中東からの化石燃料依存からは脱却を図るべきでしょう。サスティナブルなエネルギー開発が必要ですね。