「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

           「明治節」も遠くなりにlけり

2011-11-03 06:32:34 | Weblog
今日は「文化の日」である。といっても僕ら昭和1ケタ以上の世代にとっては「明治節」のほうがピタリとくる。昭和の御世になって明治天皇の遺徳を讃え、誕生日の11月3日を祝日に制定したものだ。「明治節」は「新年」(1月1日)「紀元節」(2月11日)天長節(4月29日)とならんで「四大節」(四大祝日)の一つで、この日は学校の授業はなく、式典があって祝日を祝った。

「明治節」では「君が代」とともに「明治節の歌」を合唱した。
     ♯ 「明治節の歌」(作詞 堀沢周安 作曲 杉江秀 昭和3年)
     亜細亜の光 日出づるところ  聖の君の現れまして
     古き天地閉ざせる霧を  大御光は隈なく払い
     教えあまねく道明らけく 治めたまへる御世尊し

僕はこの歌詞の三番が好きだ。”秋の空澄み菊の香高き、今日のよき日を皆ことほぎて”の歌詞である。戦前の東京の「明治節」の頃の季節がよみがえってくる。東京の空は、あくまで天高く雲ひとつなかった。そしてどこの街角からも、丹精して育てている菊の香がただよっていた気がする。

”降る雪や明治は遠くなりにけり”-この句は作者の中村草田男が明治の御世が終わって20年ぐらい経った頃、東京の母校の小学校を訪れた感慨を詠んだものだが、平成も23年もすぎた。僕らが「明治節」の歌を歌い、紅白のお祝いの饅頭を貰って嬉々としていた、あの昭和の御世も遠く感じるようになってきた。当然である。73歳以下の日本人は学校でこの歌を歌ったことはないのだ。