新築された歌舞伎座
所在地:中央区銀座4-12 Google Map
Photo 2013.7.2
東南側部分など、増築されたりしていた部分には若干異なる箇所もあるが、新装の歌舞伎座はほぼ昔と似た外観になった。
個人的には戦前の大屋根があった頃の歌舞伎座が立派だったので、ああなると良いのにと思っていたが、超高層ビル併設となるとそれはやや無理なことだったのかもしれない。ともあれ、現代的に、かつ歴史性も尊重して建て替えが行われたようなのにはホッとする。
屋上庭園 Photo 2013.7.2
訪れた時は公演はお休みで劇場には入れなかったが、昭和通り側からビルに入って、屋上庭園に行けるようになっていた。エレベーターで5階に上がると、カフェ?があり、その前が屋上庭園になっている。
大きくはないが、訪れた人が歩いてみようと思うようにうまくデザインされている。実際に歩いてみるとどうってことない小さな庭園なんだけど、単なる屋上になっているよりは遙かにマシで、よく手入れされている。
屋上庭園階から下る五右衛門階段 Photo 2013.7.2
なんだか思いがけず楽しめる空間だった。鈍い銀色に光る瓦屋根が入り組んだわきを、赤と白のコントラストが際立つ階段が下っていく。表通りからは見えない位置に遊び心のある空間が造られている。伝統的な寺社などを想起させる赤だが、ここでは金属製。
階段わきの瓦屋根の先端部の丸瓦には一つ一つ鳳凰の絵柄が描かれている。なんでも、その内の一つだけは鳳凰の向きが違っているそうで、それを見つけられると幸運になるとかならないとか。
階段の写真を撮ろうとして佇んでいたら、おばちゃん二人連れがわいわいそんな話をしながら階段を下りてきて、件の瓦を発見して、あったあったと大騒ぎ。そして携帯で一生懸命その瓦の写真を何枚も撮り、なぜかそのままそこに佇み、その瓦をためつすがめつひとしきり味わっていた。
そしてようやくこのおばちゃん達が立ち去った直後に、今度は中年カップルが、同じように一つだけ鳳凰の向きが違うという話をしながらやって来たのだが、こちらはその瓦を発見した後、「だからなんなんだ、っていう話だな。」と言いながら、エレベーターの方へ向かっていった。
せっかく、建築家が遊び心を込めて造ったのに、「だからなんなんだ」はないよな、とも思えるが、所詮、遊び心、ないしは完璧でない方がいいという思いから始まっているものだろうから、それを大袈裟にさも有り難がっていじくり回すのもどうかと思う。あくまで建築に関心を持って貰うためのネタであって、そのネタだけが建物の感想というか記憶になるのはかなりの違和感がある。そういうネタに対しては「だからなんなんだ」「so what ?」「それで?」という姿勢の方が、普通ではないだろうか。
むしろ、小さいながらも屋上庭園を造り、そこに面した喫茶室を設え、階下の展示空間へ誘う階段を上手くこしらえ、瓦の小ネタも挟みつつ、劇場とは別に流れるような展示空間を構成していることの方が、価値あることのような気がする。というわけで、後からさらっと通り過ぎた中年カップルの方が大人だなと感じた次第。
地階 Photo 2013.7.2
日比谷線東銀座駅直結の地階にはお土産物屋などが並んでいる。以前の歌舞伎座は地下鉄ができるより前に造られたものなので、このような空間は無かったが、考えてみればこれだけの施設なのだから、こういうアプローチがあるのも当然。ただし、利便性だけを考えて、建物の外観を見ずにいつも地下からアクセスするのは体験としてはもったいない。
Tokyo Lost Architecture > 歌舞伎座
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