本日(4月18日)、大阪府教育委員会会議を傍聴しました。すでにご存じのように安倍政権によって今国会で教育委員会制度が改悪されようとしています。その先兵となったのは、橋下維新府市政治による教育改革です。
かつて政治学者山口二郎が、橋下府知事誕生の折、「大阪が新自由主義の実験場にされようとしている」と、講演で述べていましたが、まさにその通りになったわけです。この実験により、大阪では様々な被害が表れているのですが、そのことを無視して、安倍政権は改革を進めようとしています。
しかし、ここで私たちが考えなければならないのは、そもそも教育委員会制度は何のためにあるか、ということです。それは言うまでもなく、政治の影響を排して地域住民の教育の権利を保障するための機関であるはずです。
大津イジメ事件を契機として、教育委員会が機能していないと言われて来ましたが。それ以前に、教育委員会を私たちはもっと知るべきなのではないでしょうか。
本日の教育委員会会議は、制度上の問題点が如実に表れていました。端的に言えば、府民すなわち地域住民の声が反映しないシステムであることです。私たちが考えなければならないのは、地域住民の教育への権利が実現する制度です。それは政治によって選ばれた首長の権限を強化することとは真逆の地域住民の溢れるほどの多くの声のなかから政策を掬い取っていく行政です。
本日の議題「平成26年度大阪府教育委員会の運営方針について」
この方針こそ、府民にその案を公表し、パブリックコメントを募集し、そこから具体の政策を編み出していくべきなのです。中原教育長と陰山教育委員長を初めとする教育委員の議論はかみあわず、いや議論以前のひじょうに稚拙な子どもじみた話に中原教育長はもっていったと言えます。
議会は各委員会も含め動画が公表されています。教育委員会会議は、議事録は公開されているとはいうものの、動画は公表されていません。教育の主体が府民であることを考えれば、ライブで公開してこそ、教育委員会の責任も果たせるというものだと思うのですが。
議論のいくつかを紹介します。
陰山委員長からはICTの活用について、どうせやるのなら大阪が世界のスタンダードになるくらいのものを目指してほしい。2020年から国が英語教育を始める。大阪の方向性は間違ってないのだから、もっと切り込んだらいいんじゃないか。
立川委員からは、グローバルリーダーズハイスクールの充実に関して、3年間の取り組みの成果と課題を検証した上で総合評価に基づき、再指定(指定校入替)とあるが、評価基準はどうなっているのか、それを見せてほしい。障がいのある生徒に向けてのエキスパート支援員としては、指導看護師や理学療法士も考えられているのか。体罰の防止について教員の意識改革はどのように行うのか。優秀教員制度を府下で合同でやってほしい。進路保障について進路未定数を減らす努力をしてほしい。
木村委員からは、スポーツ指導において、先日テレビでも見たが、特に女子に対して過度の指導により月経がなくなりそのために疲労骨折しやすくなっていることを指導者自身が知識がなく知らないことがある。先日、大教大の学生から質問されたが、教員になるためにどのような勉強をしたらよいかわからないとのことであった。対策講座などをお願いしたい。
小河委員からは、小学校入学以前の子どもの問題、幼児教育を政策化してほしい。いじめ問題については、自分の経験からもなかま作り、集団作りをどうするかを考えてほしい。現場で一つ事件が起こったから処罰するということではなくならない。体罰については啓蒙が必要。運動生理学の普及なと、正しい知識を身につける、まだまだ根性論が幅を利かしている。
それらの質問や要望について、事務局の役人は応えるが、いつもと違って中原教育長は一言も発言しませんでした。それをいぶかって、陰山委員長が中原教育長に、どうしたのかと尋ねると…
中原教育長切れる~不満たらたら!
中原教育長曰く、しんどくて何もしゃべる気がしないんです。お願いします、お願いしますって、この会議は会社で言えば取締役会議ですよ。それが、お願いお願いの相談会になってるんで、しんどいんですよ。ドラえもんンのポケットじゃないんだから、ぽんぽんぽんぽん、言うだけだったら誰でもできますよ。大教大の学生がこう言ったとか個人的な話やら些末な話やら、教育委員会会議の意義が見えない。それだけ言うのだったら、今日から分担してやりましょうよ。これは教育委員会制度の根幹にかかわること。、箕面市教委なんか頻繁にやっているじゃないですか。定例会を増やして、コミュニケーション不足ですよ。会議の進め方もわからない。これは相談会ですよ。
それに対して立川委員、毎週来るつもりだったが、(事務局に)その必要なないと言われました。1週間前に60ページの資料を渡され議論すると言われても…
傍聴しながらつくづく思いました。あまりにも低次元の、議論ともいえない、駄々っ子のような中原教育長の言いよう。
しかし、彼がマスメディア取材のなかで敢えて言って見せるのは、国が教育委員会制度改革を実行に移そうとしている今、教育委員会会議の議論がいかに無意味であるのかを強調したかったのかもしれません。
確かに、教育委員は府民を代表しているとは言い難い面もあります。しかし、大阪府教育委員はそれぞれの感覚から問題提起は行なっています。問題は中原教育長がそれらの声を聞くことを面倒だと思っているところです。おそらく彼は、ただ一人知事の指示にしたがって教育行政をやりたいと思っているのでしょうが、それが危険であることは、そもそも教育が多様な個々人の権利の行使であることを考えれば、自明のことであるのですが…府民不在の議論にしてしまっているのは中原教育長の責任です。
中原教育長へ、しんどいんですよって、それを傍聴している府民の私は憤懣やるかたない気分でした。あなた方は誰のために仕事をしているのですかとよっぽど聞こうかと思いました。