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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

8.5大阪市教科書採択から今後を考える

2015-08-06 10:26:02 | 教科書
大阪市の前代未聞の教科書採択劇から一夜明け、子どもに渡すな あぶない教科書大阪の会のIさんから昨日の採択劇の分析と問題点、今後に向けての取り組みが届きました。

私たちは今回の教科書採択劇について政治、行政の問題点、責任を追及するとともに、そもそも教科書とは?なんであるのか?考える必要があるのかもしれません。


以下、転載~

昨日、育鵬社を採択した大阪市教育委員会議を傍聴してくださった大阪の会の仲間から傍聴報告が届きましたので紹介します。

この間の大阪市教委への取り組みはブログを見てください。
http://kyoukashoosaka.blog39.fc2.com/

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本日、大阪市教育委員会は歴史、公民教科書で育鵬社を採択しました。今日の採択は始めから終わりまで、歴史に残る徹頭徹尾前代未聞の採択でした。

(1)密室採択会議

まず採択会議場に傍聴者を1人もいれず密室で採択したことです。
教育委員会は市民が別会場で中継の画面を見ることを傍聴と強弁しましたが、とても傍聴と呼べるようなものではありませんでした。
教育委員の発言は聞き取りにくく、なかでも西村委員の声はほとんど聞き取れず、おまけにしょっちゅう画面も声も中断するありさまでした。
そもそもこんなやり方が正当化されれば、今後議会も裁判も全て傍聴者をしめだし、画面を見ていればいいことになってしまいます。
市民の知る権利、基本的人権の侵害そのものです。今後この密室採択そのものを厳しく問わねばなりません。

(2)歴史採択に論議なし

歴史は教科書の内容についての審議はほとんどなく、高尾教育委員と大森教育委員長が合わせて1時間半、それぞれの教育観、歴史観を開陳する大演説会でした。大森委員長は膨大な資料を用意しており、二人とも事務局から注意されても意に介さず演説し続けました。ほとんど二人の論説競争でした。
その後、育鵬社と帝国書院にしぼり、それぞれどれを一位にするかを表明し、最後は挙手で決めました。
結果は育鵬社4名(高尾、帯野、林、山本)、帝国書院2名(大森、西村)でした。
山本教育長は一切意見を表明しなかったにも関わらず、挙手のときはきっちり育鵬社に手を挙げていました。
公民は高尾委員が育鵬社を強く推しました。許せないのは育鵬社が人権記述が最も充実している、なかでも異文化理解がよいと誉め称えたことです。これはまったくの虚偽です。記述の量も内容も自由社とともに人権軽視もはなはだしいのが、育鵬社教科書です。外国人を差別する教科書であるがゆえにヘイトスピーチ集団から応援されるのだということは、この間の東大阪の騒ぎを見れば明らかです。
高尾委員は公民では露骨に育鵬社の
エージェントとして動きました。このことは今後告発していくことになります。
大森委員長は公民では各社の採点表を出してきました。それによると育鵬社と日本文教出版がともに14点で最高、東京書籍はマイナス19点で最低でした。これは大森委員長が安保、防衛に重点をおいて採点したからです。大阪市の選定基準の改悪とも関係しますが、極めて恣意的な採点表でした。
結局、大森委員長は歴史とのつながりを理由に育鵬社を第一位に挙げ、挙手によって育鵬社4名(高尾、大森、帯野、山本)、日本文教出版(林、西村)となり、育鵬社が採択されました。山本教育長は意見を言うこともなく、またもや育鵬社に手を挙げました。

(3)複数教科書使用の決定

最後に突然大森委員長が多面的な学習を理由に、教科書の複数使用を提案してきました。大森委員長は八重山の教科書騒動の時に下村文部科学大臣と朝日新聞の社説が、竹富町に東京書籍と育鵬社の複数使用を提案したことがあること、熊本県は中高一貫中学校で副教材として育鵬社を使用していることを例に挙げ、歴史は帝国書院を、公民は日本文教出版を補助教材として採用するという付帯決議を提案したのです。
この提案に帯野委員以外の委員が賛成し、教科書の複数使用が決まったのでした。
複数使用には2倍の費用がかかります。7億円の2倍の14億円です。財政難であるにもかかわらず、こんな異例のことを決めたのは、教育委員の間で意見が割れ、高尾委員も複数使用で妥協せざるをえなかったと考えられます。その根底には高尾委員と育鵬社とのつながりを私たちが問題にしてきたがゆえに、高尾委員が一方的に育鵬社を主張できなかったことがあります。闘いが教育委員に亀裂をいれ、橋下市長も妥協せざるをえなかったのでしょう。複数使用が単なる大森委員長の思い付きではなく、きちん印刷されて傍聴者にも配られたことからすると、橋下市長の了解を得ていることは明らかです。
今回、大阪市で育鵬社の採択を許したことは痛恨の極みですが、同時に運動の力を確信することもできました。
ところで、私たちは教科書展示会に行き市民アンケートを書いてほしいと呼びかけてきましたが、教育委員会事務局によると、育鵬社に肯定的な意見が67.6%(779件)、否定的意見が32.4%(374件)だったそうです。日本教育再生機構のみならず、ヘイトスピーチ集団までもが市民アンケートを呼びかけていたのが、今年の特徴でした。右派が育鵬社を採択させるために大阪市に力を集中したと考えられますが、草の根ファシズムとの闘いにおいて、まだまだ私たちが教科書問題を大きな運動にできていないことの結果でもあります。今後の反省課題にしたいと思います。
明日から北摂各地など、採択会議が続きます。みなさんのご協力をよろしくお願いいたします。
コメント (2)
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