武蔵國日記(むさしのくににっき)

土佐日記にあやかって、「女もすなる日記といふものを、中年男もしてみむとてするなり」

頭(かしら)落ちてへんか?

2006-09-25 09:11:27 | 随筆
何年か前のNHKの番組で「人間国宝ふたり」と云う題名の番組が有りました。

文楽の第一人者である、人形遣の中村玉男と義太夫語りの竹本住太夫のふたりを追ったものです。
テレビの感想を一言で云うならば、

「芸事の深奥は底が知れない。」

番組の中では未だ御存命だった越路太夫の
「もう一生有れば、。」の一言には震えが来ました。
昨日、お亡くなりになられた吉田玉男さんの人形遣にも震えが来ました。
(大阪の国立文楽劇場での公演は見ずじまいでしたが
東京の国立劇場では実際に観せて頂いたことがあります。)
お若い頃の、巧みな人形捌きから
お歳を取られてからの、動きの無いところに動きを見せる芸へ。
無駄なものを削ぎ落とし切った名人芸に鳥肌が立ちました。

「頭、落ちてへんか?」

晩年、中村玉男さんがお弟子さんによく訊いたそうです。
10kgを越える文楽人形を操るとき
手の力の衰えから人形の頭が俯きかげんになることを気にしたそうです。
生涯現役を通そうとする人間の執念と葛藤を現した言葉だと思います。

もう一度、直で観たかったです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060925-00000006-maip-peo
http://www.nhk.or.jp/special/libraly/01/l0001/l0113.html
http://blog.funabenkei.daa.jp/?eid=422404


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