私の友人(友人と言うほど親しくなかったかも?)に絵画をコレクションしている人がいた。
当時私の好みだった中島千波さんの桜の絵も何点も持っていた。
中島千波さんの『三春の滝桜』あの絵が欲しいと思った。
しかし私の手の届くような金額ではなかった。
退職金をもらったらそれで買おうと密かに思っていた。
(それから十数年後に退職した。その気持ちを忘れていなかったが
やはり私が手に入れるにはそれは贅沢すぎるもの。買うのを諦めた)
画商が頻繁にその友人(?)の元を訪れ、独身の彼は即決で高額な絵や版画を買っていた。
私も1枚だけ、版画を持っている。
はっきり覚えていないが購入時13万だったような気がする。
私はそれを確か月5000円払いのローンで支払ったような気がする。
斉藤清さんの『柿の会津(28)』1983年の作品で私が持っているのは6/130
気に入ってずっと玄関に飾っているのでシミや汚れもできている。
先日テレビの「なんでも鑑定団」を観ていたら斉藤清さんの版画が海外で人気がでていて評価額が上がっていると言っていた。
特にそのテレビに出ていた版画は人気があるとのことで鑑定額200万だった。
我が家のはもう何の価値もないと思うし手放す気も無い。
あれからあの友人(?)のことがしばしば思い出される。
一度数人でコレクションを見せて貰いにお家へ行ったことがある。
同居していた兄嫁さんがお茶などでもてなして下さった。
そして数々のコレクションを見せて頂いた。
その彼ももう故人となった。
あの作品達は今どうしているだろう?価値の分かる人が引き継いだだろうか?
そんなことを最近しきりに思ったりしていた。
ところが今日、我が家に来た人が突然、彼の話をし始めた。
私の知り合いとは知らずに・・・。
「ええーっ!私、その人と知り合いなのよ」というと
「彼が結婚したこと知ってる?」と言った。
(私は全く知らなかった)
亡くなる1~2年前に結婚したのよ。
そして彼の全財産は全部、その女性のものになったらしいの。
(後、具体的にいろいろ聞いたがうわさ話なので割愛)
結婚して間もなく本人死亡。遺産は結婚間もない新妻のもの。
どこかで聞いたような話・・・
他人事ながらあの絵画などのコレクションの価値の分かる奥さんならいいなと思う。
お盆の最終日、偶然、Aさんについてのうわさ話を聞いた。
私には好意的に接してくれたAさん。
安らかにお眠り下さい。