1月末に入れた右下奥のインプラントがもう2度とれてしまった。
保険が効かないので、何十万というお金を手出しして作ったインプラント。
もうこれで死ぬまでこの歯で過ごせるだろうと思ったのも束の間だった。
歯科医に「入れた歯をネジで止めるやり方にしましょう。歯の表面にネジが
出ますが・・・」と言われ「とにかくもう外れない方が良い」と思い同意した。
その施術が今日だった。
歯肉を切開するために、また歯茎に麻酔の注射。
そしてねじ込み式の歯を入れてくれた。仕上がった状態をこの歯医者さんは
鏡などで確認させたりしてくれないので、家に帰って鏡で見るまで分からない。
ここで疑問がむくむくわいてきた。インプラントを入れる前の段階からネジが
外れたりして、もう6~7回は予定外に受診しなくてはならなかった。
それに今度のやり方では歯の表面にネジが見える形で最初のインプラントとは
違うではないか。料金が同じではないはず。最初のインプラントは見た目は自分の歯と
区別できないほどの仕上がりだった。でも今回はネジが表に出てあきらかに義歯だと
分かるだろう。料金が同じという事は納得いかない。そう思った。
今まで何度もネジや入れた歯がとれたことや、医師も歯科医衛生士も治療する際、
説明がほとんどないことなど、私の中で不信感も溜まっていた。
治療が終わってレントゲンを撮る際、担当の歯科衛生士さんに
「あのー、料金の見直しとかして頂けないでしょうか?」と思い切って尋ねてみた。
その人は笑顔で「まあ!そんなことを思っていたのですか?気にしなくて良いですよ」
と言った。私はその返事に面食らってしまった。
まさか「気にしなくてよいです」と言われようとは思ってもいなかった。
そして「新しく作るのに10万くらいかかりましたが追加料金は頂きませんよ。」と
さも「うちは良心的歯科医院ですから・・・」と言わんばかりに言った。
「いえ、私が言いたいのはその逆です。ここでは他の患者さんもいますので
先生とあちらで話させてください」と言って、
なるべく人に聞こえにくいようなところで待っていたら歯医者さんが来た。
私は思っていることを問うた。
※最初の計画の歯の表面にネジが出ない方法から、今回、表面にネジが出る方法に
変わったが、料金は同じなのでしょうか。最初の計画通りにいかなかったので
料金の見直しとかできないでしょうか?それに何度もネジやインプラントが
外れて来たことも考慮して頂けないでしょうか?
すると歯科医は「今回のネジ式もインプラントの方法なんですよ。説明の段階で
私はネジ式にするか、前回のやり方でするかとかは言っていないはずです。」
と、どちらもインプラントなので料金は同じだと言った。
何度も行かなければならなかったという点に対しては「インプラントの後、
他の患者さんも何度も経過を見せに来ていますから・・・、
(値下げの理由にならない)」と穏やかな口調で言った。
そう言われると、説明の少ない歯科医なのでインプラントにはネジ式と
ネジを使わないのがあって、どちらもインプラントなんですが・・・」などの
説明は聞いていない。料金についても、どちらが高くどちらが安いなど
そういう説明も聞いていない。「どちらもインプラントなんですよ」と
言われると、もう反論する根拠がない。
「そうなんですか。どちらもインプラントなんですか。だから料金は同じなんですね。
思っていたのと違う状態に仕上がったので、ちょっと不満に思ったのです。
それを聞いてすっきりしました。先生のお話を聞かなかったら
ずっと不満に思っていたかもしれません。お尋ねして良かったです」と言った。
もう少し事前に説明があったら私もこんなミミッチイことは言わなかったのに・・・。
インフォームドコンセント不足だったと思う。
帰り道、「はっきり言って良かった。もうこれで気が済んだ。さあ、気持ちを
切り替えよう」と思いながら帰って来た。
今は、今日入れたねじ止めインプラントが、もう二度と外れない事を願うばかり。
しかし、治療をやり直したので、その分の治療費を支払わなくてはと
私が思っていると勘違いした歯科衛生士さん。
それぞれの立場でいろいろな考え方、言い分があるのだと改めて感じ、
ちょっと新発見したような気分にもなった。
私自身の考え方が一方的って可能性もありうるのだと思ったりもした。
午後、アマゾンプライムで、信友 直子さんのドキュメンタリー映画
「ぼけますから、よろしくお願いします」を観た。
一人っ子のテレビドキュメンタリーディレクターの直子さんが、広島の呉市に住む
90代と80代の両親の老いの日々を撮影したもの。
これはいろいろ考えさせられ、そして胸を打ち、観ながら自然と涙があふれ出た。