黒鯛の料理と目利き
魚を見定めるとき、釣り人は長さで自慢する
中にはメジャーを魚の上に当てて計測する人もいるが、市場ではそんな計測なんて馬鹿にされるだけ
価値ある魚は、まずDEBUであるか?
ヤセと表示されるのは、どの魚種でもあるのだけれど、真鯛や黒鯛は特に「ヤセ」が表示される
そのわけは、餌にありついていない個体があるから
大鯛でもDEBUなら価値あるが、ヤセでは売れない
釣りの魚ならまだ値が付くが、網で捕獲した、「ヤセ」の魚体は全く価値が無い
ホンで、黒鯛の小型25cmsizeだけれど、これが不思議で値が付くのよ
広島周辺では昔から小型の黒鯛を「こべた」と読んでいた
塩焼きでも、煮付けでも美味く、特に煮付けの残り汁は素麺の出汁に最適
広島には素麺出汁に向いている魚が多々ある
一番はハゼ、2番鱧、3番太刀魚、黒鯛、真鯛4番 メバルかな?
小型真鯛もお頭付きの塩焼きなどで重宝される
料理店でIF、小型の黒鯛があれば、板さんに「コベタを、煮付けで、煮汁で素麺もしてもらえるか!」と言えば、ニヤリとするはず
なぜなら極旨の料理になるのよ
できないと言われたら二度とその店には行かなければEE
コベタが入荷していない店もあるので、「コベタありますか?」聞くとEEけどね
ナンじゃそれは?と言われれば笑えばEEよ
多種多彩の料理には、材料もいるので、近年そんな店は少ないね
コベタを置いている店はほとんど無いはず。美味いのにね
腕利きの板前なら、「今日はEE黒鯛「コベタ」が入荷していましたよ」「お勧めは煮付けと煮汁素麺ですが」「いかがですか?」と言うはず
遠方からの来客に広島の店を紹介するなら、鮪やサーモンでは無く、解夏のメバル煮付けやコベタの煮付けを自慢する店に案内したいね
さらに、魚の旨さを追求するなら、RAMやMuttonと同じで、若い魚=2歳魚の刺身を提供してくれる店がEE
デカい魚の刺身も美味いけれど、しっとり柔らかで、ぷりぷりの食感を求めるなら、やはり成熟していない個体がEEと思う
今日は魚の蘊蓄を言ったけれど、オイラが伝えたいのは、コベタが減少している事なんよ
40年前は40cmsizeが少なかった、
しかし、20cmsizeは、もの凄く多かった
その分 豊かな海であったのだろう
護岸にはイガイやフジツボ、海藻がびっしり生えて、居たる場所にサザエやツブ貝が付着していた
今ではフナムシどころか?イソギンチャクも亀の手も無い
そんな海になったのもここ30年ほどで破壊されたんよ
餌が豊富であれば、小魚は増える海だ
今はヤセの大型黒鯛は増えてきている
後10年もすれば瀬戸内海に幼魚がいなくなり、老魚ばかりになる
そのためにも、放流を再開して、海に栄養を増やすためにも、広葉樹を増やし、河川の護岸沿いに水草を増やせば
全てが循環し始める
それがオイラの願いであるし、孫に伝えたい事なんよ。