薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

読書サロン

2005-10-21 | 生活雑記
■ 先日、信州大学読書サロンに行ってみました。

■ 信州大学の先生の著書をテーマに、執筆された先生を招いて、本の内容や執筆の動機、苦労話、出版後の反響などをうかがうという企画。会場は信州大学内にある生協(食堂)。第一回目は、都築教授(経済学部)の『政治家の日本語』(平凡社新書)でした。

■ 著者の話を中心に、人文学部の先生が進行役となり、タイトルの決め方や小泉首相の<ことば>などに話が及びます。

■ 面白かったのは、ほとんどの場合、本のタイトルは原稿を書き上げてから、それも著者の意向は取り上げられることなく決定されるのだということ。それも編集部の意向だけではなく、営業部の意見が重要視されるのだとか・・・。

■ 都築先生は当初、『言葉と政治』というようなタイトルを考えていたようですが、“抽象的過ぎる”とあえなく却下。“まず、書店で読者に手にとってもらえなければ意味がない(売れない)”とのことで、当時流行していた「日本語」という言葉を用いたのだといいます。この新書が出版されたのは昨年の8月だけれど、そういえば、その頃は日本語が静かなブームであり、書店にはタイトルに“日本語”とついた本が一番目立つ箇所に平積みされていたような気もするな~。

■ 章の見出しもほとんど編集者が決めてしまうのだそうです。でも、第5章「えがく」と第6章の「しる」というところだけは、最後まで抵抗して譲らなかった箇所だと言います。編集者としては、第5章は「かえる」、第6章は「まもる」とした方が、“読者にはわかりやすい”と考えたようですが、先生としては、そのようにすると革新政党のことのようになってしまうため、あえて押し通したのだという。

■ 日本に限らず、英国でも米国でも、最近はどちらかというと保守(政党)の側が“改革”を訴えている。それに対し、“護憲”という言葉に象徴されるように、かえって革新(政党)の側の方が、体制を保持しようとする傾向が強い。そうした動向を踏まえて、どうしてもこのふたつの章については主張を曲げられなかったのだそうです。

■ あまり肩肘張らずに自由な意見交換が出来るようにと、お茶とケーキをいただきながらの2時間弱の時間。参加者は20名前後。それも大学や市民タイムスの関係者かな?と少々寂しいような感じでした。街中のMウイングなどで開催すれば、きっともっと多くの市民が参加できたと思うけどなぁ。やはり、大学という場所は敷居が高いのですかね。

<photo:Royal Mile>

なんて言うんだっけ?

2005-10-20 | 子 育 て
■ 同じアパートにはアメリカ出身のMさんが住んでいます。日頃挨拶は交わし、
妊婦の頃「赤ちゃん産まれたら見せてね、楽しみ」と。

■ ちょうど一ヶ月検診から帰ると、Mさんに会いました。普段ブロークン英語の私。単語は思い浮かばない、文法めちゃめちゃ、気持ちで(身振りと)なんとか交わす程度。

■ この日も「産むってなんて言うんだっけ?」。まあとりあえず娘とのご対面も済み、彼も「可愛くて小さいねぇ」と満足そうなのでめでたしかな。

■ もう少し英語が話せたらいいなぁ。娘と一緒にがんばるかな?

スコットランドの想い出~その3

2005-10-19 | 旅  行
■ 英語学校はフラットから歩いて15分程度の距離。駅を抜けRoyal Mileと呼ばれるOld Townの目抜き通りに面していました。エジンバラ大学に付属する学校だったのかな?

■ 初日は、例によってクラス分けのテスト。前回の教訓を生かし、今度は手を抜いて楽をしようという魂胆。またしても授業のあるのは午前中だけだから、午後は思い切り観光・・・いや研修しなくては。

■ クラスに入ってみると、思いのほか日本人がいました(よくまぁ、こんな最果ての地に・・・)。イタリア6人、スペイン1人、そして日本6人という構成。その後、台湾人が4人ほど入るなど、入れ替わりもありますけれどもね。

■ 担当の先生はBenという、今で言うところのイケメンの若くてとてもカッコイイお兄さんでした。彼は、「英語の詩は韻を踏むのがルールだ」という説明で、つねに“My name is Ben. I have a pen.”と例をあげていたのが、なんだか印象的に残っています。

■ 授業の進め方などはアメリカとさほど違いはなかったけど(あるいは日本とも?)アメリカ英語と異なるのは、スペルなど徹底してイギリス英語を用いること。発音も、アメリカのように崩したりはしないから、私としてはどちらかといえば聞き取りやすかったかな。

■ スコットランドは、とても自分たちの歴史や文化を大切にしている国。いまだにケルト語のラジオ放送も続いているというし、有名なネス湖もlakeとは言わずにLoch Nessなどと言います。あるとき、旅行の話をしていてBenに「今まで旅行した中で、どこが一番よかったか」と聞かれたので、なかば社交辞令のつもりで「イングランドが好きだ」と答えたら、「あんな国のどこがいいんだ」と切り替えされてしまった。過去の因縁って、恐ろしい・・・

■ 内容的には、文法が中心となる楽勝のクラス。でもいざとなると“話すこと”と“聞き取ること”は難しい。半分くらいは勘で答えちゃうもんな~。それがいけないのか。もともと人と話すのが好きなほうではない(得意ではない)しね・・・仕方がないか。

■ 今回は周りの学生たちと積極的に打ち解けるようにして、一緒に旅行に行ったりボウリングをしたりして楽しんでみました。

<photo:Calton Hillにて談笑の図>

スコットランドの想い出~その2

2005-10-18 | 旅  行
■ フライト希望日はKLMが満席だというので、今回初めて英国航空British Airwaysを利用。またもや成田でのTake Offが30分ほど送れたけど、「この程度の遅れならリカバーできます」という頼もしい機内アナウンス。そうしたら、ほんとうに定刻どおりにロンドンのヒースロー空港に到着しました。エライ!!

■ ここで飛行機を乗り換え、エジンバラへとさらにフライとする予定。乗り継ぎの便まで1時間ほど余裕があったのですが、またまたアクシデント発生!! 英国では、まずロンドンで入国審査をしなければなりません。それが、学生の列は長蛇の列でちっとも前へ進みません。ど~も、アジア系の学生が引っかかっている。なんでも学生として入国して、そのまま居座ってしまうケースが多いので、とくにアジアからの学生の入国審査は厳しいのだとか(日本人はスルーパスだったのに・・・)。結局乗り遅れてしまいました。

■ カウンターのお兄さんに泣きついて、なんとか次の便に乗せてもらい、無事エジンバラに到着。空港からバスでウェイバリー駅まで行くと、ホームステイ先のMr.Gibsonが出迎えてくれました。まず学校への行き方を一緒に案内してくれたあと、彼のフラット(アパート)へと連れて行ってくれました。飛行機に乗り遅れてしまったため、スーツケースは明日でないと到着しないとか・・・トホホ。

■ アメリカでは郊外の住宅地にある大きな一軒家だったけど、今回はflatの一室。そして、アメリカではホームステイをなかばボランティアとして受け入れるけど、英国では家庭の貴重な収入源と見ている傾向が強いようです。

■ 学校からの紹介状では、Mrs. Gibson works part-time as an administrator while Mr. Gibson is a full time student.ということでしたが、結局何をしている人たちなのか最後までよくわからなかった。でも、ホストファミリーは遠方からの学生を夫婦で温かく迎えてくれました。

■ 日本を出てきたときはとても暑かったのに、スコットランドは寒いよ~。とりあえずあるもの全部着て、布団に丸く包まって眠りました。

<photo:Waverley St.周辺>

ラテ傷つくの巻

2005-10-17 | 生活雑記
■ 先日ちょっとした不注意で、愛車ラテに初傷をつけてしまったのです。普段前向き思考を心がけている私ですが、ちょっと落ち込み反省しました(その後復活)

■ 温厚な主人なので怒りはしないと思うけれど、ただご主人様の愛車は無傷である故、少し不安な気持ちで(表情は明るく)告白しました。

■ すると怒ることもなく、「(私と娘が)無事だったならいいよー」と。優しい主人に救われた一日でした。今後は気をつけるからごめんね!

<photo:EdinburghのNew Town>

スコットランドの想い出

2005-10-16 | 旅  行
■ 今週は、スコットランドはエジンバラの思い出を綴ります。

■ 米国プチ留学の経験に懲りず、“今度はヨーロッパの生活を見てやろう”と思い、2週間ほどイギリスでホームステイしてきました。どうせ行くなら日本人があまりいないところがいいなと思って、ステイ先はロンドンからさらに北に離れたエジンバラに決めました。本当はアイルランドのダブリンに行ってみたかったのですが、当初予定していたKLM便は飛んでいないと言われたもので・・・

■ スコットランドは、イングランド、ウェールズ、北アイルランドからなるUnited Kingdom of Great Britain and Northern Irelandの一地方。とはいえ、1707年にイングランドに合併されるまでは立派な独立国としての歴史を持っています。サーカーのワールドカップには、いまだに別々にエントリーしていますよね。

■ エジンバラへは、ロンドンのヒースロー空港から飛行機で約1時間半。人口44万人を抱えるスコットランドの中心都市です。町の中心にある公園を境として、南側は中世の街並みを今に伝えるOld Town、北側は都市計画に基づいて気づかれたNew Townとに二分される。“New”とはいっても18世紀末に建設されたのだから、どのくらいの歴史があるのか、わかろうというもの。

■ 日本を発ったのは9月の上旬。日本ではまだ残暑が厳しかったのですが・・・

キース・ジャレット・トリオ/コンサート1996

2005-10-15 | D V D
■ お休みなのに朝から雨・・・。こんなときは静かにキースのピアノでも聴きますか。

■ 1996年に渋谷オーチャードホールで開かれたコンサートのDVDです。キース・ジャレットのピアノは独特の世界をかもし出しますね。キースやビル・エバンスのピアノって、ちょっと聴いただけで“あっ、彼の演奏だ”って、すぐわかりますよね。またクラシックとは一味違った趣があります。

■ 昨年でしたかキース・ジャレット・トリオが来日するのでコンサートに出かけようかと計画したこともあったのですが、4月というなんやかや忙しい時期だったので、結局あきらめてしまったことがありました。東京か名古屋まで行かなければならなかったし・・・。

■ 買ってから気がついたのですが、まったく同じコンサートのCDが発売されていて、しっかり持っていました・・・。でも、映像があると、キースが立ち上がったり「ウー、ウー」唸って演奏している雰囲気も伝わってきたりして、またいいものですよね~(と少し自分を慰める)。

■ 同じシリーズで出ている『スタンダーズ・ライブⅡ』もお薦めです。

チャート式 新倫理

2005-10-14 | 本  棚
■ 『チャート式 新倫理』数研出版。いわずと知れた高校生めけの参考書です。高校卒業後、ウン十年ぶりに参考書などを買って読んでみました。

■ きっかけは、以前読んだ吉田たかよし『最強の勉強法』PHP文庫のなかで、“知識を簡単に得るためには高校生向けの参考書が一番!”なる旨の記述があったから。それなりに人生観なんぞを積んだはずだけど・・・やっぱりわからん。

■ 高校生向けだけあって、第1編は「青年期と人間としての生き方」ときたもんだ。古代ギリシャの思想から、キリスト教や仏教、中華思想などを取り上げています。第2編は「現代社会と倫理」ということで、カントやヘーゲル、近代までの政治思想などを取り扱っている。そして、第3編は「国際化と日本人としての自覚」として、仏教を含めた外来思想の移入と日本文化など・・・。

■ ふ~む。こんなの、高校生が読んだって、内容までは理解できないよね~。誰がどんなことを言ったか、どんな本を書いたのか、といったことは覚えることができたとしても、思想の理解まではどうかな~。いまだにどんな高名な哲学書を読んだって、いったいどの辺が優れた思想なのか、さっぱりわからないも~ん。(←自慢するな!)

■ 私の通っていた高校では一学年400人弱いたけれど、『倫理社会』の授業は1年生のときしかなくて、とても受験に耐えられるものではなかったなぁ。長野県での高校再編問題でも、少しでも多くの科目を生徒が学ぶことができるようにすることが、まず第一に考えなくてはならないことなのではないでしょうか。

■ それにしても、とてもお買い得な1冊です。だって、細部まで目を通していると10ページ読むのにもとても時間がかかるし、オマケにすぐに眠くなる。・・・というのは、何年たっても変わりがないですな。

赤ちゃんはおりこうさん

2005-10-13 | 子 育 て
■ 母親学級で知り合った3人の友人。皆無事出産を終えました。妊娠中はどちらが生まれるかなあと話していましたが、男女2人ずつでちょうどいい結果でした(!?) 

■ そして昨日はA 病院へ3人目の友人の面会へ。出産まで2日かかったようですが、母子ともに元気で何より!

■親の願いどおりに、10日に生まれてきたとのこと。もう一人の友人も父親の出張があり「予定日より早く生まれて!」という希望どおり。赤ちゃんはおりこうさんですね。私の場合も「平日昼間で、するするぽんで生まれてね」の語りかけが効きました。
■ もし第二子を宿したら、またお願い作戦でいこうと思っています。

BC級戦犯裁判

2005-10-12 | 本  棚
■ 林博史『BC級戦犯裁判』岩波新書。アジア太平洋戦争における残虐行為の命令者から実行者まで、およそ5700人が裁かれたBC級戦犯裁判。その法廷では何が明らかにされ、どんな戦争犯罪が問われたのか・・・。

■ 東京裁判の場合には、速記録や証拠書類がまとまって残されているため研究も進んでいるけれど、BC級戦犯裁判の場合、八か国(米・英・豪・蘭・仏・中・比・ソ)がそれぞれ裁判を行ったので、国によっては裁判記録が整理されていなかったり、非公開の場合もあって、日本側だけでなく裁いた側や被害者の資料まで収集・分析を加えた研究はこれまであまり進んでこなかった、といいます。また言語上の制約もありますしね。

■ そもそもBC級戦争犯罪とは何でしょうか。靖国問題でもよく話題となるA級戦争犯罪とは「平和に対する罪」のことであり、政府や軍の指導者が裁かれました。これに対して、B級戦争犯罪とは「通例の戦争犯罪(非人道的兵器の使用や捕虜虐待などの国際法違反)」、C級戦争犯罪とは「人道に対する罪(一般自民に対する迫害など)」のことであり、命令者から実行者まで個々の残虐行為に関わった者が裁かれています。東京裁判の被告が28人であったのに対し、BC級裁判では約5700人が裁かれ、死刑となった人数も、前者が7人であるのに対して後者では934人にのぼっている、といいます。

■ BC級戦犯裁判の問題点としては、①被告の選定が恣意的であったこと、②人違いにより罰せられた者も少なくなかったこと、③通訳が不適切であったこと、④検察側の証言が一方的に採用されたこと、⑤上官の命令に従っただけの下級兵までが裁かれたこと、などがあげられます。しかし著者は、日本での議論は感情的に戦犯裁判を非難するものが多く、一つ一つのケースごとに問題を明らかにする作業なしに一概には言えないとして、日本での批判には疑問を投げかけています。

■ そして戦争裁判の本質として忘れてならないことは、当時日本人であった者が裁かれたということ。すなわち、日本によって侵略された地域の人々が日本の戦争に動員され、そこでの行為が戦争犯罪として裁かれたケースも少なくなかった、ということです。戦後の日本社会は、そうした人々が戦犯に問われたことも無視し放置してきたのだと著者は訴えます。

■ また、戦勝国である米国による原爆投下や都市への無差別爆撃は放置されたことも、大きな問題点の一つでしょう。

■ 戦後60年経っても周辺諸国とのわだかまりがなかなか解けないのは、そのような事情も絡んでいるのですね。

<photo:涸沢ヒュッテ直下>