幸隆の国から

歴史の跡、自然、いい湯などを訪ねて出掛けたときの記録。
また、四季折々、日々の雑感です。

農業消滅

2022-01-11 | 

東京と地方との二拠点暮らしも、十年以上にもなる。

十年もたつと田舎にも根を張り、近隣の状況も少しは分ってきた。

田んぼの広がる地域ではあるが、集落の中で農業を継ぐ若者の話しを聞いたことがない。

農業をされる人の高齢化が進み、「子供たちには農業をやらせたくない」と言う声も聞く。

実際、現役世代は、車で通勤する「お勤め」の人たちがほとんどである。

一方、農地を見ると、少しずつ耕作放棄地が増えていく気配がする。

何年前からか、「求む、太陽光発電施設建設用地」の立て看板を見るようになった。

既に農地から転換されたところは、整然と発電パネルが並ぶ無機的な光景に変わった。

そんなところが、私の目に写る農家・農村の姿である。

 

私がお米を買うのは、集落内で米作りを続けているUさんからだが、そのUさんは80歳を超え決して若くはない。

よく「米作りは赤字だ」と言って、苦労話を聞かせてくれる。

日本の農業の実態はどうなんだろうか?、この本が目についたので読んでみた。

 

「農業消滅」 鈴木宣弘(著)、株式会社平凡社(発行)

 

本書によれば、日本の食料自給率は38%とされる。

このまま農業を担う人たちの高齢化が進んだ場合には、日本の農業はどうなる?

少なからず不安を覚えるのは、その点だけではない。

本書では、種や苗の確保の問題、さらには農産物の安全性などについても指摘されている。

「安全なものを不足なく食える」、そんな時代が続くことを祈らずにはいられない。