甲府市内にある城跡を観に出掛けた。
計画を練っているときから、甲府では「お昼は絶対にほうとうを食べるぞ!」と決めていた。
朝、甲府駅前の観光案内所で情報収集しているときに、「ちよだ」さんのチラシを見つけた。
あの駅前の信玄公の銅像からほど近いところであることをつかんでおいた。
午前の行動が予定より押し気味になり、お店を訪ねたのは一時半ごろになっていた。
ドアを開けるなり、女将さんらしき人が「ほうとうは、終わってしまいました」というではないか。
いきなりガツンとくるショックだったが、「おざらならできます」という言葉に気を取り直し、「おざら」をいただくことにした。
塗りのお皿に敷かれた簀の子に載って出てきたのは、幅広のうどんである。
ほうとうに入っているうどんと同じものであろう。
冷たくしめられたうどんを、暖かい汁につけて頂く。
鰹節の利いた汁には、短冊状の油揚げ、三つ葉のきざんだものなどが入っている。
箸の先にずっしりと重みを感じながら、汁に付けてすすり上げる。
この幅広のうどんは、モグモグと嚙まないと喉に入っていかないようだ。
時々食べる「ざるうどん」とは違う、初めて味わう食感である。
私は「おざら」を食べるのは始めてだったが、甲州では良く食べられていたのであろう。
チラシには、郷土料理の「おざら」を最初にメニューに入れたのは、このお店だと書かれていた。
偶然とはいえ、歴史のある良いお店だった。
なお、付け足しになるが、山梨はブドウの産地。
メニューのお酒の部には、ブドー酒(赤、白)があり、グラスはもちろんボトル(一升ビン)もあった。