ゆえん

 

インドを旅してきたので物乞いや貧困の問題について考えた

2012-01-30 21:54:31 | インド
「インドって、乞食多すぎじゃね?」

「・・そうなんだよね・・」

 
という話を、これまで何度かしたことがありますが、
・・難しい問題ですよね。。
 
 
実際、途上国を旅してると、
これは避けて通れない問題で、
 
その受け止め方によって、
旅の景色が全く変わってくる思います。
 
今回は、そんな難しい問題について、
実際に見たことや、感じた事についてお話したいと思います。



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ある日のこと。
デリーでリキシャに乗ってました。

交差点の信号待ちで、
ボロを纏った女の子(5歳くらい?)が、
停車中の車両を狙って、恵みを乞いに来ました。

バックパックのポッケから、
あめ玉をいくつか取り出している間に、、
気づいたら、ちびっ子集団に取り囲まれてしまった。

次から次へと、目まぐるしく手が出てきて、
足つかまれるわ、バックパックに手ぇ出されるわ、
あめ玉あげたらケンカになるし、もっとくれとか言われるし。


「もう・・助けて・・許して・・」


・・念じるうちに、信号が青になり、
  リキシャのおっちゃんが、

「へあっ!」

といって、ちびっ子たちを振り払った。
そして、こう思ってしまう。


「ふぅ・・解放された・・」(←ひどいよね)


・・善意とは何だったのか・・

結局は、何も出来ない、キリが無いって思い知らされる、
インドではよくある出来事です。


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ある日のこと。

デリーで、人通りの多い道を、
ひとりで歩いていました。

道の隅っこには、
うつむいて座っている貧しい人がポツポツいました。

他の多くの人たちがそうしているように、
何もせず、ただ通り過ぎようとしたところ、

正面から紳士っぽいインドのおっちゃんが歩いてきました。


するとおっちゃんは、
まるで手品のように、指先からコインを出して、
道の隅に座りこんだ貧しい人たちに、
1枚ずつ、軽やかにコインを渡しながら歩いていったのです。


 風が通り過ぎるように、自然と・・・。


 ・・・慣れてるなぁ・・・


施しというものが、
インドの生活に深く染み付いているのを感じる出来事でした。


・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~


ある日のこと。

ニューデリーにある、
超高級ホテルの前を通りかかりました。


ゆえんさんは、基本的に貧乏旅行派なので、
千円前後の宿に滞在してたりするのですが、

目の前の高級ホテルは、
一泊2万円くらいもするのです。


・・にまんって・・


インドの大卒新卒の月収くらいじゃないかな・・


たった一泊の宿代に2万も払える人って、、、

本気でお願いすれば、
100ルピーくらい(150円くらい)軽く恵んでくれそうだよね・・
※100ルピー ← 豪華な夕飯が食えるぞ!


ちょっと物乞いしてみたくなった瞬間だった。


・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~



・・と、まあ、、
こういう体験をしていて思うのですが、

物乞いが多いということは、
裏を返すと、
物乞いが生きていける社会、ということでもある。

そもそもインドって、
カースト制度という強烈な格差社会の伝統を引継いでいるわけで、

それはある意味、身分の低い、貧しい人にも、
それなりの生き方が提供されているということ。



日本って、極端に平等主義なところがあって、
みんなが同じ水準で生活することが、
正しい平和だと何故か植えつけられてる。(気がする)

そして、基準より下にいる人を、不幸、かわいそうと言って蔑み、
基準より上にいる人を、ズルい、悪徳といって引きずり落としたがる。


平等主義が絶対悪いとは言わないけど、、


インドに行って、日本の生活水準と見比べて、
目の前の貧しい暮らしを、かわいそうって決め付けるのって、
失礼なんじゃなかろうか!

貧しくたって、みんな一生懸命生きてるじゃないか!
何で上から目線やねん!
自分の方が絶対上って言えるんか!?



 ・・はぁ・・

    ・・はぁ・・(←息切れ)



インドに行くと、こんな葛藤を繰り返すんだよね。。
答えは別に無いんだけど。。


・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~


ある日のこと。

勝手に道案内してくる、
貧しい身なりのインド人がいました。

いつの間にか、仲良くなって、
施しというよりは、正当な対価として、
お金を支払ったら、最高の笑顔をみせてくれました。


※そんなん、お金盗られてるだけやん!
 って言われちゃったらそれまでなんだけど。


なんか、そのとき、
すごく嬉しかったのです。

インドって、貧しい人でも、
目がキラキラしてたりするんだよね。

別に、貧しいからって、必ずしも不幸なわけじゃないし、
豊かだからって、必ずしも幸せなわけじゃないよな。



 ・・・突き詰めていくと、
    みんな同じなのかもしれないな・・・



貧しい人を、豊かな人にしてあげるのは無理だけど、
自分と同じように、一緒に笑ったり、喜んだりはできるよね。


そう思えるようになったら、
ちょっと、こころが楽になりました。


・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~


今回の記事には写真がありません。

スラムは何度も通ったし、
物乞いや、芸を披露してお金をもらう子供を何人もみたけど、
カメラを向けてシャッターを押す気にはなれなかった。



いつの日か、
貧しくても幸せな、笑顔とか、
そういう写真が撮れるようになったらいいな。


長い道のりになりそうだけど。


いつか、そんな記事が書ける日が来ることを祈念して。


つづく、かも。
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ガンジス川にある火葬場に行った時のことを話します

2012-01-13 20:07:59 | インド
「ガンジス川って、
 死体とか下水が普通に流れてるんでしょ~?」

 ↑「そーだよ?」


という会話を何度もした気がしますが、
そんなことは、どうでもいいのです。

実際にガンジス川を目の前で見ると、
美しすぎて、本当にそんなことはどうでもよくなりました。


※実際はもっと美しいです


今回はそんな美しきガンジス川にある、
火葬場のお話をしたいと思います。

※先に申し上げておきますが、火葬場の写真はありません。
 そもそも撮影禁止ですからね。


さて、ガンジス川の川っぺりには建物がいっぱいありまして、


↑ど真ん中の一番有名な所


↑平均的な人口密度の所

この「ガード」と言われる建物たちが、
ずーーっと連なって、こんなになっているのですが、




これらのガードのうち、2カ所が火葬場になっていて、
歩いていると、イヤでも情報が入ってきます。


火葬場とのファーストコンタクトは、
インド人の無邪気なちびっ子でした。


ちびっ子「ねぇねぇねぇ!

     ボート乗った?
      チャイ飲んだ?
       シルク買った?
        お寺行った?
         火葬場みた?」

ゆえん 「チャイは飲んだ。あとは何も。」

ちびっ子「火葬場、まだ見てないの?
     こちっだよー!この先!
     人間がねー、燃えてるんだよー!」


    「・・・・・・・・!!!」



無邪気にサラっとすごいこと言った・・
なんか急に怖くなって、
正直30%くらいは、
行くのやめようかと思った・・

こころの整理ができなくなって、
ちびっ子とどうやって別れたのか記憶にないのですが、
気がついたら、ひとりで火葬場のガードに来てました。


マニカルカー・ガードという、
北側にある火葬場。


このガードが視界に入った瞬間、
いろいろ難しく考えてたことが、
すべて、一瞬にして、ふっとびました。


なぜなら・・・


すっごい人だかりだったのです。
明らかに、列席者ではなく、見てるだけ。
炎すら、ほとんど見えないレベルに大混雑。


数秒前まで、
火葬場を興味本位で見るなんて不謹慎かも、とか、
人間の身体が目の前で燃えるなんて現実を受け入れられるだろうか、
とか、とか、考えて、考えて、
脳をフル回転しても、何も起こらなかった。


でも、実際来てみたら、この人だかり。
みんな、普通に見てる。むっちゃ見てる。

※時期や時間帯によって状況は異なります。



・・見たいなら、見ればいいじゃん。
  ただ、それだけのことだ。



ということで、見ることを決意したのですが、
人だかりを押しのけたり、順番待ちする感じではなかったので、
ガードにある階段っぽい所に上って、腰をかけました。


※火葬場の写真は無いのですが、
 似た構造のガードの写真があったので、
 参考画像として紹介します。



こんな感じで、砂浜みたいな所があって、
火葬場のガードでは、ここで儀式や火葬が行われます。

薪がいっぱい積まれていて、すすや煙が漂い、
異様な雰囲気であったことは否めません。


後ろに階段みたいのがありまして、
腰をかけることができます。



・・・気づいたら、3時間以上そこに居ました。



厳かに行われる儀式の様子を見ていたり、
人だかりが少なくなった時は、炎を間近で見たりもしました。


炎の上がる薪の中から、足だけが出てた。
でもそれを見ても、特に動揺とかすることはありませんでした。

ガンジス川の雄大な流れと、
青い空。鳥たちがいっぱい飛んでる。

そして、炎に包まれて、自然に帰っていく。

何の違和感もなく、ただ、そこに立っていました。



  ・・そうだよね・・
   みんな死ぬんだよね、いつか。
   ってかみんな、結局は単なる肉体なんだよね。



なんか、こんな感じでした。


立派な方が書いてらっしゃる旅行記などでは、
皆さん、崇高な見解を述べていらっしゃるので、
自分も何か、激しく感情が揺さぶられるのではないか、
などと思っていたのですが。

実際に行ってみると、なぜかすごく穏やかな気持ちで、
目の前の光景が、すーっと意識に溶け込んでくる感じでした。


なんでかは、まだよく分かりません。


ガンジス川が、美しすぎるからかもしれないな。



いつかまた、ガンジス川のことを書きたいと思っています。
本当に不思議な力に包まれた、美しきガンジス川。


新たな記事が書ける日が来ることを祈念して、


つづく、かも。

▼関連記事:インド女一人旅 ガンジス川で全身沐浴までの道
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インド中央郵便局で窓口の向こう側に入ってしまった

2012-01-08 17:30:57 | インド
今回のお話は、印パ国境越えの旅を締めくくる、
デリーで過ごした最後の日の出来事であります。


インド、ニューデリーにて。
一番大きい郵便局。



ポストオフィスで昔出会った
イケメンなるプレム氏と同伴出勤した所、

窓口の内側に連れてこられてしまったのです。



 ・・・ただ、日本のみんなに買ったお土産を、
    国際便で送りたかっただけなのに・・・



「ほら!まっすぐ堂々と歩いてついてこい!
 オレを見ろ、こうやって歩くんだぞ!」

とか何とか言われながら、ついてきたのがこちら。





 ・・・むっちゃお客さんいてるやん!!


「あの・・みんなこっち見てるんですけど・・」

「だからどうした!
 ほら、支店長のお出ましだぞ。オレの父のような存在だ。」


 ・・・・・・・!!!


と、次々と衝撃の展開が続きまして、
貫禄のあるインドのおじさまが登場。


挨拶をして、
炭酸飲料をご馳走になってしまいました。

そして恒例の、質問攻めへ。

「キミは日本でなにしてるの?
 それは国営?それとも民間企業?
 お給料は月いくらなの?

 ご家族は?ご兄弟は?お父さんの・・(略)」


などなど、お決まりのやりとり。
プレム氏が勝手にテキトーに答えてる。


すると突然、お客さんの暴動勃発!

ヒンディ語の怒鳴り声が館内をこだまする。
関係者総動員で、慣れた様子で対応してる。

その様子を撮ってみた。


※トラブル対応中


客商売も楽じゃないよね。



さて、
こんなに並んで暴動まで起こして、
皆さん対応してもらってる中・・・

大変申し訳ないのですが、窓口の内側で、
パッキング遠隔操作から必要書類記入まで、
プロの指導のもと、円滑に手続きしていただきました。


デリー中央郵便局の皆様、
本当に本当に、ありがとぉぉぉお!


プレム氏「ここでの用は済んだな。
     次行くぞ。

ゆえん 「え!
     あたしのバックパックは!?」

プレム氏「いいから、ついてこい!」



と、男らしく言われたのでついて行き、
バイクでデリーの街に繰り出した。



ゆえん 「あのぉ・・ところで・・
     あたしのバックパックは・・??」

プレム氏「オレを信じるか?」


  ・・・・・・・・・・


 「信じる・・・・」



と、言って、しばらくデリーを観光して、
再度、中央郵便局に連れてきてもらいました。


プレム氏は、何やら準備があると言って消えてしまい、
ひとりで窓口に向かうと、
先ほど良くしてくれた職員の方が、
デスクの下から、バックパックを取り出した。


中央郵便局で、預かっててくれたんですね・・
本当に本当に、ありがとう。

ちょっと、自分が自由すぎて怖いと思った・・




そして、プレム氏は、

「車の手配ができたぞ、
 荷物をここに入れて、乗り込め。」

とかいって、サクサク準備を進めてる。
運転席には、郵便局の職員の方が。


最後のライドはリキシャの予定だったけど、
お世話になることにしてしまいました。


空港に向かう車内で、皆さん優しすぎるので、
少し泣いてしまったのは、ナイショである。



かくして、印パ国境越えの旅は、
たまに不安に駆られたこともあったけど、
総じて、良いこと尽くめな旅となりましたとさ。

今でもみんなとスカイプでつながっていて、
良い時代に生まれたなーと実感してます。


また必ず行くからね!インド!!



つづく、かも。
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HAPPY HAPPY NEW YEAR 2012

2012-01-03 23:01:51 | ひとりごと
皆様、この度はあけましておめでとうございました。


一年の計は元旦にあり、といいますが、
今年は、なんと、、、



テーマを特に設けないことにしました!



初詣も行かず、おみくじも引かない。
こんなお正月は有史以来初となるのではないでしょうか。


・・そもそも、2011年の元旦の計とは何だったのか。
振り返ってみると、テーマに掲げていたのは「耐」。

まぁ厄年と大殺界のど真ん中ということで、
守りに入ることを前提としたテーマなわけですが、

今思えばこんな軟弱なテーマ、すぐに忘れて良かった。
おかげでいろんなチャンスに飛び乗って、
学び多き1年になりましたとさ。

今年もこんな感じで、
臨機応変進んで行けたら良いなと思います。


今年もよろしくお願いします。

※写真:絵師のおかんが書いてくれた龍の絵です
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