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一日一書 981 政治家 2・宮沢賢治

2016-09-06 21:55:26 | 一日一書

 

宮沢賢治「政治家」部分

 

半紙

 

 

昨日の詩の一部です。

 

暖かい世界にしたいものです。

 

 


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一日一書 980 政治家・宮沢賢治

2016-09-05 19:39:52 | 一日一書

 

宮沢賢治「政治家」全文

 

半紙

 

 

 

 

  政治家

あっちもこっちも
ひとさわぎおこして
いっぱい呑みたいやつらばかりだ
   羊歯の葉と雲
     世界はそんなにつめたく暗い
けれどもまもなく
さういふやつらは
ひとりで腐って
ひとりで雨に流される
あとはしんとした青い羊歯ばかり
そしてそれが人間の石灰紀であったと
どこかの透明な
地質学者が記録するであらう

 

 

宮沢賢治は、激しい人。

こんな詩も書いているのです。

 

 

 


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【特別エッセイ】落語の極北──追悼・柳家喜多八

2016-09-04 09:57:59 | 未発表エッセイ

【特別エッセイ】

落語の極北

 落語というのは孤独な芸だとつくづく思う。それは、生身の人間そのものと切っても切り離せない芸だからだ。そういう意味では、あらゆる芸術は孤独なものには違いないが、ひとりの噺家によって、すべてが表現され、完璧なまでに完結している落語という芸には、その孤独の酷薄さがひとしお身にしみて感じられる。
 もちろん、観客あっての落語である。常に観客の目に、耳にさらされつづけた喜多八師匠が、孤独であったとは思わない。むしろ、多くのコアなファンに囲まれ慕われた喜多八師匠は、幸せだったと思う。けれども、どこまでも落語の深奥を極めようとしていた師匠の日々の営みは、やはり言い尽くせない孤独の中で行われていたのだろう。
 その孤独の営みの中で、師匠は落語の極北を見ただろうか。そこに行くつく前に、天は師匠を召したのか。それはわからない。ぼくらはぼくらの孤独の中で、師匠の高座を反芻しながら、落語の極北を夢見るしかない。



 



この文章とカットは、「第14回弁天寄席」(2016.9.3開催)のパンフレットで柳家喜多八師匠の追悼特集をするというので、依頼されて書いたものです。


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一日一書 979 春と修羅 あるいは「シン・ゴジラ」 2・宮沢賢治

2016-09-02 09:15:13 | 一日一書

 

まばゆい気圏の海のそこに

(かなしみは青々ふかく)

Zypressenしづかにゆすれ

鳥はまた青空を截る

 

 

半紙

 

 

Zypressenとは糸杉のこと。


これをゴジラに置き換えたらどうだろう。



 

 

 

 

 


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一日一書 978 春と修羅 あるいは「シン・ゴジラ」・宮沢賢治

2016-09-01 10:48:49 | 一日一書

 

宮沢賢治「春と修」より

 

半紙

 

草地の黄金(きん)をすぎてくるもの

ことなくひとのかたちのもの

けらをまといおれを見るその農夫

ほうたうにおれが見えるのか

 

 

映画『シン・ゴジラ』の冒頭で

東京湾に漂流するプレジャーボートのキャビンに

おかれていたのが、宮沢賢治の「春と修羅」の初版復刻本でした。

それに気づいたのは、1回目を見たあと、知人からの情報でした。

そのこともあり、また、それ以外のことでも多くの気になることがあったので

もう一度見に行って、「春と修羅」が置かれていたこと

そして、それが初版の復刻本であることを確かめました。

ここには、そうとうな思い入れがあるはず。

 

「春と修羅」という詩集のどの詩を庵野監督は意識したのかと考えたときに

この部分しかないと、その知人も言ったような気がしましたし

ぼくもここだろうと強く思いました。

「ほんとうにおれが見えるのか?」

これは、「ゴジラ」自身の問いかけかもしれない、などと

思う日々です。

 

 

 

 

 

 

 

 


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