ベニスに死す
ルキノ・ビスコンティ監督
ダーク・ボガード
ビヨン・アンドルセン
シルバーナ・マンガーノ
半紙
かずら筆
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この映画題名シリーズは、「日本映画ベストテン」のつもりだったのですが
そんなのどこかへ行ってしまいました。
全映画の中で、たぶん、この映画が一番好きです。
何度見ても飽きません。
でも、封切りで見ることができなかった。
あっという間に打ち切られたからです。
その点では、「神々の深き欲望」と同じです。
ぼくが最初にこの映画を見たのは、封切りから半年以上もたったころ
新宿の東映だったと思います。
映写の最後、海岸のシーンで、古くなったフィルムが切れてしまい中断したのを
今でも鮮明に覚えています。
冒頭の海のシーンから流れるマーラーのアダージョが忘れられない印象を残します。
美少年役として抜擢されたビヨン・アンドルセンが当時話題になりましたが
この映画では、それよりも、ダーク・ボガードが圧倒的に素晴らしい。
老いてなお、あくことなき「美」への耽溺が、痛ましく悲しい。
パゾリーニの映画でもおなじみの
シルバーナ・マンガーノの妖艶さも素晴らしい。
消毒液の匂いが感じられるような、ペストの蔓延するベニスの街の映像も魅力的。
ビスコンティの映画は、たくさん見ましたが
やっぱり、これが最高です。