宮沢賢治「春と修」より
半紙
●
草地の黄金(きん)をすぎてくるもの
ことなくひとのかたちのもの
けらをまといおれを見るその農夫
ほうたうにおれが見えるのか
●
映画『シン・ゴジラ』の冒頭で
東京湾に漂流するプレジャーボートのキャビンに
おかれていたのが、宮沢賢治の「春と修羅」の初版復刻本でした。
それに気づいたのは、1回目を見たあと、知人からの情報でした。
そのこともあり、また、それ以外のことでも多くの気になることがあったので
もう一度見に行って、「春と修羅」が置かれていたこと
そして、それが初版の復刻本であることを確かめました。
ここには、そうとうな思い入れがあるはず。
「春と修羅」という詩集のどの詩を庵野監督は意識したのかと考えたときに
この部分しかないと、その知人も言ったような気がしましたし
ぼくもここだろうと強く思いました。
「ほんとうにおれが見えるのか?」
これは、「ゴジラ」自身の問いかけかもしれない、などと
思う日々です。