プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

「停電テロリズム」

2012-05-17 14:24:34 | 日記
 朝のTV番組で、古賀さんが、政府と関電は強行稼働の「プランA」、そして電力制限令や停電を脅しとした「プランB」、そして今後、(故意にまでは起こさなくとも、)火力発電所では良く起こる(事故やトラブル等での)停止の際、意図的に稼働を遅らせたり、修理期間を引き延ばし等による、(冗談でしょうが、元経産省の役人が言われると現実味を帯びる)「プランC」、つまり「停電テロ」を起こしかねないと、言われていました。

 一方関電は、需給見通しを一昨日、-14.9%から-5%まで引き下げました。電力融通や節電を積み増して、あとは大飯原発を稼働すれば良いだけのところまで数字を合わせてきました。しかし、原発依存度が高く、これだけ「電力不足」を強調してきた割には、関電の供給力増加への努力は「不足」してきたようです。(同番組によると)その一つに、「緊急電源」の設置があるそうです。これは、(過日にも書きましたが)日立製作所や三菱重工、川崎重工などの小型のガスタービン発電機を設置することです。

 同発電機は、1台で3万kWの発電能力を持っています。この発電機を(当然の努力ですが)東電はこの1年間で221万kW分増加させていますが、関電は、厳しい電力不足を喧伝しながら、たったの2万kWしか増やしていません。この発電機は約10ヶ月から1年もあれば、納入できるそうで、東電並に増やしていれば、最早電力は足りていたということです。リースもできるそうですから、(やる気があるなら)今からでも遅くはありませんが。

 (昼の番組でも)飯田さんが、揚水発電でまだ230万kWは上げられるし、(熱中症死亡など出ない)賢い節電で500万kWは出せる、電力融通も西日本で900万kW、東電も(4、5%)余っていますから100万kW、合計1,000万kWの余力がある、また停止している2ヶ所の火力発電所の発電能力が200万kWあり、さらにピーク時間は、(各電力会社で)少しづつ微妙にずれるので、やはり数百万kWは余裕があるということです。そしてこの1年間で(体力のある)企業は、自家発電機器を設置しており、それが全国で1,000万kWにも上るそうで、これでは、逆に大幅に需要が下がり、節電した分売り上げが落ちて電力会社は損をするのではないかと、「心配」になるほどです。兎に角、電力は不足するどころか、(勿論節電は必要ですが)余るようになる見通しのようです・・・

P.S. 大阪市の「エネルギー戦略会議」の主要メンバーである飯田さんによると、関電は「来週には、電力が足りるデータを出してくる」そうです。「停電も起こさない」と約束したとか。まあ、余りにも実態とかけ離れた嘘のデータだけ出していると、本当に信用されなくなりますから、尻を叩かれながらでも、きちんとした「需給データ」を出しておいた方が、関電の為になるのではないかとご忠告申し上げたいと思うのです・・・

P.S.2 電力業界は、「ピーク時に必要な電力が、10年度からの10年間は毎年0.2~1.5%のペースで伸びるという見通し」(引用は『朝日新聞』)のもと、需給の計算をしているようです。しかし、昨年事故が起き、需給への関心や節電の意識や努力も高まった今、ピーク時の電力需要はかなり減るのではないかと思います。原発稼働しないなら、停電しても良いとまで考えておられる方が7割近いとか。節電も当然協力されるでしょうし、電力会社のその「見通し」は、大きく外れる可能性が高いように思うのです・・・

P.S.3 復帰40年の記念式典での、野田首相と仲井真知事のお互い斜(はす)を向いての、(暑い沖縄での)寒々しい映像に、さすがに背筋に冷たいものが走りました。口を尖らせた野田さんの胸の内には、沖縄への差別の意識と痛みがあるようには思えませんでした。よくまあ、式典に出られたなあ、という感想です。それにしても、またまた沖縄へ「単身」乗り込まれた鳩山さんには、(正直、思わず身震いしてしまいましたが、相手側の)人々の心はどうでも良いと思っておられるのでしょうか?鳩山さん自身の(様々な)無念の気持ちは良く伝わってくるのですが、米軍基地に、そして本土に踏みつけられ続けてきた沖縄の人々の「無念」というものを、(沖縄を訪れること自体、)どうも分かっておられないように感じるのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月17日)

電気料金値上げの摩訶不思議

2012-05-16 12:44:41 | 日記
 「燃料費調整制度」によって、燃料費による上昇分は電気料金にほぼ自動的に転嫁されているわけですので、何故東電が燃料費高騰による値上げを強行するのか、不思議に思っておられる方は多いかと思います。つまり、値上げの理由は燃料費云々の話ではない、ということです。

 (朝の番組でもやっていましたが)東電は一般家庭向けに「時間別料金」制度なるものを提案していますが、これは夜の11時から朝の7時までは(私などはちょうど寝ている時間です)少し安くなるものの、7時から午後1時までと夕方5時から11時までは23円から30円に7円(約30%)アップ、ピーク時(午後1時から5時まで)はなんと23円から30円(約130%)もアップして約53円になっています。これではどのように工夫(節電)しても、電気料金値上げの影響から逃れることはできません。

 今回の値上げを検証している有識者会議は、「低い稼働率の設備は『減価償却費などの営業費用についても基本的に原価算入は認められない』と指摘」していますが、東電は、廃炉が決まっている福島第1原発の5、6号機や福島第2原発の1~4号機の「減価償却費や維持管理費」を値上げの原価に入れています。ちなみに、「減価償却費は計421億円、・・・修繕費は計709億円」、「さらに「第1原発1~4号機の冷却や汚染水の浄化などに使われる487億円も・・・値上げの原価に含まれている」そうです。(引用は『朝日新聞』)

 つまり、事故処理費用を利用者に負担させようということです。事故の賠償から事故処理費まで、そして今後は除染費用、廃炉の費用、使用済燃料の処理費用など、無限に加算し続ける費用全てを原価に加え、その上に利益率(東電の場合は3%)を上乗せして、電気料金を、その値上げを押し付けようとしているのです。原発は安くて安全だと豪語し続けてきた結果が、この未曾有の事故と国民の膨大な負担増大です。何とも言いようがありません・・・

P.S. (某週刊誌で)チェルノブイリを視察したペンクラブの会長浅田さんが、古い石棺に新たな「石棺」を覆い被せる様を、ロシアの入れ子人形「マトロリョーシカ」に喩えておられましたが、この「入れ子」は(コンクリートの寿命である)25年毎に、どんどん大きな「マトロリョーシカ」を造り続けなければなりません。そうしなければ、入ったヒビから放射性物質が漏出してしまいます。今回でさえ、EU等からの資金援助で新たな石棺が造られたそうですが、この永遠に肥大化する「石棺マトロリョーシカ」の「コスト」(犠牲)に、果たして人類はいつまで耐えられるのでしょうか?・・・

P.S.2 昨日の報道では、東電は事故の5年前に、福島第1原発には、14メートルの津波が押し寄せ、タービン建屋が浸水、電源を失うとの報告書を出していたそうです。まさに今回の事故を完璧に「想定」していたのです。(非常用電源やポンプを浸水から守る)僅かの対策がなされていたら、ここまで酷い事故にはなっていなかったことを思うと、これは明らかに「人災」なのであって、その過失は明らかに東電にあると言わざるを得ないのです・・・

P.S.3 そう思うにつけ、何故その東電を生き延びさせる為に、税金を入れ、その税金を帰させる為に電気料金値上げを受け入れなければならないのか、「摩訶不思議」な世界とでも言うのでしょうか?私のような愚かな人間には、どうしても理解ができないのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月16日)


沖縄「未復帰」40年

2012-05-15 13:16:25 | 日記
 本日が、沖縄が米国の統治から日本に復帰して40年目だと言います。しかし、私には、未だ沖縄は米国の統治下にあり、今尚米軍の支配下にあると感じます。沖縄は、日本国に復帰してはいないのです。

 過日のアンケート調査では、沖縄の米軍基地が減らないのは、本土(日本国)による差別だと考えている方が(沖縄県民の)50%にも上り(そうは思わない人も41%おられますが)、全国的には、差別だと考える方は29%(思わない人58%)だそうです。(差別する側とされる側の)意識の違いがはっきりと分かれているように感じます。

 私自身は、(Mさんの言われる)「差別と排除」の構造は、国内的にも国外的にも(当然)存在してると思います。どのような国でも、何処の国民でも、この「構造的な暴力」の中に生きているのだと。日本が主権を回復したと言われている1952年に、国内の米軍基地の9割は本土にあったそうです。33都道府県300以上の基地があり、基地面積は1,300平方km、駐留米軍は18万6千人。(参照は『朝日新聞』)これで主権を回復したと考えられる方はまずいないと思います。日本国に主権はなく、依然として米国の統治下にあったのです。その後、本土の米軍基地は返還され、或いは沖縄へと移されていきますが、米国の原爆(原発)が、基地の代わりに設置されていくのです。

(基地の現実を)沖縄から見れば、(当然)本土による沖縄への「差別」なのですが、「本土」からすれば実質日本国を統治しているのは依然米国なのであり、(勿論、米国に「同意」するとことでその「差別」に加担してはいるのですが、)日本国というより(統治国である)米国が、本土と沖縄を「差別化」し、統治・支配してきたと見ることができるのです。(哀しいかな)統治されている日本国に、その「差別化」を拒否する力も、選択肢もなかったと言わざるを得ません。

沖縄が「本土」に復帰しても、その「本土」が米国に実質支配されている以上、沖縄が「本土」に復帰したという実態はないのです。日本国全体が、米国の「経済特区」となり、沖縄はその「(前線)基地特区」となり、それ以外の「沖縄ポジション」には、「原発(原爆)特区」が設置されていったのです。これが戦後の、日本の(米国にとっての)「平和」な統治・支配の現実だったのです・・・

P.S. 1962年、米国下院軍事小委員会でキャラウェイ高等弁務官が、「沖縄は極東一の核武装基地」だと発言していますが、その現実は今尚変わってはいません。その代わりに、沖縄には「原発」がないのです。(統治能力のない日本国に、米軍基地の近くで原発事故など起こされては堪らないからです)沖縄への「差別」は、広く日本国全体に(「沖縄ポジション」として)、その(米国の)統治とともに流布しているのです。日本国自体が、米国との(力)関係の中では、(残念ながら戦前から)「差別」され「排除」されてきたのです・・・

P.S.2 勿論、「経済特区」としての役割を担い、経済的に繁栄し力を付けた日本が、この「差別と排除」という「構造的暴力」を、日本国より立場の弱い国々や地域へ振るってきたこともまた、「事実」です。これは、戦後といわず戦前から、この「文明」と呼ばれる、人権を重んじる「憲法」を持った野蛮な先進国に倣って、自国より力の弱い国々を、(戦前は軍事的、政治的に支配し、戦後は)経済的に搾取してきたのですから・・・

P.S.3 国会の事故調査委員会に参考人招致された勝俣会長、「事故対応の責任者は社長、現場の最高指揮官は発電所所長」、自らの責任については、「東電の一員として当然ある」と、余りにも「ご謙虚」な発言をされました。私はこれまで、「会長」というのは、会社の「最高責任者」だと思っていましたが、どうも私の常識が「非常識」だったようです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月15日)

今夏0.4%の電力余り試算

2012-05-14 15:38:31 | 日記
 (買い物帰りに本屋で某『週刊ポスト』を立ち読みしたところ、)昨年の夏の菅政権当時に、原発がゼロになった前提で電力需給の試算がなされ、中間的な数字で0.4%、最大で6%の電力が余ると報告書が出ていたそうです。

 また、今年度の原子力関連予算約5,800億円には、電力供給(増加)対策の予算も含まれていたとか。(同週刊誌によれば)例えば、日立の(小型)ガスタービン発電機に全予算をつぎ込んでいれば、約1,740万kWもの発電量を加算することができており、(万歩譲って電力が不足したとしても)ゆうに電力は足りる、どころか今夏は余裕で余っていたのです。

 余るのが分かっていたから、その予算を電力供給対策に使わなかったのか(分かりませんが)、どうもその巨額の予算は、やはり太陽光発電などの天下り先への補助金としてばら撒かれたとか、金が回ればまた新たな利権が生まれ、天下り先も増えるというもので、どうやっても、この「利」のシステムが変わる様相は見えてはきません・・・(ちなみに、橋下さん持論の統治システム-最初は小沢さんが言い出したそうですが-(このマスク)を変えたとしても、この「利」のシステムが変わることはありません・・・)

P.S. あと、東電をきちんと破綻処理すれば、債権や引当金等で約9兆円が捻出できるそうです。これまで安定的に高い金利で電力会社に貸し付けてきた金融機関は、債権を放棄して、その投資リスクを「自己責任」として引き受けるべきなのです。(高配当を受け続けてきた株主もそうです)破綻した東電を生き残らせようとするから、結局、電気使用者や国民に重い負担が掛かるのです。まあ、それがこの世の「利」のシステムだと言ってしまえば、身も蓋もありませんが・・・

P.S.2 過酷事故を起こした、米国からプレゼントされた「MarkⅠ」(「MarkⅡ」)ですが、地震や津波に弱いので、米国では西海岸には設置していないそうです。また、量産型の同原発は、格納容器も小さく、水素爆発の危険性も高かったとか。そんなことは最初から分かっていたことで、それでも尚、原爆(原発)が欲しかったのでしょう。(私も非常に愚かな人間ですが、)原爆を落とされた国が、その敵国から悦び勇んで原発(原爆)を受け取るとは・・・こうやって人間は、はどこまでも、またいつまでも、愚かなままで歴史を刻み続けるのでしょうねえ・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月14日)

節電と融通の一体化計画

2012-05-13 09:05:44 | 日記
 政府の電力需給検証委員会は、電力会社から一方的に出されたデータを元に、電力会社の主張する電力不足を認定し、だから節電が必要で、その節電で余った電力を「融通」するという計画、つまり、原発なしでも電力が足りるという事実を隠蔽する為に、節電と融通を一体のものとする「一体化」計画を打ち出しました。さすがに、「税と社会保障の一体改革」と銘打って、消費税増税を強行しようという政府に似つかわしいやり方です。

 需給の検証結果については、同委員会の委員からも、「この期に至って電力の(需給)状況が不明確」との意見や、その対応が「場当たり的」、「非常に後手に回った」との指摘もできており、稼働ありきの前提での需給の予測が、極めて恣意的な数字合わせとなってしまっているとの感を拭えません。(私自身)節電するにやぶさかではありませんが、(嘘でない)本当の需給に基づいた、適切な対応を行なうべきだと思うのです。

 正直、中部電力だけで100万kWの融通を既に発表していますが、(素人の私が考えても)少なくとも全国で数百万ワットのレベルで(節電しなくても)電力は余る、融通も可能だと思うのです。余る分、夜間の揚水発電に電力を回せば、昼間のピーク時に、一気に発電してこれまた数百万kWの電力供給が可能となり、関電の不足分はゆうに賄えると思います。それにしても、電力需要の基準となっているのが、「2010年並の猛暑になるとの想定」ですが、気象庁は今年も、10年並の猛暑と予測しているのでしょうか?(報道では聞いたことがありません)

 勿論、最悪の想定を積み重ねていって、最大の需要を見込み、それに対応することは非常に大切です。(当然、原発事故に関しても、同じだけの配慮を払うべきでした)しかし政府や電力会社のこれまでの対応を見ると、供給側の責任として、供給を最大限に行なおうとの姿勢が露感じられません。「ないない、できない」の一点張りです。やっと「融通」を150万kWほど追加するのに、「節電」とパックでないとできないとの言いようです。なんとも国民を馬鹿にした言い草ではありませんか!

 兎に角、節電しろと言うのなら、喜んで節電します。停電も甘受します。(これも嘘の言い分で)料金値上げが必要というなら、それも受け入れます。その代わり、1基の原発稼働は認められません。現実にシビア・アクシデントが起こり、その収束も叶わぬ今、それだけは、認めることはできないのです・・・

P.S. 燃料費の上下に応じて電気料金も上下するシステムは、「燃料費調整制度」というのだそうですが、この(燃料費上昇による)値上げは、最大1.5倍までということですが、昨年から一貫して上昇しており、(電力会社は数字を出していませんが)値上げ分はかなりカバーできているはずです。その上、値上げをしようというのは、稼働が止まり、「不良債権」と化した原発の顕在化を誤魔化そう、その穴埋めを使用者に押し付けようとの魂胆です。それは余りにも都合の良い話だと、思うのですが・・・

P.S.2 電気料金による収益に関して、例えば(この5年間での)東電では、「利益の9割は、電気販売量では4割しかない家庭用など」の規制部門で、「販売量の6割を占める産業用などの自由化部門は利益の1割」(引用は、『朝日新聞』)でしかないようです。単純計算ですが、産業用の十数倍の電気料金を家庭は支払っているということです。大量に使う大企業では、自由化で交渉によって料金を決めていますから、(電力会社は、企業秘密だとして公表していませんが)もっと単価は安いかもしれません。(橋下さんではりませんが)これは完全に(良質はありません)悪質な「ぼったくり」です。その上、値上げですか?規制部門の家庭用利用者や、値上げを吸収できない(企業全体の)9割の中小企業は、これでは本当に堪りません・・・(さらに節電ですから、踏んで蹴って、殴って叩く、ということですか・・・)

P.S.3 (荒川河口など一部の)東京湾では、「放射性セシウムの量が昨年夏から約7ヶ月間に(1㎡あたり約1万8200ベクレルから約2万7200ベクレルへ)1.5倍~1.7倍に増えている」、深さも30センチに達し、総量が1㎡あたり約11万7千ベクレルと、焼却灰並に濃縮されている地点もあるそうです。今後も数年は、少しづつ増加すると考えるべきで、海底魚をはじめ、同湾の魚介類の調査が必要だと思います・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月13日)

事業計画ですらない東電の「総合特別事業計画」

2012-05-11 13:27:21 | 日記
 東電が提出した「総合特別事業計画」を国は承認しました。事業計画などと言うには、到底及ばない代物です。確かに巨額の不良債権化した「原発」を今後どのようにしていくのか、という課題は非常に悩ましい問題ですが、ここまで酷い人災事故を起こした事業者に、今後も柏崎・刈羽原発の再稼働・運転という原発事業を継続させることを前提にした同事業計画を認めるなど、(本来なら、事業者としての資格が剥奪される事故を起こしたのですから)あり得べきことです。

 政府はこれまでの2兆4千億円の支援に、さらに1兆円を出資し、東電の延命を図るつもりですが、結局のところ、その入れた税金を、(東電は)値上げした電気料金の増加分で支払うという、(特に東電管内の企業や住民には)踏んだり蹴ったりの負担増です。勿論、電気を利用し、その恩恵に与っている以上、そうした負担も必要だとの考えには一理ありますが、それにしても(被害者の方々への東電や政府の冷たい対応を見るにつけ)、加害者である東電に対し、余りにも都合の良い、余りにも甘い「事業計画」ではないかと思うのです。

 ちなみに、家庭用電気料金の10%強の値上げでは、標準的な家庭で約月額500円のUPになるようですが、実は6月の料金は、昨年1月に比べて1kW時当たり2円以上の値上がりで、月間300㌔Wh使う家庭では723円上がっているのです。これは燃料費が上がると、自動的に電気料金が上がるシステムになっているからです。これでは、「燃料費上昇」とい名目で、2重に値上げをすることになります。また、中小企業への経営圧迫の危惧も消えません。このように、国全体への経済的影響が大き過ぎる値上げをするべきではないのではないでしょうか?それよりも、東電に会社更生法を適用し、社会的経済的な影響が最も少ない形での整理を進めていくべきだと思うのです・・・

P.S. 先月20日、和歌山県議会の議長等が、関電に対して「2004年から建設が中断している和歌山市の液化天然ガス火力発電所(出力370万kW)の早期建設を求め」ています。同発電所は、「2001年に着工されたが、需要の伸び悩みから04年に中断」しています。本来の日本の電力事情は、(構造的な)経済の衰退による需要減の基調だったのです。原発が止まって、やっと需給がちょうど良いバランスに入ってきた、というところでしょう。その為には、今夏は節電も必要になると思いますが、これを乗り切れば、危険な原発なしでも、電気は足りるということが証明できます。少なくとも、(不良債権問題は残りますが、)原発稼働なしでもやっていけるということなのです・・・
 
P.S.2 日本の(輸入価格の)5分の1の米国の天然ガス。過日やっと野田首相は、安い天然ガスの輸入に関して、米国と話し合いを行ないましたが、(原発稼働したいが故に)余りにも対応が(半年以上)遅いのです。輸出ポートの整備にも時間は掛かります。しかし、本当に必要なら、定期点検後の稼働が困難になってきた時点で、直ぐに米国と直談判し、液化天然ガスの「トモダチ緊急輸出」を依頼することはできたはずです。そうすれば、電力会社の燃料費による大幅赤字を回避することができたのではないかと思うのです。ここでも、(事故の対応同様)民主党政権の緊急時の対応の拙さ、危機管理のなさを感じます。このままでは、日本は早晩沈没してしまう、そのように思うのです・・・

P.S.3 事故直後、政府官邸が原子力委員会に命じて「最悪の事態」を想定させていましたが、同委員会は「原子炉の一つが制御不能になってメルトダウン状態になり、作業員が撤退して周囲の原子炉も制御不能に陥る連鎖が起きるシナリオ」を作成、「半径50キロ圏の住民約50万人を避難させる計画を立てていた」そうですが、「複数の専門家に想定を依頼した結果、避難指示は20キロでいいとの結論に至った」そうです。しかし事態は、その「最悪」のメルトダウンが1~3号機において生じ、水素爆発、そして莫大な量の放射性物質が放出されたのです。4号機プールもまた、(奇跡的なプールへの水の流入がなければ)首都圏にまで及ぶ避難を強いられる一歩手前だったのです。まさに「out of control」だったのです。政府にはまた、SPEEDIの放射性物質拡散状況のデータもありましたから、何故この50キロ圏内の避難計画を見送ったのか(私には理解できませんが)、その対応の失敗は、現在の(住民の被曝を加速させるような)恣意的な「帰還」対策にも繋がっており、余りにも酷い「人災」事故は、今尚続いているということです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月11日)

原発避難者の集団賠償交渉への道

2012-05-09 10:43:39 | 日記
「大阪府と兵庫県に非難している8世帯25人が・・・東電に総額約2億5,400万円の損害賠償を求め、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)に和解の仲介を申し立て」ました。(以下、引用は『朝日新聞』)そのうち、5世帯18人は自主避難された方々です。この「申立」が上手く合意するかどうかは分かりませんが、被害を受けた住民の方々が、自ら積極的に賠償を求める動きは大切です。(ちなみに、同ADRへの現時点での申立件数2,151件中、和解成立は103件と、合意は約20件に1件の割合です)

 (過日書きました)沖縄への避難者の方々も「福島原発事故被害弁護団」を結成、東京から自腹で駆けつけた馬奈木弁護士は、「加害者である東京電力が、被害区域を勝手に線引きしている。そんな線引きに従わず、自分たちで被害の賠償を求めていくべき・・・声を上げていく」べきだと激励されています。避難されている方々が一番感じておられることと思いますが、東電は何もしてくれません。政府は賠償責任を(勿論加害者として当然責任はありますが)全面的に東電に押し付け、ADRを仲介役にして、国策として推進してきた原発の事故の賠償責任から完全に逃げています。

 あまっさえ政府は、戻れるはずもない高線量(年間20mSV)の地域に住民を帰還させ、さらなる被曝をさせようとしています。賠償とその責任から逃れる為です。某友人Oさんは、(加害者である)国や東電は、(被害者である方々を)「困らせて困られて困らせてから」交渉するのが彼等の常套手段であると言われます。引き伸ばし、疲れ果てさせ、最早、グーの音も出ないようになってから、(或いは亡くなるのを待って)僅かばかりの補償金で手を打たせる戦略なのです。そうやって水俣訴訟も半世紀にわたって続いてきたのです。(最後は期限切れでサヨウナラするつもりのようです)

 自主避難者はたった1回、8万円が支給されるだけです。その他の避難者にも、月額10万円(つまり生活費)が、線量に応じて半年から数年単位で支給されるだけで、それらは何とか生活を凌いでいくだけに消えてしまいます。それは被害に対する「賠償」ではありません。土地や家、仕事やコミュニティーを根こそぎ奪われ、肉体的、精神的、経済的苦痛に耐えてきたのです。家族が今尚バラバラになっている方々(或いは離婚の憂き目にあわれた方)、避難による移動過労や病状悪化で亡くなられた方々もおられます。その「賠償」が必要なのです。

 その為には、やはり一人では困難が多すぎます。できるだけ早く、避難者の方々が手を繋ぎ、共に声を上げて賠償を求めていく必要があるのです。そうして初めて、サポートする人間も出てきます。支援の輪が広がるのです。全国的な連携も可能になるでしょうし、(困難な道ですが)集団訴訟ということにも繋がることでしょう。やはりその為には、(厳しいようですが)被害者の方々の「声」が、最も必要となってくるのです・・・

P.S. 「お金がほしいのではない。・・・続くと思った生活を失ったと、声に出して言わなければ・・・」避難者の方の「声」です。「距離などでの線引きには納得できない。どんどん取り残されていく」これも避難者の方の「声」です。そうした「声」を私たちがどう受け止めるか、問われているように思います・・・

P.S.2 (過日の児玉先生の正確な発言ですが、)内科学、分子生物学専門の同教授によると、「線量の問題というよりも、(放射線によって)遺伝子の切れる場所がどこかということ」、つまり「線量が低くても、DNAのどこが切れるかによって深刻な健康障害が発生する」ということのようです。低線量なら構わないという、科学的な根拠はないようです・・・

P.S.3 茨城県の(霞ヶ浦の)天然ウナギからキロ当たり180ベクレルのセシウムが検出されたとの報道がありました。那珂川水系でも110ベクレルのウナギが検出されています。只でさえ2倍近くなっているウナギですが、こうなると食べたくても食べられない状況です。同地域のドジョウや他の淡水魚はどうなのでしょうか?検査してきちんとデータを公表して戴きたいと思います・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月9日)

「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」

2012-05-07 11:19:44 | 日記
 日本の原発50基が全て止まりました。しかし、危険は未だ去ってはいません。昨日は雷による被害が出ていましたが、落雷が、止まった原発の主電源である外部送電線に落ちたらと、嫌な想像をしてしまいました。もっと最悪のシナリオを、政府官邸は事故当時に描いていました。「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」です。政府が内密に原子力委員会の近藤氏に提出させたものです。公表されてはいませんが、(『週刊文春』に掲載されていたものを)ご紹介します。

「4号機プールにおける燃料破壊に続くコア・コンクリート相互作用が発生して放射性物質の放出が始まる」、「50キロの範囲では、速やかに避難が行なわれるべき」、「その外側の70キロまでの範囲では・・・屋内退避・・・110キロの範囲においては・・・土壌汚染レベルが高いため、移転を求めるべき地域が生じる」、「年間線量が自然放射線レベルを大幅に超えることを理由にした移転希望の受け入れは200キロ圏が対象」とあります。

この4号機の使用済燃料プールは、事故後応急的な耐震補強はされましたが、(広瀬さんの言われるように)まともな工事ができたはずもなく、もう一度大きな地震が来れば、容易に崩壊する危険性があります。実際、東関東大地震の震源域の北側では、十勝沖地震(M8級)、明治三陸地震(M8.2)、昭和三陸地震(M8級)と立て続けに起こっていますが、南側の房総沖では、約300年以上も大地震が起こっていない(参照は『週刊現代』)そうです。まさに、福島第1、第2原発を直撃する可能性のあるメガ・クウェイクが、いつ発生するかも分からないのです。

もし4号機の燃料プールが崩壊したら、「他の号機のプールにおいても燃料破壊に続いてコア・コンクリート相互作用が発生して大量の放射性物質の放出が始ま」り、「強制移転を求めるべき地域が170キロ以遠にも生じる」、「移転措置の認定範囲は250キロ以遠にも発生する可能性がある」、つまり首都圏3,000万人が避難しなければならない事態となるわけです。想像するにも恐ろしい話ですが、この政府の想定した「最悪のシナリオ」、(科学的知見から冷静に判断しても)十分に起こる可能性があるのです・・・

P.S. 武田先生が、(低線量被曝には)「閾値がないこと、直線近似できること、発がん性は若い人が、ガンになる時期は年配者が危険なこと」、「10才の時に被曝した人が30才までにガンになる確率は、30才の人が50才でガンになる確率の実に5倍」、「補償問題で裁判になる」が、「かなり厳しい裁判になる」、「なにしろそのお子さんのガンが福島からの被曝によるものという証明が難しい」、「こんなことを防ぐには線量の高いところの子どもを戦時中と同じように疎開させればすむこと」、「原子力の年間予算4500億円でおつりが来ます」と(ブログで)書かれています。何故、「疎開」(避難)させないのか?!私には今尚理解できない話なのです・・・

P.S.2 沖縄大学の矢カ崎先生や東大の児玉先生が言われていますが、放射線は分子を破壊するようです。人間には修復能力がありますが、切断されたDNAの影響が遺伝的に残ってしまう。癌化したり、奇形を生じたりする危険性があるということです。それは低線量だから大丈夫ということではありません。高線量だとそれだけ放出される放射線が多いわけですから、悪影響を受ける確率が高くなるということです。(アスベスト禍などと同様)運が悪ければ、少しの被曝(曝露)でも病気を発症してしまう、それが「閾値」がない、とういことなのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月7日)

避難者の受け入れ体制を!

2012-05-05 10:59:45 | 日記
 フクシマ原発事故後、沖縄へ避難された方は(4月5日現在で)970人(内、700人が福島から)だそうです。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)福島第1原発から1,700キロ離れていることは勿論、原発が1基もない、というのが大きな理由だそうです。皮肉なものです。私は、米軍基地があるから、沖縄には原発がないのだと考えてきましたから、というよりも、本来、基地も原発も「差別」(しゃべつ)できない危険な代物であって、(しかしこの「利」の世界で生き残る為には必要な物を)弱い立場の地域(「沖縄ポジション」)に押し付けられてきたと思っているのです。

 その沖縄と県民の方々は、その避難者の方々を、「ゆいまーる」(助け合いの精神)で受け入れられているそうです。(記事によると、)自治体の支援策として、「被災地からの避難者はアパート代が2年間無料」、モノレール(電車)やごみ袋も無料、「買い物は5%引き」だそうです。その他にも、避難民の方にはタクシー代を安くしたり、お弁当を支給したり、仕事を融通したりと、住民全体で受け入れている、そのような感じを受けました。(日本一貧しいと言っては失礼ですが、)優しさ、温かさを感じる、「日本の絆」を(皮肉なしに)感じます。

 県や松山市も、県営住宅(半年延長)や市営住宅(1年延長)を避難者に対して貸してはいますが、それだけに留まっています。避難者への賠償も、結局のところ、月10万が基本で、それも、線量の高いところでも2年、原発周辺でも5年程度の賠償しかありません。今後、土地や家などの賠償がどうなるのかはわかりませんが、今後の生活ということを考えると、避難者の方々は非常に厳しい生活を、今後強いられることは間違いありません。

 そうした中、せめて沖縄並の受け入れ体制を、全国の自治体に取って頂きたいと思うのです。新たな住民の増加は、マンパワーの増大であり、技術や資格を持った方々を積極的に採用し、また、1次産業に従事して貰える為の支援体制を組んで戴き、是非とも、地域の活性化の起爆剤として、避難者の方々と一緒に、このピンチをチャンスに活かすことはできないだろうかと思うのです。雇用を創出することは、現在の経済状況と、構造的な不況に鑑みると困難なことではありますが、人がいれば、(私などはなかなか思い付かないのですが)何かできるのではないかと(少々楽観的に)思うのです。

 この自治体レベルの受け入れは、はっきり言って政府の方針、つまり避難すべき地域の住民を避難させず、帰還させてはいけない地域の住民に帰還を促す考えとは全く違います。限界集落を抱える多くの自治体も、本来ならこうした避難者の受け入れに対して、声を上げるべきなのですが、やはりここでも、政府に楯突くことになる「避難者」の受け入れを、大っぴらにやることは憚られるということなのでしょうか?いずれにしても、こうした「ゆいまーる」(四国で言えば「お接待」)の試みが、少しでも全国の自治体に広がっていけばと願うのです・・・

P.S. 昨日で、1週間の座り込みが終わりました。(良き出会いやお声掛けの)収穫もあり、また課題も痛感し、この日本社会のあり様を肌で実感しました。言葉にするのも正直、辛く、これ以上書きませんが、前途は余り明るくはない、というところでしょうか・・・

P.S.2 私同様、1週間座られたOさんが、消費者(電力使用者)としての「統一戦線」を組んで、四電と交渉したらどうかと言われます。原発を稼働しない代わりに、電気料金を1.5倍にすると言います。(言っていることは橋下さんと同じですが、中身は全く正反対です)これぐらいの負担で、危険な原発を稼働せずに済むなら、私はそれでも良いと思います。無駄に争うことなく、それぞれが「利」を得る、良い妥協案だと。でも、その「統一戦線」を作るのが、如何に困難か、それが今回の座り込みと散らし配りで感じたことなのです。やはり、一緒にチラシを配って下さった方は、「絶望感」を感じたと吐露されました。正直、私もかなり同感だったのです・・・

P.S.3 「再稼働しなければ、計画停電の計画をたてなければならない」と、さらに脅しを掛けているのは、東電のスポークスマンに天下った枝野経産大臣。電力供給責任を放棄した関電を叱咤するどころか、一緒になって電力不足、原発再稼働を大合唱しているとは。今度は東電を国有化して、実質東電の「社長」になろうということかもしれません・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月5日)

自由民主主義(共産主義)の不都合な真実

2012-05-04 10:32:23 | 日記
 昨日、憲法は為政者が支配する為に作ったルールだと書きました。そして、そのルールに則って統治を行なうシステムが、「(自由)民主主義」であったり、「社会主義」或いは「共産主義」であってり、「(開発)独裁主義」であったりします。「主義」には、それぞれ独自の主張や理想がありますが、現実の制度としてのそれは、まがうことなく統治の為の「仮面」、「統治システム」であって、その「主義」をいくら突き詰めていっても、理想のユートピアを実現することは(時代の一時期に、非常に狭い地域であり得たとしても)現実的には不可能です。

 その最大の理由は、現実の制度、その「統治システム」を確固たるものとすればするほど、統治、つまり支配が完全なものとなるからです。「自由民主主義」の「自由」は奪われ、「民主」は消失します。或いは、「共産主義」の「共産」は嘘偽りの妄語と成り果てるのです。では、例えば「自由民主主義」を国家の制度とする日本において、誰が「民主」の「民」であって、その「自由」がどのように実現しているのか、考えてみて下さい。

 某友人Mさんは(その著書の中でも書かれていますが)、例えば先進国における「自由」が実現する為には、(共時的に)中進国や後進国の自由が奪われているという、「差別と排除」の「構造的な暴力」が存在していると言われます。分かり易く言えば、誰かの自由の為に、誰かの自由を奪っている「構造」です。もっと理解し易い例は、ギリシャの「(直接)民主主義」です。ギリシャの「市民」と言われる人々が政治(支配・統治)を行なうのに、「自由」を奪われた多くの奴隷が存在し、そのシステムを下支えすることを強いられていたわけです。僅かな「市民」の自由の為に、多大な「奴隷」とされたの人々の「自由」が必要だったのです。(ちなみに、ギリシャにおける「市民」というのは、一部の裕福な権力者を指します)

 このシステムは、「ネズミ講」システムとなっており、ピラミッド構造を呈しています。このピラミッド構造が崩れると、或いは下支えする「ネズミ」(奴隷)が無限に増え続けない限り、早晩破綻してしまうシステムなのです。現在の(共産主義でも同じですが)「自由民主主義」に置き換えてみると、「支配層」-「中間-「被支配層」というピラミッド構造(ヒエラルキー)が存在します。しかし、(ギリシャにはない)この所謂「中間層」という「支配(被支配)層」を形成する為には、その「自由」を保障する為には、世界の何処かの国や地域の民族、民衆の冨を奪い、自由を取り上げるという、世界的な「ネズミ講」を流布しなければならないのです。

その為に、所謂「大航海時代」以降、西欧の国々が挙(こぞ)って(「野蛮」と言われる)国々を侵略し、その冨と資源を略奪し、「植民地主義」としてそこに住む人々を強制労働、搾取し続けてきたわけです。その冨と、その冨によって可能となった「自由」を(ほんの僅か)分け与えることで、「自由民主主義国家」(或いは「共産主義国家」)は「自由」或いは「平等」という偽りの仮面(統治)を被ってきたのです。しかしその「ネズミ講」は(例えば日本の年金システムのように)その構造上長続きしませんから、いずれ崩壊せざるを得ないのです。その破綻の残骸が、現在の覇権や繁栄を謳歌してきた(スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス等の)EUや米国、そして日本の衰退として現れてきているのです。(今度は中国やインドの番のようです)

 Mさんの言によれば、如何なる「文明」の国々(先進国)でも、その黎明期においては「開発独裁」の形態を摂るとのことです。今の中国やインドを見れば、「人権」もへったくれもないことが良く分かります。実は、その過程を、どの「民主主義国家」も「共産主義国家」も経てきているのです。そうしなければ、国力を増し、他国を(軍事的、経済的に)侵略することが叶わないからです。国内での(内戦の後)ヒエラルキーを構築して初めて、(軍事的にも、経済的にも)他国へ進出(侵略)することが可能となるからです。

 多くの「文明の国」である先進国が、如何に奇麗事を並べようと、その「憲法」に自由・平等・平和を掲げようと、彼等はその理念を他国を侵略する際には全て反故にしてきたのです。いえ、「開発独裁」の時期においては、国内でさえ多くの人々の人権を奪ってきたのです。戦後の原爆症の補償問題に始まって、水俣をはじめとする「公害」や、エイズ訴訟等の薬害問題、交通事故死や自殺等、様々な内戦が起こり続けてきたわけですが、これはまさに、この「民主主義」或いは「共産主義」という統治システムが、(Mさんの言われる)「差別と排除」という「構造的暴力」を、(自由、平等と言いながら)ピラミッド型のヒエラルキーという「不都合な真実」を内包しているからなのです・・・

P.S. そう考えると、「平和」というものの胡散臭さが分かってきます。何処かの国が平和である時、何処かの国や地域の「平和」が消失しているのです。逆に言えば、何処かの国の「平和」を維持する為には、何処かの国や地域の「平和」を奪えば良いのです。実際そのように、最も力ある国々では(勿論、様々な内戦は現存していますが)、戦争は行なわれません。都合の良い場所(国)で、都合の良い時期に「戦争」が行なわれてきたのです。そうして、経済的な「利」も得てきたのが、現実の「戦争」だったということなのです・・・

P.S.2 高速ツワーバスの事故により、(ヒエラルキーの最も最下層の)運転手が逮捕され、またその次に下層のバス会社に捜査の手が入りました。当然、犯した犯罪の罪を運転手が問われるのは当然ですし、その運転手を(日雇いとして)過酷な状態で働かせ続けたバス会社には、言うまでもなく過失があります。しかし、切られる尻尾はそこまでのようです。バス会社にツワーを委託している旅行会社には、お咎めが及ぶことはないようです。ましてや、それを管轄する国土交通省のお役人がお縄になることもありません。そして何より、この「大型戦車」を造ったメーカーの製造者責任が問われることもないのです。この「大型戦車」が一般道で歩行者の列に突っ込めば、一瞬して多くの人が轢き殺されてしまうことが分かっているにも拘わらずです・・・

P.S.3 この激烈なダンピング競争、2002年の小泉内閣の時に、道路運送法改正による規制緩和から始まったそうです。国民に痛みを押し付けるプロフェッショナルの小泉さんならではの「統治」の結果なのでしょう。それを(熱心に)真似しているのが、橋下さんのようですが。また、2007年には、国交省が「改善」と称して、当時組合との規定で500キロだった運行距離を670キロに基準を改定しています。(原発事故時の、原発労働者の被曝線量や食品等の暫定基準、或いはガレキの基準等の改定同様です。)まさにこれは、「人災」事故なのです。しかしながら、官僚も政治かも、誰も責任はお取りになることはないでしょう。そして何より、(この世界の「利」のシステム、そのヒエラルキーの最上位に位置する)自動車のメーカーの責任問題が問われることは、一切ないということなのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月4日)