プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

原発避難者の集団賠償交渉への道

2012-05-09 10:43:39 | 日記
「大阪府と兵庫県に非難している8世帯25人が・・・東電に総額約2億5,400万円の損害賠償を求め、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)に和解の仲介を申し立て」ました。(以下、引用は『朝日新聞』)そのうち、5世帯18人は自主避難された方々です。この「申立」が上手く合意するかどうかは分かりませんが、被害を受けた住民の方々が、自ら積極的に賠償を求める動きは大切です。(ちなみに、同ADRへの現時点での申立件数2,151件中、和解成立は103件と、合意は約20件に1件の割合です)

 (過日書きました)沖縄への避難者の方々も「福島原発事故被害弁護団」を結成、東京から自腹で駆けつけた馬奈木弁護士は、「加害者である東京電力が、被害区域を勝手に線引きしている。そんな線引きに従わず、自分たちで被害の賠償を求めていくべき・・・声を上げていく」べきだと激励されています。避難されている方々が一番感じておられることと思いますが、東電は何もしてくれません。政府は賠償責任を(勿論加害者として当然責任はありますが)全面的に東電に押し付け、ADRを仲介役にして、国策として推進してきた原発の事故の賠償責任から完全に逃げています。

 あまっさえ政府は、戻れるはずもない高線量(年間20mSV)の地域に住民を帰還させ、さらなる被曝をさせようとしています。賠償とその責任から逃れる為です。某友人Oさんは、(加害者である)国や東電は、(被害者である方々を)「困らせて困られて困らせてから」交渉するのが彼等の常套手段であると言われます。引き伸ばし、疲れ果てさせ、最早、グーの音も出ないようになってから、(或いは亡くなるのを待って)僅かばかりの補償金で手を打たせる戦略なのです。そうやって水俣訴訟も半世紀にわたって続いてきたのです。(最後は期限切れでサヨウナラするつもりのようです)

 自主避難者はたった1回、8万円が支給されるだけです。その他の避難者にも、月額10万円(つまり生活費)が、線量に応じて半年から数年単位で支給されるだけで、それらは何とか生活を凌いでいくだけに消えてしまいます。それは被害に対する「賠償」ではありません。土地や家、仕事やコミュニティーを根こそぎ奪われ、肉体的、精神的、経済的苦痛に耐えてきたのです。家族が今尚バラバラになっている方々(或いは離婚の憂き目にあわれた方)、避難による移動過労や病状悪化で亡くなられた方々もおられます。その「賠償」が必要なのです。

 その為には、やはり一人では困難が多すぎます。できるだけ早く、避難者の方々が手を繋ぎ、共に声を上げて賠償を求めていく必要があるのです。そうして初めて、サポートする人間も出てきます。支援の輪が広がるのです。全国的な連携も可能になるでしょうし、(困難な道ですが)集団訴訟ということにも繋がることでしょう。やはりその為には、(厳しいようですが)被害者の方々の「声」が、最も必要となってくるのです・・・

P.S. 「お金がほしいのではない。・・・続くと思った生活を失ったと、声に出して言わなければ・・・」避難者の方の「声」です。「距離などでの線引きには納得できない。どんどん取り残されていく」これも避難者の方の「声」です。そうした「声」を私たちがどう受け止めるか、問われているように思います・・・

P.S.2 (過日の児玉先生の正確な発言ですが、)内科学、分子生物学専門の同教授によると、「線量の問題というよりも、(放射線によって)遺伝子の切れる場所がどこかということ」、つまり「線量が低くても、DNAのどこが切れるかによって深刻な健康障害が発生する」ということのようです。低線量なら構わないという、科学的な根拠はないようです・・・

P.S.3 茨城県の(霞ヶ浦の)天然ウナギからキロ当たり180ベクレルのセシウムが検出されたとの報道がありました。那珂川水系でも110ベクレルのウナギが検出されています。只でさえ2倍近くなっているウナギですが、こうなると食べたくても食べられない状況です。同地域のドジョウや他の淡水魚はどうなのでしょうか?検査してきちんとデータを公表して戴きたいと思います・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月9日)