プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

電気料金値上げの摩訶不思議

2012-05-16 12:44:41 | 日記
 「燃料費調整制度」によって、燃料費による上昇分は電気料金にほぼ自動的に転嫁されているわけですので、何故東電が燃料費高騰による値上げを強行するのか、不思議に思っておられる方は多いかと思います。つまり、値上げの理由は燃料費云々の話ではない、ということです。

 (朝の番組でもやっていましたが)東電は一般家庭向けに「時間別料金」制度なるものを提案していますが、これは夜の11時から朝の7時までは(私などはちょうど寝ている時間です)少し安くなるものの、7時から午後1時までと夕方5時から11時までは23円から30円に7円(約30%)アップ、ピーク時(午後1時から5時まで)はなんと23円から30円(約130%)もアップして約53円になっています。これではどのように工夫(節電)しても、電気料金値上げの影響から逃れることはできません。

 今回の値上げを検証している有識者会議は、「低い稼働率の設備は『減価償却費などの営業費用についても基本的に原価算入は認められない』と指摘」していますが、東電は、廃炉が決まっている福島第1原発の5、6号機や福島第2原発の1~4号機の「減価償却費や維持管理費」を値上げの原価に入れています。ちなみに、「減価償却費は計421億円、・・・修繕費は計709億円」、「さらに「第1原発1~4号機の冷却や汚染水の浄化などに使われる487億円も・・・値上げの原価に含まれている」そうです。(引用は『朝日新聞』)

 つまり、事故処理費用を利用者に負担させようということです。事故の賠償から事故処理費まで、そして今後は除染費用、廃炉の費用、使用済燃料の処理費用など、無限に加算し続ける費用全てを原価に加え、その上に利益率(東電の場合は3%)を上乗せして、電気料金を、その値上げを押し付けようとしているのです。原発は安くて安全だと豪語し続けてきた結果が、この未曾有の事故と国民の膨大な負担増大です。何とも言いようがありません・・・

P.S. (某週刊誌で)チェルノブイリを視察したペンクラブの会長浅田さんが、古い石棺に新たな「石棺」を覆い被せる様を、ロシアの入れ子人形「マトロリョーシカ」に喩えておられましたが、この「入れ子」は(コンクリートの寿命である)25年毎に、どんどん大きな「マトロリョーシカ」を造り続けなければなりません。そうしなければ、入ったヒビから放射性物質が漏出してしまいます。今回でさえ、EU等からの資金援助で新たな石棺が造られたそうですが、この永遠に肥大化する「石棺マトロリョーシカ」の「コスト」(犠牲)に、果たして人類はいつまで耐えられるのでしょうか?・・・

P.S.2 昨日の報道では、東電は事故の5年前に、福島第1原発には、14メートルの津波が押し寄せ、タービン建屋が浸水、電源を失うとの報告書を出していたそうです。まさに今回の事故を完璧に「想定」していたのです。(非常用電源やポンプを浸水から守る)僅かの対策がなされていたら、ここまで酷い事故にはなっていなかったことを思うと、これは明らかに「人災」なのであって、その過失は明らかに東電にあると言わざるを得ないのです・・・

P.S.3 そう思うにつけ、何故その東電を生き延びさせる為に、税金を入れ、その税金を帰させる為に電気料金値上げを受け入れなければならないのか、「摩訶不思議」な世界とでも言うのでしょうか?私のような愚かな人間には、どうしても理解ができないのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年5月16日)