アスベストに起因する疾患を患い孤立する患者の支援を続けてきた「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」、その活動からアスベスト被害の実態を見ていきたいと思います。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)
(石綿特有のがん)中皮腫と診断された男性は2年後に労災申請をしますが、(当時働いていた会社は既になく)石綿に関わる仕事に従事していた「客観的証拠がない」として認定されませんでした。三菱重工長崎造船所の孫請け業者で断熱用の石綿材の取り付け作業をしていたのは50年以上前のこと、仕事を発注した下請け会社も現存しない状況では、個人で「証拠」を見つけるのは至難の業です。
男性は同会に支援を求め、得られた証言や証拠資料を元に認定されました。男性は認定6日後に亡くなり、その息子さんは「一旦役所からダメだと言われれば、普通の人だったら諦めてしまう」、「もっと早く労災認定して欲しかった」と言われます。息子さんの言われるように、殆どの人が諦めるでしょうし、支援がなければ認定も難しかったと思います。(水俣病でもそうですが)何十年も前の客観的な証拠を患者が示さなければいけない認定制度では、端から認定しないと言っているようなものです。
中国地方の配管工事会社で働いていた男性(死亡)は、石綿を含んだ配管の加工や補修に従事していました。肺がんで亡くなられるのですが、地元の病院の診断では、闘病中も死亡時も、医師から石綿について全く触れられなかったそうです。娘さんが同会に相談、専門医を紹介され、(それまでに撮影されていた)胸部画像を調べると、石綿を吸い込んだことを示す「胸膜プラーク」が見つかり、死後1年半後に労災が認定されたとのことです。病因に疑問を抱いた遺族が、同会に相談したからこうした結果となったわけですが、娘さんは、「制度はあるが・・・被害者をすくい上げる仕組みになっていない。泣き寝入りする人が多いのではないか」と指摘しています。
発症者の8割が修業中に石綿を吸ったことが原因だとされる中皮腫でさえ、戦後から12年度までの死亡者約2万人のうち、労災が認定されたのは約3割(6,000人余り)に過ぎません。さらに、石綿に起因する肺がんで死亡した約4万人の内、補償、或いは救済された方は、僅か約14%です。喫煙者であれば(勿論、癌になるリスクは5倍になるといわれていますから)喫煙が病因だとされてしまうでしょうし、石綿に関して知識もなく意識の低い医師であれば、「胸膜プラーク」も容易に見落としてしまうことと思います。(アスベスト関連の仕事に従事していた方だけでなく)そのご家族や工場周辺の住民など、実はアスベストによる病気に掛かっている、或いはそれが原因で亡くなっている方は非常に多いと思うのです。少しでも疑念がある場合は、同会など支援団体に是非ご相談されて下さい。
P.S. ご自身旦那様を石綿による肺がんで亡くされた「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の会長の古川さんは「国内の石綿使用のピークは1970~80年、建設労働者の被害が多いが(*明らかになっているものという意味だと思います)様々な産業で使われていたため、思いもよらない職業や業種に被害は眠っている。一人で悩まず相談して欲しい」と話されています。
<連絡先>
関西支部:06-6943-1528
関東支部:03-3637-5052
東海支部:052-837-7420
P.S.2 同会では、上記以外にも今年4月に北陸支部が、秋には14番目の東北支部が発足するとのことです。同会が支部を展開するのは、若い頃に都市部で働いた際に石綿を吸い込み、老後に故郷に帰って発症する方の救済が目的だそうです。また、医療用ゴム手袋の再生作業や麻袋リサイクル業など、世間では知られていない産業で従事していた方や、その会社や工場周辺の住民の方などが発症した被害をすくい上げる地道な活動をされています。
P.S.3 アスベストはあらゆる産業、あらゆる商品に使われてきました。例えばパン屋さんで焼けたパンを取り出す耐熱の(鍋つかみのような)手袋にもアスベストが使われていました。使用し続けるうちに、手袋が破れアスベストが少しづつ飛散し吸引した場合、数十年後、或いは40年50年経って中皮腫や肺がんを発症する可能性もあります。(特に中皮腫は「閾値」がありませんから)短期間アルバイトして吸引していたり、働いていた方の衣服についたアスベストを家族が吸引したり、パン屋周辺の住民の方が吸ってしまう可能性は十分にあります。まさかパン屋さんの隣に住んでいるから肺がんになったなどと考える方は殆どいないのではないでしょうか?でも、吸引していれば、「胸膜プラーク」があるはずです。医者がそんなことを勘案してくれるとは到底思えません。少しでも気になることがあれば、同会などに相談して専門医を紹介してもらうことが重要だと思います。
by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年7月12日)
(石綿特有のがん)中皮腫と診断された男性は2年後に労災申請をしますが、(当時働いていた会社は既になく)石綿に関わる仕事に従事していた「客観的証拠がない」として認定されませんでした。三菱重工長崎造船所の孫請け業者で断熱用の石綿材の取り付け作業をしていたのは50年以上前のこと、仕事を発注した下請け会社も現存しない状況では、個人で「証拠」を見つけるのは至難の業です。
男性は同会に支援を求め、得られた証言や証拠資料を元に認定されました。男性は認定6日後に亡くなり、その息子さんは「一旦役所からダメだと言われれば、普通の人だったら諦めてしまう」、「もっと早く労災認定して欲しかった」と言われます。息子さんの言われるように、殆どの人が諦めるでしょうし、支援がなければ認定も難しかったと思います。(水俣病でもそうですが)何十年も前の客観的な証拠を患者が示さなければいけない認定制度では、端から認定しないと言っているようなものです。
中国地方の配管工事会社で働いていた男性(死亡)は、石綿を含んだ配管の加工や補修に従事していました。肺がんで亡くなられるのですが、地元の病院の診断では、闘病中も死亡時も、医師から石綿について全く触れられなかったそうです。娘さんが同会に相談、専門医を紹介され、(それまでに撮影されていた)胸部画像を調べると、石綿を吸い込んだことを示す「胸膜プラーク」が見つかり、死後1年半後に労災が認定されたとのことです。病因に疑問を抱いた遺族が、同会に相談したからこうした結果となったわけですが、娘さんは、「制度はあるが・・・被害者をすくい上げる仕組みになっていない。泣き寝入りする人が多いのではないか」と指摘しています。
発症者の8割が修業中に石綿を吸ったことが原因だとされる中皮腫でさえ、戦後から12年度までの死亡者約2万人のうち、労災が認定されたのは約3割(6,000人余り)に過ぎません。さらに、石綿に起因する肺がんで死亡した約4万人の内、補償、或いは救済された方は、僅か約14%です。喫煙者であれば(勿論、癌になるリスクは5倍になるといわれていますから)喫煙が病因だとされてしまうでしょうし、石綿に関して知識もなく意識の低い医師であれば、「胸膜プラーク」も容易に見落としてしまうことと思います。(アスベスト関連の仕事に従事していた方だけでなく)そのご家族や工場周辺の住民など、実はアスベストによる病気に掛かっている、或いはそれが原因で亡くなっている方は非常に多いと思うのです。少しでも疑念がある場合は、同会など支援団体に是非ご相談されて下さい。
P.S. ご自身旦那様を石綿による肺がんで亡くされた「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の会長の古川さんは「国内の石綿使用のピークは1970~80年、建設労働者の被害が多いが(*明らかになっているものという意味だと思います)様々な産業で使われていたため、思いもよらない職業や業種に被害は眠っている。一人で悩まず相談して欲しい」と話されています。
<連絡先>
関西支部:06-6943-1528
関東支部:03-3637-5052
東海支部:052-837-7420
P.S.2 同会では、上記以外にも今年4月に北陸支部が、秋には14番目の東北支部が発足するとのことです。同会が支部を展開するのは、若い頃に都市部で働いた際に石綿を吸い込み、老後に故郷に帰って発症する方の救済が目的だそうです。また、医療用ゴム手袋の再生作業や麻袋リサイクル業など、世間では知られていない産業で従事していた方や、その会社や工場周辺の住民の方などが発症した被害をすくい上げる地道な活動をされています。
P.S.3 アスベストはあらゆる産業、あらゆる商品に使われてきました。例えばパン屋さんで焼けたパンを取り出す耐熱の(鍋つかみのような)手袋にもアスベストが使われていました。使用し続けるうちに、手袋が破れアスベストが少しづつ飛散し吸引した場合、数十年後、或いは40年50年経って中皮腫や肺がんを発症する可能性もあります。(特に中皮腫は「閾値」がありませんから)短期間アルバイトして吸引していたり、働いていた方の衣服についたアスベストを家族が吸引したり、パン屋周辺の住民の方が吸ってしまう可能性は十分にあります。まさかパン屋さんの隣に住んでいるから肺がんになったなどと考える方は殆どいないのではないでしょうか?でも、吸引していれば、「胸膜プラーク」があるはずです。医者がそんなことを勘案してくれるとは到底思えません。少しでも気になることがあれば、同会などに相談して専門医を紹介してもらうことが重要だと思います。
by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年7月12日)