プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

原発事故が生んだ「介護難民」

2014-04-23 16:32:34 | 日記
 福島第1原発事故が引き起こしたコミュニティ-の崩壊、地域の医療や介護の現場が直面している厳しい状況を語った、南相馬市の市立総合病院で臨床研修をした医師の森田さんのインタビュー記事を(要約して)ご紹介します。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)

 南相馬市は、原発事故後人口が7,000人以上減って現在約6万4,000人、1割近い人口が減っています。看護師や介護職を含む若い人たちが避難し、65歳以上の高齢者の割合が23%から29%に上昇、高齢化が原発事故によって加速しています。

 (上記の理由で)同病院は看護師が足りず、230床あるベッドの内、80床が使えない状況で、救急患者を受け入れるために、患者さんの退院後の介護計画を立てるケアマネージャーを入院直後から始めますが、そのケアマネの人手不足は深刻で、(全国平均の倍近い)50人ほどの人を1人のケアマネが担当しなければいけないそうです。

 しかも、ケアマネが決まっても、介護サービスを行なう介護職の方も足りず、例えば1日3回の訪問介護を受けたくても1回しか来てもらえない、入浴ができるデイサービスも一杯の状況で、希望通りには利用できない、或いは(要介護者にならないための)退院後のリハビリができずに、寝たきりになってしまうケースもあると言います。

 同市では、原発事故後に新たに要介護認定を受けた人が約900人ですが、その内要介護1か2の人が約6割となっており、本来なら親の世話をしていたと思われる子どもの世代が家族ごと避難したため、介護保険サービスに頼らざるを得ない高齢者の方が増えたためとのことです。また、在宅でなく入所できる施設を探す高齢者の方もいるのですが、同市やその近辺では、(介護のできる)施設を造っても、働く人がいないため(需要はあっても)オープンすることもできない施設すらあるほどだそうです。

 森田さんは、お年よりどうしの助け合いなど、地域で支え合う仕組みを今後どう作っていくのかが課題だと指摘されていますが、少子高齢化が進んでいる上に、さらに原発事故による避難というさらなる厳しい情況で、ますますコミュニティーを維持することが困難になっています。十分なお金のある人は入れる施設があるそうですが、お金がなくて(多分安いのでしょう)県外の施設に出ていく人もおられるそうです。原発事故による避難で患者さんや高齢者の方々が沢山亡くなられましたが、(事故後も)事故による影響が、こうした「介護難民」を生み出しているのです・・・

P.S. 東電は、地下水バイパスの為に掘った12の井戸の内、1つの井戸から放出基準(1ℓ当たり1,500ベクレル)を超えるトリチウムが検出された問題で、(20日に)再検査したところ基準を下回っていた(正直、信じられませんが)と発表しました。いずれにしても1度は基準を上回る値を検出していますから、また超えるかもしれません。(米国規制委員会の元委員長の)ヤツコ氏ですらトリチウムの放出は仕方がないと発言していますが、その毒性も指摘されている上に、(1ℓ当たり)1,500ベクレルという値の放射性物質は(除去が難しいとしても)如何にも大き過ぎると思うのですが・・・

P.S.2 東電は汚染水を溜めるタンクを海上輸送するなどして、(敷地内に)タンクを最大90万トンまで増やす計画ですが、規制委員会は、「地下水バイパス」や「凍土壁」など、地下水対策が全く実施できない最悪のケースを試算するよう指示、その結果、2年後にはタンクは汚染水で一杯になるとのことです。さらに規制委員会は、これまで打ち出した対策が(実際)どれ程の効果をもつのか確認するように指示しましたが、実際はやってみなければ分からないというのが本当のところではないでしょうか。(正直、これまでの3年で状況は悪化してますから)リミットの2年間で、有効な地下水対策が実施できるようには思えないのですが・・・

P.S.3 韓国のフェリー転覆による大事故は、多くの乗客の命を奪いました。本当に悲惨なことで、特に若い高校生が沢山亡くなっているのには胸が締め付けられます。本当に可哀想です。親や家族のお気持ちを考えると堪らない思いです。しかも、船長や船員が、乗客を足止めしたまま、自分たちだけで逃げていたなど、信じられません。過積載など様々な問題点が浮上していますが、「お金」優先で命を軽んじる姿勢が引き起こした「人的」大惨事だと思います。(私には祈るぐらいのことしかできませんが)亡くなられた方々のご冥福をお祈り致します。(既に1週間が過ぎ非常に厳しい情況ですが)行方不明者の方々が無事に戻って来られることを念じています・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年4月23日)