プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

水俣病の新「運用指針」

2014-04-06 09:30:13 | 日記
感覚障害のみでも水俣病と認める最高裁判決を受けて環境省は今年3月、認定基準の新たな「運用指針」を関係自治体に通知しました。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)「新指針」では、感覚障害だけでも認定できるとする一方で、有機(メチル)水銀汚染との因果関係を、「できるだけ客観的な資料で裏付ける必要がある」として、汚染当時の毛髪の水銀値や発症時の診断書などを求めています。

 被害者団体はこの新指針では、「従来以上に厳しい認定になる」との批判が出ています。しかも、(長年委員を務める)認定審査会の医師からは、「指針に感覚障害だけの人も救済していこうという意図を感じられない。今まで通りでいいと受け取った」との声があり、従来どおりの厳し過ぎる「認定」基準が患者さんを切り捨てていく構図は変わらないままということのようです。ちなみに、これまで申請された患者さんの8割以上が「認定」されていないそうです。

 こうした切捨ての状況に対して、水俣病の疫学調査などに尽力されてきた岡山大学(大学院)の津田教授は、「データに基づかない症状の組み合わせにこだわる医師が関わる限り、今後もまともな審査にならない」と批判されています。津田先生の言われるように、水俣病とは関係のない症状が幾つもなければ認定されないのならば、殆ど誰も患者とは「認定」されないことになりますし、実際これまでそうでした。

 (上記の)審査会の医師は、「詐病の可能性もあ」る、「感覚障害だけで認定する方向に向うなら関わりたくないというのが委員の共通した思いだろう」と述べています。最高裁判決を否定するだけでなく、「詐病」の可能性にまで言及しています。異常が発生してから15年も、チッソのメチル水銀を含んだ工場廃水が止まることはありませんでした。申請や補償が、妬みや嫉みを生み、患者に対する偏見や差別が生じました。病気であることすら誰にも告げられなかった状況で、申請すらできなかった患者さんは多かったと思います。認定される可能性が皆無に等しい状況で、しかも偏見や差別の恐れがある中で、誰が「詐病」を演じてまで申請するでしょうか?正しくこのような「医師」が、国やチッソに手先となって、患者さんを切り捨ててきたのではないでしょうか・・・

P.S.  汚染当時の毛髪の水銀値や発症時の診断書など、60年以上のものが残っているはずもありません。実質的に「感覚障害」だけの認定を否定している「指針」に過ぎません。最高裁判決を完全に無視した新指針で、37年前(1977年)の国の基準を踏襲しているものです。裁判の果ての最高裁で勝訴しても尚、国の姿勢は露変わってはいないということだと思います・・・

P.S.2 胎児性の水俣病は、今は50代の方が中心で、40代、30代で発症されている方もおられるそうです。こうした方々の症状までは分からないのですが、やはり、偏見や差別を恐れて申請を躊躇(ためら)ったり、厳しすぎる「基準」で諦めたりしておられる方も多いのでしょうか。補償を得ても妬まれるのでは、たまりません。「詐病」を疑い「関わりたくない」と審査委員の医師は言われますが、水俣病でありながら水俣病と「関わりたくない」患者さんは多いのではないかと思います。「詐病」などあり得ないと思うのですが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年4月6日)